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【ネタばれあり】君の顔では泣けない

ネタばれ

1.最後まで戻らない

2.エッチなシーンはほぼない

はじめまして。よしよしです。「君の顔では泣けない」よかった。午前休みとって買って読んだ甲斐があった。思わずnote新規登録して感想書くくらい良かった。

 まず、主人公の坡平陸くんは、プールに落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わります。そして、戻らないまま15年たちます。物語は、水村まなみとして30歳になり結婚して子供のできた陸くんの回想から始まります。

 最後まで、結局体は元に戻りません。この本は、15年を男として生きてきた陸くんが、いきなり女子高生になり、そのまま15年女として生きる奮闘を描いた小説です。話は陸くん側から展開され、まなみ側の心情はほとんどかかれません。

 15年男として生きてきたのに、いきなり女子高生になってもうまくいくわけがない。男と女では人間関係の構築の仕方も違いますし、求められる役割も違います。陸くんはまなみになり、うまく人間関係を維持することができず、早々と孤立してしまいます。ここら辺の難しさは押見修造さんの「ぼくは麻里の中」でも描かれていました。女の子の人間関係難しい。

 私は男ですが、男の子になった女の子は相当楽だと思います。第一、生理がない、人間関係もそこまで面倒ではない。痴漢に会うことも、セクハラに会うこともほとんどありません。身だしなみも、女性よりは簡単に整えられますし、化粧もしなくていい。女の子になった男の子は、いままでしてこなかったこれらすべてをしなければならなくなるわけです。

 半面、男になったまなみの人生は好調です。元女として女のツボが分かるため、早々と彼女を作るとあっという間に童貞卒業をします。(まなみになった陸くんが処女を卒業するのは大学生になってからです)まなみがいう男の不便さとは「性欲の強さ」くらいです。

 それでも陸くんは頑張ります。どう頑張ったかは本編を読んでいただくとして、その書き方の細かく丁寧なこと!これで処女作とかどうなってんのか。ぜひ映画化してほしい。男女入れ替わり作品というと、どうしてもエッチな話とか、ギャグ、コミカル寄りになりますが、これは入れ替わりを実際起こった出来事としてとらえ、当事者である陸くんの成長を真正面から書いた傑作だと思いました。友人にも進めます。

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