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Webの仕事をしていると担当にもよりますが、運営している規模によって知識の幅が必要です。
以前いた職場、某省庁ではプッシュ型・プル型のマーケティングを使う機会はなかったのですが、かといって民間企業での知識や経験が役に立たないというわけではありません。専門領域だけでは済まず、例えばWebアクセシビリティと対極的と言われるセキュリティ(私自身は対極ではないと思ってますが)の知識も必要です。
様々関連する分野の中で苦手だったのか、ネットワーク関係。ただ大学の授業で基本的なことがわかったら、少し面白くなりました。

PANって?

さて、タイトルの「毎日、PAN」です。パンと読みますがBreadやBunのような食べるパンのことではありまんし、フライパンの話でもありません。ネットワークのひとつです。

LANは、家庭内LANや職場で社内LANなど比較的狭い範囲でコンピューターをつなぐネットワークのこと。
WANは、ケーブルテレビのインターネットサービスのようなある特定のエリアをつなぐネットワーク。
WANは、広域ネットワークで県や国など広域な地域に広がるネットワークです。例えば、かつての話ですが省庁のLAN同士をつなぐ霞ヶ関WANなんていうのもありました。

PANは一番規模の小さな繋がりで、コンピューターと周辺機器、つまりマウスやキーボード、プリンターといったものをつなぐネットワークです。Personal area networkの頭文字をとってPANとなっています。
有線PANの規格としてよく使っているのがUSB。無線PANの規格だと赤外線リモコンやBluetooth、赤外線による光無線データ通信のIrDAといったものがあります。

Bluetoothのいわれは以前note「Bluetoothの名前の由来」に書きましたので、そちらで。

あれもこれも無線PAN

無線PANは10m~20mの範囲程度で利用できますが、職場や学校に入るゲートにIDカードをかざしているというかたもいるかも知れません。そういった非接触型の短距離無線通信もここに含まれます。

短距離無線通信はNear Field Communicationを略して、NFCと言います。NFCの通信速度は最大424kbpsと小さいので容量の小さなデータの転送向きです。

NFCには複数の規格があります。SuicaやPASMOのような交通ICカードやおさいふケータイに使われているFeliCaは、ソニーが開発した非接触型ICカードの技術方式で純粋なNFCではなく独自のセキュリティ機構が含まれていて国際的な規格ではありません。通信速度が早く、理論的に847 kbps以上とNFCの倍近いスピードがあります。だから駅の改札で多数の人が通過しても処理できるんですね。
また、実行速度がもう少し早くなった規格がTransferJet。早くなってメリットは?というと、音楽や動画のように容量が重いデータの転送が短時間でできるようになります。

NFCはtaspo、マイナンバーカードや運転免許証などに使われています。
私たちはすっかり日常的にPANを使用しているのが改めて認識させられます。

音響カプラっていうのがあってだな

話は変わりますが、先日テレビのBSをつけたら昔のサスペンス名作選を放送していました。その中のワンシーンでFAXを携帯電話につなげて転送するというシーンが。

そうそう、音響カプラなんていうのがありましたっけ。
1980年代前半のパソコン通信黎明期に使われていたこのツール、どうやって使うの?と思ったかたは、@nifty:デイリーポータルZで再現していましたので、そちらをご覧ください。
@nifty:デイリーポータルZ: 黒電話でインターネット(2006年頃の記事と思われる)

先ほど「NFCの通信速度は最大424kbpsと小さい」と書きましたが、音響カプラの通信速度は300bps程度でした。小さいと言ってもNFCの通信速度は黎明期の音響カプラの1400倍以上です。

音響カプラやこの後出てきたモデムの「ピー、ガーガーガー」という音を聞いていた、のんびりした時代がちょっと懐かしいです。

参考

KDDI 音響カプラの概要

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ネルソン「ニュージーランドの中心点」(と言われてますが、現地の知人によると本当の中心は海の中だと思うとのこと‥) ©moya

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。