ANA 国際線ビジネスクラス ザ・ルーム
ANA Business Class The Room (April 2020)
2019年8月からANAは新しい機材の導入を開始しました。
このビジネスクラス の特徴は遂にビジネスクラスに個室タイプを導入したことです。今までのスタッガードシートでも十分素晴らしかったのですが、ANAはさらに進化しました。
まずはロンドン線、そしてニューヨーク線、フランクフルト線に拡大し、そしてその他の路線に順次拡大していきます。
今回はこのANA THERoomを紹介します。
ラウンジ
ラウンジは、ANAのラウンジかスターアライアンスのラウンジを使用することができます。最近ラウンジの利用基準が緩和されたため、混んでいることがあります。特に羽田の混雑は席に座れないほどのことがありましたが、2020年3月から羽田は第2ターミナルにも国際線が就航するようになり新しいラウンジもオープンしたので、今後は大混雑はなくなると思います。
羽田、成田空港のANAビジネスラウンジは、人気の麺コーナー、豊富な酒類など、相変わらず素晴らしいメニューと素晴らしいスタッフの対応で満足度は高いはずです。たまに寿司職人が登場し握り寿司を振る舞ってくれたりと顧客重視のサービスには好感が持てます。
帰国便の場合、スターアライアンスのラウンジを使うことになりますが、特にLAXのラウンジは素晴らしいです。広くて開放的な空間、世界中の食事が楽しめます。
新しいThe Room
・シート
今回の新シートの目玉は「個室感」。各シートには扉がついていて扉を閉めるとそこはまさに個室です。安全上の理由で天井は空いていますので、完全密閉ではありませんが、座って扉を締めるととても落ち着く個室となるのです。ドアは左右に動くドアと上下に動くドアの2枚があり、2枚を閉めると部屋になります。航空機内でこのプライベート感を維持できるのは感動します。因みに2枚の扉には若干の隙間があいています。これは安全面の意味があるのだと思います。
シートはもちろんフルフラットになります。写真を見ると横長であまり広くみえませんが、実は幅が広いので横幅が強調されて見えるのです。1席が占めるスペースは真上から見るとほぼ正方形です。座席には余裕で2人座れる幅があります。前の席と足の部分が干渉しあっているのがファーストクラスとの違いです。ここがTHE Roomの最大の弱点となっています。これにより寝る時は体を斜めにする必要があります。ベッドに真っ直ぐに寝ることができないのです。私の場合(身長175cm)、縦に寝ると頭がひっかかります。160cm以下であれば真っ直ぐに寝ることは可能だと思います。
そうは言っても、フルフラットにすると、そこは和室のような感じになり、あぐらをかいたりできる広いスペースとなるので、今までのビジネスクラスとは一線を画す素晴らしいシートであることは間違いありません。
さてシートに座ってみると、幅の広さに改めて感動します。そしてモニターの大きさと新しくなったインターフェイスが目に着きます。スタッカードシートに比べて様々な改善がされているのがわかります。モニターの下にある引き出し式のテーブルはノッチがなくなり見た目が綺麗になりました。そして前後にグラグラと動かなくなりました。サイドテールは使いやすくなり、収納の設計も以前に比べ格段に良くなっています。特に改善されたなぁと思うのは、電源まわりです。スタッカードシートのときはモニター下にありましたが、THE Roomでは収納下に移動しました。携帯やタブレットを充電する時は扉の下がちょっとだけ開きます。ガジェットはサイドテールに置けます。収納内にはミラー、ポケットなどがつき使いやすいです。
気をつけなければならないのが、シートベルトです。3点式なのですが、2点式に肩からのベルトを付けるタイプです。
普通は2点式として使い、離着陸時には3点でとめます。良くできた構造ですが、3点式であることを忘れがちです。
・席の種類
座席自体は1-2-1という着座位置ですが、この機材の面白いところは、全席が前向き(進行方向)ではなく、前向きと後ろ向きが1列毎に異なる点です。ビジネスクラス の半分のシートは進行方向向きですが、半分は後ろ向き方向と逆向きになっている点に注意が必要です。
ただ、タキシング以外では、前向き、後ろ向きはあまり気になりませんでした。
むしろ予約時に気をつけなければいけない点は、THE Room内の構造にあります。
・窓側の席:前向きの席は窓から離れている(通路に近い)ため、座るとすぐ窓外が見えるわけではありません。窓まではちょっとだけ距離ができます。窓外の景色を常に楽しみたい場合は、この席よりも後ろ向きの席の方が楽しめます。逆に通路に近い場所に着座したい方にはこのシートはお勧めとなります。
・中央の席:ここはシートが2つ並行に繋がっています。2つのシートの間には電動で動くパーテーションがあるので、閉めてしまえは個室になります。今までのANAビジネスシートは、カップルや夫婦で乗る場合、真横に座れないという問題が発生していましたが、今回のTHE Roomでは、パーテーションを降ろすことにより、2人の空間を作ることができるようになりました。ここでもTHE Roomの構造により気をつけるべきことがあります。前向きのシートだと、2人の間があくことになります。逆に後ろ向きの場合は、すぐ隣に相手が座る格好になり、一緒に座っているようになるのです。ご夫婦やカップルで旅行に行く時は、中央後ろ向きのシートを選ぶと、楽しい旅行になるのではないでしょうか。逆に飛行機に乗っている時はちょっとだけ離れて座りたいというのであれば前向きのシートを選択すべきです。仕事などで1人でTheRoomのセンター席を利用する場合も前向きの席でパーテーションを閉めると快適です。
・エンターテイメント
シートには24インチの4Kモニターが付いています。これはなかなか驚きの大きさです。正面の壁がほぼモニタとなっています。機内エンターテイメントも充実しており、見切れない程のたくさんのコンテンツが用意されています。残念なのは、コンテンツの画質が低いこと。できれば全て4K画質で見れるようにして欲しいところです。中には4Kコンテンツもありますが、あまり面白いものではありません。是非映画は4Kにして欲しいです。
コンテンツは毎月更新されます。人気映画やドラマ、バラエティのほかにオリジナルコンテンツも充実しています。私が欠かせず見ている「ANA special Best Hit USA」は20年以上続くコンテンツです。是非今後も続けて欲しい番組です。観光ガイドはもう少し内容を深くしてほしと感じるでしょう。あとはANAの機材の説明や各空港の紹介など飛行機に乗っているから見たい番組があると嬉しいです。
ハード
シート以外のハードはすばらしいです。トイレは当然ウォシュレット。トイレ内も広く数も十分です。バーカウンターもあります。JALではバーカウンターなどのスペースを削っていますが、長時間のフライトだと、このスペースでちょっとだけ気分転換したりできるで客にはありがたいのです。こういった細かなホスピタリティに溢れているのがANA機材の良いところです。
機内サービス
ANAは乗るたびに新しい驚きを用意してくれています。ビジネスクラス の食事も毎回素晴らしいです。かつてあったうどんやグラスに入ったアイスが復活してくれないか、いつも夢見ていますが、ANAはどんどん新しいメニューを導入してきます。最近感じるのは有名スターシェフによる食事はあまりおいしくないということ。普通の食事が嬉しいです。
新しいANAビジネスクラス。現在は777の機材にしか導入できないそうです。今後は787用に改良したシートを作り国際線前線をこのTHE Roomにして欲しいです。そし更なる新規路線を増やして快適な空の旅を楽しめるように期待しています。
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