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【ロック名盤100】#59 Queen - A Night At The Opera

 今回紹介するのは、クイーンが1975年11月にリリースした「A Night At The Opera」(邦題は「オペラ座の夜」)だ。イギリスの国民的バンド、同時に日本の国民的バンドでもあるいわゆる「ビッグ・イン・ジャパン」(いまやそんな印象も薄れ、全世界で絶大な人気を誇るアーティストとなったが)なのがクイーンである。
 フレディ・マーキュリーの圧倒的な歌唱力やカリスマ性———まさに稀有な"主人公力"を持ったアーティストだと思う。ブライアン・メイの超絶技巧で心に響かせるギターやロジャー・テイラーの可憐なルックスとギャップを感じさせるドラム、ジョン・ディーコンの絶妙なラインのベース。それぞれのメンバーのキャラは余りにも濃く、おまけに全員曲が書けるとはまさにビートルズと似通っているように思えるのではないか。
 彼らの音楽性はひとまとめに形容することは難しく、多彩なジャンルの曲に溢れているところが特徴だ。プログレッシヴ・ロック、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル、ポップ・ロックなど多岐にわたる作風があるが、本作はタイトル通りロック・オペラのような感触のある仕上がりになっている。

1 Death on Two Legs
2 Lazing on a Sunday Afternoon
3 I’m in Love with My Car
4 You’re My Best Friend
5 ‘39
6 Sweet Lady
7 Seaside Rendezvous
8 The Prophet’s Song
9 Love of My Life
10 Good Company
11 Bohemian Rhapsody
12 God Save the Queen

 名曲揃いだ。名曲ばかりだが、やはりそれでも頭一つ抜けている「ボヘミアン・ラプソディ」。ロック史上最高の曲とも言われるこのトラックは、同名映画の超大ヒットも後押ししてさらにその圧倒的な人気を高めた印象だ。"Mama~"が印象的なバラード、オペラ・セクション、これまたブライアンのギターがかっこいいハード・ロック・セクション、"Anyway the wind blows~"のメッセージで締め括るコーダまでが1つの壮大な組曲であり、全員の演奏が圧巻。だがやはり目立つのはフレディのボーカルとロック史上最も偉大なプレイのひとつとして知られているブライアンのギターソロか。
 僕のクイーンのディスコグラフィのなかでも上位に入るお気に入りは「’39」で、これはブライアンの作曲で彼のボーカル。歌詞もいいし、フォーキーな雰囲気も大好きだ。ジョン・ディーコン作の「ユー・アー・マイ・ベスト・フレンド」やフレディの美しいバラード「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」なんかもいい。最後の「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」はブライアンがギターで演奏するイギリス国家。
 「クイーンは批評家からの評価が低い」というレッテルも今となっては剥がれつつあり、その素晴らしい作品群———そしてこのアルバムの評価も正当に見直されてきていることを肌で感じることができて嬉しい限りだ。僕もビートルズの次に入ったアーティストがクイーンなので思い出深いし、多くの人にとってクイーンはそういう存在なはず。ただ好きなのは曲単位だけという方も同時に多いかもしれないので、アルバムから入るならこの「オペラ座の夜」をぜひ。

↓「ボヘミアン・ラプソディ」

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