大切にしたい時間と思い出。
時の海-東北タイム設定ワークショップに参加しての
感じた想いをちゃんと残しておきたいと思って。
「 時の海-東北 」プロジェクト
9から8に、8から7に・・・と
数字が変わる間の秒数を設定するのが、
このワークショップにおけるタイム設定である。
- わすれられない、102.0秒。
10月20日。
祖母の誕生日。
震災直後のことを思い返してみると、
いちばんに浮かんでくるのは祖母の姿。
地震が起きた直後、
幼稚園バスで帰る私を迎えに来てくれたこと。
車を停めようとしている時に地震が起きたから、
車が壊れたかと思ったって話をしてた。
余震が続く中、緊急地震速報が鳴るたび
こたつに隠れる私に「大丈夫」と言って
落ち着かせてくれたこと。
兄や従兄弟とリビングにいると、
手作りのポテトチップスを作ってくれたこと。
寝る前にラジオを聴きながら歌っていたこと。
特別な思い出があるわけではない。
たくさん思い出せるわけでもない。
ただ、不安だった時期に
ちょっといいふつうの日常があったのは、
祖母のおかげだと思う。
祖母は震災後すぐに亡くなった。
2年生になる前だった。
命日は覚えていない。
ただ、10月20日の誕生日だけは
ずっと忘れずにいる。
10月20日はいつも祖母を思い出す。
私にとって忘れられない日。
そんな思いから選んだ、102.0秒。
- この時間が大切で。
ワークショップ内で、
「忘れられない数字」と聞いたとき、
パッと浮かんだのがこの数字だった。
この数字が大切だ。この思い出が大切だ。
と、気づかせてくれた時間だった。
ワークショップを通して、
あの時の私を想う。
この作品を通じて、
私の想いが誰かに届く。
誰かの想いが私に届く。
今、目の前にいる人と過ごす時間も、
今、自分と向き合う時間も、
気づけていないだけで本当は、
すごく大切な時間なのかもしれない。
今過ぎていく時間が、
大切だったと思えるように。
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