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「終戦記念日を再定義する」 #OUR815 MOVEMENT '74に寄せて

友人にONIORNという奴がいる。

自身で作ったビデオとトラックに乗せてハチャメチャなベースプレイで観客を沸かせ、終演後にはやたらめったら酒を飲ませたがるイカした野郎だ。

そんなONIORNが8月15日にライブイベントを行うことになり、俺は照明の人員として駆り出された。それならちょっと紹介してやるかと思って、別に頼まれたわけでもないのだがこうしてキーボードを叩いている。

今回ONIORNは、 #OUR815 MOVEMENT ’74と題したイベントを名古屋市の千種文化小劇場で開催する。
今から74年ほど前、西暦1945年8月15日は日本が降伏し、戦争に負けた日である。
俺は先日30歳を迎え、大人、あるいはオジサンと呼ばれるような年になってきたが、それでも自国の戦争を体験したことのない世代だ。おそらくこうやってインターネットを通じてこの文章を読んでいるお前らもそうだろう。
それではこの、戦争を知らない日本人である俺らは「終戦記念日」という言葉に切実な実感を持てるのだろうか?答えは否だ。

だがしかし、戦争を知らない俺らはそれでも戦争について思いを馳せることができる。
#OUR815 MOVEMENTはこれから毎年8月15日に開催される。ただし、日本が戦争をしなかった年にだけ。
俺らはこれから開催されるサイコーな音楽イベントを通じて、戦争が起きていないという喜びを感じられる。平和を享受できる。

いや、でも、そうは言ったってこの世界で戦争は起こっているし紛争は終わらないし人間は憎み合ってガンガン死んでいるじゃないか、そういう意見があるだろう。俺だってそう思う。
世界は平和なんかじゃないし、それならこれは日本という国が平和ならいいという一種のナショナリズムの発露なのではないか?俺だってそう思う。
俺らはこの国で生きていて、もちろん他の国で生きるという選択肢もあるのだけれど、現状日本の中にとどまって生活をしている。だから、他の国に目を向けられない、そこで起こっていることにリアリティを感じられない、それは言ってしまえば当たり前のことなのだと思う。
でもそれが誠実な態度なのかと問われれば、そうは思わないと答える。

現代で生きる俺たちは、過去に起こったことのすべてを知りえないし、そこに介在したであろう数多の物語をすくい上げることは難しい。
そして日本で生きる俺たちは、他の国の、としても同様だ。
でも少しでも知ろうとすることはできるし、想像することができる。俺らは人間であるからそういう脳の使い方ができる。
自分や自国という枠組みを超えて、他者に思いを馳せることができる。
一歩でも歩み寄ろうとするその態度こそが誠実さであると俺は言いたい。

このイベントはきっかけである。少なくともこの1年、ある一定の評価軸の上では俺らは加害者にも被害者にもならなかったようだ、そういう出来事を通じて加害者と被害者に寄り添うことができるのならば、俺らは平和へと漸近していける、この試みはそういった祈りだ。

政治を感じさせる芸術表現自体に忌避感を持つやつだっているだろう。それでいい。政治と生活は切り離せないだとか、芸術とはそもそも政治的行為で〜だとか、そういうことを言うやつは胡散臭いにきまっている。
しかし、ONIORNは戦争をテーマにした楽曲を数多く作っていて、その中には玉音放送を素材としたものもある。この曲を制作するにあたっては宮内庁の許可をとったそうだ。
少なくともONIORNの表現はゴリゴリに政治的だ。
だけど、#OUR815 MOVEMENT ’74でONIORNはあくまでも音楽イベントとして楽しめるものを見せてくれるはずだ。
考えたくないやつに無理に考えろと言う必要はない。これは音楽であってライブなのだから、政治性は置いておいてそれだけを楽しむという態度もまた、音楽に対しては誠実なのだと思う。

そして、このイベントに出演するもうひとりの友人を紹介したい。

公開絵師・武蔵人骨である。
武蔵人骨は音楽に合わせて即興で絵を描くアーティストだ。
それは既存の音楽のときもあるし、彼のために誂えられた特製のものであったりもするし、上記の動画のように生演奏と共に絵を描くこともある。
彼も自身でライブハウスを借り、バンドやシンガーソングライターと一緒に音楽イベントを企画して客を楽しませている酔狂者だ。
武蔵人骨はすごい。公開絵画という取り組みを通じて俺らが見るのは彼の技術であり、即興性であり、魂の発露だ。描きながら叫び、客を盛り上げ、取り込み、その反応すらも作品としてしまう力のある絵描きだ。
今回もONIORNと共に音と絵の力で俺らを力強く震わせてくれるはずだ。

ここまで読んでくれた人がいれば感謝したい。
そして最後にお願いをしたい。もしこいつらに興味があり、もっと知りたい、見てみたいという気持ちがムクムクと湧き出してきたのであれば、少しばかり力を貸してやってほしい。
それはtwitterのフォローであったり、記事の拡散であったりしてもいい。
そして、イベントに対するクラウドファンディングという方法もある。

#OUR815 MOVEMENT ’74はあいちトリエンナーレ2019 パートナーシップ事業である。メディアからの取材なども度々あり、注目されかけてはいるのだが、取り上げている題材が題材だけに思ったように資金が集まっていない。
何しろ、チケット代は前売り815円なのだ。8月15日にかけた洒落と、誰もが来やすいようにという思いで決めたはいいが、規模に比してあまりにも安い。こんな愛すべき開拓者にどうか力添えを頂けはしないか。

もっと情報を寄越せ、詳しいことがなんもわからんぞ、との意見はまったくもって正しい。
ONIORNのインタビューも含め、イベント概要と関連したWEBサイトを以下にまとめた。好きなやつを読め。判断しろ。読んだ上で、これは違うなってなるんだったらそれはそれでいい。お前の道を歩め。楽しく生きろ。

#our815 movement’74-ACT ZERO-
会場:千種文化小劇場(ちくさ座)
(名古屋市千種区3丁目6ー10)
開催日時:2019年8月15日(木)
開場11:00・閉場14:30(予定)
チケット:前売券815円 / 当日券1,000円 (いずれも税込)
チケット・グッズの購入はこちらから→ https://oniorn.thebase.in/
主催:ONIORN PROJECT
Web→ https://our815movement.com/
Facebook→ https://www.facebook.com/OUR815MOVEMENT/
Twitter→ https://twitter.com/our815
Instagram→ https://www.instagram.com/our815movement
YouTube→ https://www.youtube.com/channel/UCcGjkZenSxcnK-Jj8_F4uJw


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