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書評・僕のヒーローアカデミア

 常人離れした能力を持ち、ピンチの時には素早く駆けつけ、時に軽やかに、時に悪戦苦闘しながらも、無条件に人々を救ってくれる夢の存在「ヒーロー」
 ヒーローは大きく二つに分けられると思う。ひとつは、存在そのものが超常的な、神仏に似た存在としてのヒーロー。ウルトラマンや大魔神などがそれだろう。
 もう一つは、警察官や消防士、あるいは兵士などのように、自分らと同じ社会平面上に立ちながら、超人的な能力を獲得したヒーロー。仮面ライダーや戦隊シリーズが当てはまる。
 本作に登場するヒーローはどちらだろう?存在そのものは一般社会において保障されているが、その能力は時に超常的である。
 超常が日常になった世界における、ヒーローの育成と再定義。ありそうでなかったヒーロー学園ものという、新しいアプローチが見られる漫画だ。

「個性」と呼ばれる超常的能力を持つ人間が増加し、それを悪用する敵(ヴィラン)と、それを取り押さえるヒーローが存在する世界。
 人一倍ヒーローに憧れる少年、緑谷出久(いずく)は、生まれながら個性を持たない人間だった。それでも夢を諦めきれず、一流ヒーローの登竜門と名高き雄英高校を志すが、同級生から当然のように馬鹿にされる。
 ある日、出久は平和の象徴と呼ばれる最強のヒーロー「オールマイト」と出会い、ひょんなことから彼の最大の秘密を知ってしまう……。

 前述の通り、本作はヒーローを扱う学園という、新しいアプローチで描かれた漫画だ。
 この世界において、ヒーローの存在そのものに強い珍しさはない。登場人物たちは皆何かしらの超常的能力を有しており、学園の中でその使い方と、プロヒーロー(というのかわからんが)としての心構えを鍛錬される。
 いわゆるスポ根もののように、ある種目に関わるものとそれ以外のものとの差異はなく、主人公である出久の成長が軸にあるものの、クラス一人一人にスポットが当てられ、皆がヒーロになるという目標に向かって邁進する姿は、NHK教育の道徳ドラマのようで微笑ましい。
 これからの漫画であるため、これ以上書くことができないのが歯がゆいが、恐らく彼らはこれから、ヴィランという敵と対峙することになるだろう。ライバル校や超常生物とも違う、リアルな悪との対峙は、昨今の学園漫画では珍しいものではないだろうか。

 その中で出久をはじめとする超個性的な生徒たちが、どう立ち回りどう変わっていくのか。本当に楽しみな作品である。

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