見出し画像

自己研鑽をすることの価値は他者から与えられるものではない

自分が自己研鑽を頑張る理由。

そんなことは今まで考えたこともなかったし、むしろ専門職として自己研鑽は当たり前に永久に続くものだと教え込まれていたから、そこに疑問を感じることはありませんでした。

最近になって、自己研鑽することに対して、あるいは自己研鑽をしている自分に対しての否定的な意見を聞くことが多くなってきました。

大抵の意見は共通しています。

「時間とお金と労力を使って論文を書いたり学会で発表したりすることに何の意味があるのか。そのエネルギーを副業に使ってはどうか。」

基本的に私の職場は副業禁止なんだけど、それはここでは置いておいて、まぁ私の勝手でしょうと言いたくもなるのですが、改めて私が自己研鑽する理由とか、自己研鑽することにどんな意義があるのか、それはお金を稼ぐことと比較してどんなメリットがあるのか、など色々と考えてみました。

まず、自己研鑽が副業と比較されるというのは、私の中ではナンセンスです。

別にお金をたくさん稼ぐことが悪いとは思ってないし、お金はあればあるほど未来が広がるわけだから、それは素晴らしいことだと思っています。

でも、自己研鑽は別にお金を稼ぐためにやっているわけじゃないんです。

というか、現段階でも家族を持ち、家を買い、車があって、家族みんなが健康で不自由なく過不足なく生活できているのだから、それより多くは望んでません。

いわゆる”知足”っていう考え方です。

家族の誰もが”もっともっと”と欲しがるわけでもないから、今のままでも十分なのです。

じゃあなぜ自己研鑽するのか。

その理由のひとつに、理学療法士を楽しみ尽くすためというのがあります。それに患者さんをより良くするためには、研究は必要です。

”研究や発表などの学術活動は臨床を豊かにする”という経験を、今までにたくさん経験してきたから、私の中では臨床と研究はセットであり、不可分な存在です。

臨床が豊かになるということは、患者さんに多くのものが還元されるわけですから、あまりに家族に負担をかけない状態であれば誰も損しないんですよね。

知的好奇心を満たし、得た知識で患者さんをもっと良くして、悩んでる後輩や学生に知識や考え方をお裾分けすることもできる。

自分の子どもに、親も勉強を楽しそうに頑張っている姿をみせることで、勉強するということのハードルを下げ、勉強することを嫌いにならないように仕向けることで勉強を得意になってもらいたい。

労力を直接的にお金に換算してしまうと、趣味だって、飲み会だって、ほとんどのことが無駄で非効率的なものになってしまうんじゃないのかな。

私には家族があるから、妻や子どもたちが今よりもっと良い方向に向かうために、あるいは今の幸せな生活がもっとずっと続くように仕事をしてお金を得ています。

そういう考え方で言えば、子どもが勉強を好きになって、得意になってくれたら成績も自然と上がるし、それによってもっと多くの未来の選択肢を得ることができると考えています。お金をかけなくても、そういったアプローチが可能なんじゃないかと思うのです。

以上をまとめると

・自己研鑽は副業などのお金を稼ぐこととは比較できない
・知的好奇心を満たして臨床を楽しむことができる
・研究や発表などの学術活動は臨床を豊かにし、患者さんがより良くなる
・後輩や学生の悩みに対して、力になってあげることができる
・親が頑張る姿勢を子に見せることで、子どもの未来の選択肢を広げてあげられる

というのが、私が自己研鑽を頑張る理由になると思います。

また、注意点として

・家族との時間を大幅に奪うような取り組みは控える
・お金がかかるのは間違いないので、家族に負担とならない程度に

という制約が、私の場合はかかってきます。

SNSなどみていると、ものすごい数の論文を世に送り出し、1年中にわたり学会に参加している人もいます。

うらやましい気持ちもありますが、自分のできる精一杯で取り組んでいくことしかできません。

行き着く先として、博士号を取得することも叶わないどころか、大学教育を受けることは難しいでしょう。

別に大学教授になることもないでしょうし、研修会の講師として引っ張りだこになる自分は全くイメージできません。

私が現役を引退するころには、大きく名を残すことはないかもしれません。

でもやるんです。別に大きな見返りを求めてやっているわけではありません。強いていうなら、こういう生き様を求めてのこと。損得ではありません。

やりきったぞ!と言えるくらい頑張っていけば、何か見えるものがあるんじゃないでしょうか。

そういう意味では、自己研鑽に何の価値があるのかなんて、他者から与えられる価値観では測れないものなのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?