【ロック名盤100】#49 Neil Young - After the Gold Rush
今回紹介するのは、ニール・ヤングが1970年9月にリリースした「After the Gold Rush」だ。彼のバックバンド、クレイジー・ホースとともにレコーディングが行われ、結果的にニール・ヤングの最高傑作のひとつとも言われるほどの名盤が出来上がった。
バッファロー・スプリングフィールド、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとキャリアを積み上げていって迎えたソロの3作目。ソングライティングも演奏も練度を増している。表面的には柔らかなカントリー・ロック、フォーク・ロック(ピアノの登場も多め)のようだけど、どこか影を感じさせるのは何故か。環境災害や人種差別について扱った曲があるということは、詞の部分でもムードに影響を与えているところはあるかも。陰鬱で黒が強いジャケットから読み取れるもの、あなたはどんな感覚?
1 Tell Me Why
2 After the Gold Rush
3 Only Love Can Break Your Heart
4 Southern Man
5 Till the Morning Comes
6 Oh, Lonesome Me
7 Don’t Let It Bring You Down
8 Birds
9 When You Dance I Can Really Love
10 I Believe in You
11 Cripple Creek Ferry
改めて聴き直してみて強く感じたことがこのアルバム、ギターがとてもかっこいい。ニール本人が弾いたのかクレイジー・ホースのメンバーが弾いたのか、細かいところはわからないけどとにかく印象的なフレーズやグルーヴがギターから作り出されている。顕著なのが本作のなかでは異質のストレートなロックナンバー「サザン・マン」で、ニール・ヤングのキャリア全体でも僕はこの曲が1番好き。不安を煽るボーカルハーモニーと硬質なバンドサウンドによって表現される独特な緊張感がたまらない。中盤のギターソロ?がめちゃくちゃイカれてる。ギターのかっこよさでいうと「ホエン・ユー・ダンス・アイ・キャン・リアリー・ラヴ」もかなりのもの。
もちろん元来のカントリー調のアコースティック・サウンドも素晴らしい。「テル・ミー・ホワイ」なんてメロディ、コード、ハーモニー総出で泣かせにかかってる。郷愁が耳を包み込むというか。「オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」も同じものを感じさせるし、「ドント・レット・イット・ブリング・ユー・ダウン」の軽快さも心地良い。ピアノベースの表題曲も美しい仕上がりだ。
アルバム通して一貫した雰囲気を維持させながらも曲ひとつひとつのパワーも凄まじい。感じたのが「聴かせる力」が強いアルバムなのだということ。再生していると、他のことに気を取られない。集中した音楽体験がしやすく、自ずと深みも出る。そうさせるのは作曲能力かアレンジか生演奏の魅力か。答えは全て。
↓「サザン・マン」
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