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【ロック名盤100】#32 Wheels of Fire - Cream

 今回紹介するのは、クリームが1968年6月にリリースした2枚組アルバム「Wheels of Fire」(邦題は「クリームの素晴らしき世界」)だ。「フレッシュ・クリーム」「カラフル・クリーム」に次いで発売された本作はクリームの集大成的な立ち位置とされている。1枚目がスタジオ録音による9曲「Wheels of Fire (In the Studio)」で、2枚目がライヴ録音による4曲「Wheels of Fire (Live at the Fillmore)」。
 1枚目のほうはカッコいいブルースやハードロックナンバーが煌めく中で、難解でサイケデリックな曲もいくつか見受けられる。全体的にかなりハイクオリティな作品群が聴ける内容になっていると思う。だがやはり僕は本作の本領は2枚目のライヴ盤のほうだと思っていて、明らかにメンバー3人から出る音の圧が強いというか、分厚さがあるように感じられる。この素晴らしいパフォーマンスも、まさに「火の車輪(Wheels of Fire)」が回っているようだ。

1 White Room
2 Sitting on Top of the World
3 Passing the Time
4 As You Said
5 Pressed Rat and Warthog
6 Politician
7 Those Were the Days
8 Born Under a Bad Sign
9 Deserted Cities of the Heart
10 Crossroads
11 Spoonful
12 Traintime
13 Toad

 前回紹介した「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」に並ぶクリームの名曲「ホワイト・ルーム」はこのアルバムを語るうえで欠かせない。ドラムとベースのグルーヴの上で呻くヘヴィなギターがハードでありながらも幻覚的な効果に誘う。ブルースのカバーの2曲「シッティング・オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」と「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」もいい。やっぱり僕はどうこう言いながらもクラプトンのブルージーなギターが好きらしい。
 2枚目のライヴ盤に入ってリスナーを出迎えるのがこれまたブルースのカバー「クロスロード」。伝説的ブルースマンであるロバート・ジョンソンによる伝説の曲がクラプトンのハードロックアレンジで聴けるだなんて、カッコいいに決まってる。うん、やっぱりどうしても1枚目のスタジオ録音よりパワーがほとばしっているように感じるんだよね。
 2枚組ということで、前回紹介した「カラフル・クリーム」よりは聴くのに体力を使うが、聴いておいて損はないと思う。稀代のトッププレイヤー3人によるフルスロットルのパフォーマンスを堪能できる名盤だ。次回はクリーム解散後クラプトンの代表作「レイラ」を語りたい。

↓「ホワイト・ルーム」

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