【短編小説】視線、笑い──不快、偽善
不躾な視線と差別意識と、不愉快なときに出る笑いについて
※若干の差別的描写を含みます
最初に感じたのは不快感だった。
にわかに混み出した電車内で、その人物は一人で二席を占領していた。
次に感じたのは、納得だった。
正面にいるその人物をよくよく見てみると、何やら目の焦点が合っていない。口からは絶えず不明瞭なうめき声が漏れている。服装もどこかちぐはぐだ。
「ああ、おそらく何かしらの知的障害があるのだろう」──その人物が、ダン、と大きな音を立てて床を踏みつけた。おっ