見出し画像

アレンジャーはギターとピアノどちらを武器にするか

作曲家:コンポーザーに対して編曲家:アレンジャーという概念がある。広義ではメロディ以外の全てを担当するのがアレンジャーだ。コード(和声)に関する知識が必要不可欠となるため、単音に加えてポリフォニックな演奏に長けているギターもしくはピアノがアレンジャーの武器として選ばれる傾向にある。記事では、それぞれの長所に着目してどちらを選ぶべきか考えていきたい。(なお、今回ピアノは鍵盤楽器の代表例として記載している。)

[ギターの利点]
①転調
同じ左手の形で、フレット移動することにより、容易にコードチェンジすることができる。ダイアトニックコード以外にもアクセスしやすい。カポタストという器具を使用すれば、曲のキー変更に対応できる。
②奏法
ピアノに比べて奏法が多様である。ピック弾きと指弾き。かき鳴らすストラム、バラバラに鳴らすアルペジオ、ハーモニクスやカッティングなどがアレンジの幅を広げてくれる。
③持ち運び
ギターは取り回しがしやすい。部屋で、旅先で、公園で、どこでもアレンジのインスピレーションを得られる。

[ピアノの利点]
①ボイシング
ピアノは基本的にどんな構成音のコードでも弾くことができる。ギターは各弦が四度(もしくは三度)離れている構造上、複雑なコードに対応できない。また、ピアノはコードの転回形にも強い。
②レンジ
音のレンジが広い。どのオクターブで演奏するかの選択肢がギターよりも多い。

[総括]
アレンジャーは迷ったらギターを持つべきである。最大の理由はピアノでの編曲がギターにとって不利になる問題が起こりうるが、逆はあまり無いからである。ギターはコードの規制がある点がデメリットだが、ベースとの役割分担を意識できるようになるという観点では、必ずしもデメリットとは言い切れない。

一方で、曲のジャンルによってはピアノを選ぶ方がいいこともあるだろう。たとえばジャズのように繊細で複雑なハーモニーが音楽性に大きく寄与しており、ピアノの音色が象徴となる場合である。

おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?