【ロック名盤100】#9 The Beatles - Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
今回紹介するのは、ビートルズが1967年5月にリリースしたアルバム「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」だ。長い間20世紀ポップスにおける最も偉大なアルバムとして評価されてきた正真正銘の名盤だ。
その評価の所以は、アルバム全体で1つの作品を作るという発想である。本作は「ペパー軍曹のバンドがコンサートを行う」というコンセプトを持って制作されたもので、これが世界初のコンセプトアルバムなのだ(ちなみにこれについては諸説ありまくり)。それまでアルバムはシングルと数合わせを10曲前後かき集めて発表するというだけのものだった。しかしビートルズが本作をリリースして以降、アルバムの価値観が180°に転換された。これは間違いなくポップスにおける最大な転換点のひとつだろう。
1 Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
2 With A Little Help From My Friends
3 Lucy In The Sky With Diamonds
4 Getting Better
5 Fixing A Hole
6 She’s Leaving Home
7 Being For The Benefit Of Mr. Kite!
8 Within You Without You
9 When I’m Sixty Four
10 Lovely Rita
11 Good Morning Good Morning
12 Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
(Reprise)
13 A Day In The Life
最初の2曲「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」と「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」はメドレーになっており、本当のショーのようなギミックになっている。サイケデリックの極みかのようなサウンドの「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト!」から「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」で一気にジョージ・ハリスンのスピリチュアルな面に引きずり込まれる流れも面白い。
そして1曲目を再びリプライズという形で演奏し、そろそろこのショーも終わりかな?と油断した束の間。ラストトラック「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」に入る。あまりの壮大さに圧倒され、絶句するしかなくなる。僕は、この曲の構成に勝てるのは「ボヘミアン・ラプソディ」と「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」くらいだと思う。間違いなくロックソングの最高峰だろう。そしてアルバムは会話を逆再生した音声———「サージェント・ペパー・インナーグルーヴ」と呼ばれるものによって締めくくられる。
「これはコンセプトアルバムではない。テーマが通っているのは最初と最後の数曲だけ」という意見もある。実際ジョン・レノンはその旨を肯定しているし、「世界初のコンセプトアルバム」ではないかもしれない。しかし疑いようのないクオリティであることに異論はないだろう。スタジオ録音における最高峰のサウンドを作り出し、サイケデリックな世界を描ききった。大衆音楽であるロックによって最高の芸術が表現されたのだ。このアルバムに影響を受けたアーティストがごまんといることは周知の事実である。よって、僕は「史上最高の名盤はなにか」という質問においては、本作を支持する。
↓「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」
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