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逆噴射小説大賞2020ライナーノーツ ~終わりのある旅に出よう~

俺だ。高梨蒼だ。今日は一週間前に無事応募期間が終了した逆噴射小説大賞2020のライナーノーツを書く。

リアル生活がなんだかんだとバタついてしまっていたので遅くなったが、ケジメと区切りは大事だ。
ここの区切りがつかないと、いつまで経っても次の作品に行けないし、なんなら映画にも行けない。心残りがあるのは本当によくない。これはマジ。鬼滅も羅小黒戦記もプリキュアも魔女見習いも見に行けてないんだよ!!!!

正直書く内容は全然考えてないが、物は試しだ。一本ずつ書いてみよう。

1本目:太陽の仮宿と月光の姫君

キーワード:魔法、バディ、手違い、力を喪う物語、小さい師匠、旅、太陽と月

「魔法は体系化すればシステムになる」は昔から考えていたことで、最初はそれを使って「相手の魔法をハックする非術師」の話を書こうとしていた。
相手の魔法陣の一部を狙撃したり、こっそり供物のオブジェを書き換えて魔術の属性や意味を的確に壊す……みたいな。鋼の錬金術師でよくやってたやつだよね。

で、「魔法の失敗」をベースにして巻き込まれた話を考えていたところ、マハル……魔法の力を手違いで与えられた青年、が生まれました。
マハルの造形を考えたときに思ってたかはわからないけど、これ「手違いで死んだからチート転生」みたいなもんですよね。そもそももっと紐解けば「蘇生の反動で超人になる」とか「蘇生に当たって神霊や人外が体に宿る」みたいな感じの先例もたくさんあるよな。
手違い転生は一時期やいのやいの言われてたけど、類例めっちゃあるんだよなぁ……。

さて、今回のマハルは「正規の手順を辿ればその異能を紐解き、あるべき場所に返すことができることができる」ので、積極的にその力を変換しに行きます。なにせ「万世救済」の儀式を司る大きな力なので、それを返納した方がマハルにとってもいい。リュナはリュナで、大きな力に巻き込まれたマハルを放っておけない。姫様なので。
そういうわけで、彼らはこれからその力を祭壇に返すため、いろんな儀式を行う旅をする……というお話でした。

さて、どんな作品が元になっているかな?

『問題児が異世界から来るようですよ?』。「しゃらくせぇ!」の一声と拳の一振りで大概の攻撃や困難を吹き飛ばす十六夜兄貴がベースにいることは間違いない。

『魔人探偵脳嚙ネウロ』。「大きな力を失い、弱体化していく主人公」のイメージ。ネウロは力のソースを環境や連戦によって失っていく話なので、引き合いに出すのは少し違うかもしれないけれど、「力を喪う」意味ではかなり頭にあった。

六畳間の侵略者!?』。今気付いたんだけど、「女の子を背負う」も「成り行きで滅茶苦茶な力を手に入れる」もこの類型かもだな。こういうのいいよね。

Magico』。「世界を滅ぼす魔女の力が宿った少女を救うため、解呪のための儀式をする旅に出よう」。めちゃくちゃ影響を受けている。そのくせ、書いてるときには意識してなかったので無意識に染みついているんだなぁ。
本当に名作です。読んで。

世界とヒロインのどっちをとる?」。作品名じゃなくて命題ですね。ぼくこの問答大好き。

だいたいこんな処だろうか。うむ、うむ。
都市アクションと理論化魔術だから、かなり出来そうなテーマだと思うんだよね。エンディングが決まってる(「祭壇へ力を還す」が目標として決まってる)ところは、何となくで書いてなんとなくになっちゃう俺自身への課題にもなるのだなぁ。

2本目:カグライ・ライジング!

キーワード:商業化ヒーロー、コロシアム、剣闘士、執念の秀才、帰りを待つ、最高のバイプレーヤー、銃と剣

防神コートをはためかせ、人に仇なす魔獣狩り。しかしその一方、彼らはその技能を持ってショーをする剣闘士である。

地方都市「カグライ」の天才は王都へ招聘(スカウト)され、相棒は彼に挑戦するようにカグライそのものの躍進を誓う…。

これはもう、マジで今まで摂取したお話が顕わ。なのでもう早速元ネタ紹介行ってみよう。

Get Ride!アムドライバー』。ぼくにとっての「ショーアップされたヒーロー」といえばタイバニでもヒロアカでもなくこれなんですよね。「銃と剣の主人公コンビ」は完全にここを意識してる。
アムドラは物語構造がかなり骨太でねぇ、愛憎とか罪罰とか恩讐が……いろいろ……月曜18時台にやるもんじゃねーぞ!!と思うけど、あれのお陰でいろいろ得たものも多い。
メカ(パワードスーツ)がガシャガシャする悦び、復讐鬼の見る悪夢、「えっ!?主人公とヒロインくっつくんじゃないんですか!?」の衝撃、「世界の敵がひとりいればそれ以外の世界は平和になる」思想……ウムウム……。

ワールドトリガー』。「敵はいる」し「それはそれとして身内で戦う」形態。ワールドトリガーの「ランク戦」を一般興業にしたのが「コロシアム」ですね。

ウマ娘 シンデレラグレイ』。「私は中央に行くよ」の原型っていうか切っ掛け。シンデレラグレイを読んだ勢いで書いたようなモンですからね、カグライ・ライジングは。
シンデレラグレイ劇中ではそう言ってくれなかったけど、俺はそのエピソードを読んだ途端「大舞台で最強になったお前より最強になってやる」が浮かんでしまった!ので書きました。

怪獣8号』。置いていかれた者の再起!の意味で。こっちはおっさんじゃないけどね。

だいたいこんな感じ。シンデレラグレイをベースにワールドトリガーとアムドラを混ぜあげたので比較的苦労がなかったかな……楽しかった。

3本目:そして煙草は尽き、勇史帳は埋まる。

キーワード:魔王と勇者のファンタジー、まだエンディングではない世界、御朱印帳、魔族、グイグイ系ヒロイン、無骨男、煙草

三発目。旅の始まりです。物理・地理的な終わりの決まってない旅であり、クライマックスシーンは決まっている旅。珍しいなぁ。

当初はもっとゆっくりギエンと黒冠の口喧嘩や、ゆっくりメシを食うギエンのシーンとか書いてたんですけど、文字数が嵩むわ嵩むわ。もービックリ。ギエンがなぜその飯屋にしか来ないのか、黒冠の装備の特徴、祖父の店とギエンの罪、色々書いたんだけどなー。

とはいえ、物語のテンポとドライブ感を重視したらそんなことも言っていられない。ドンドンやりましたよ!一番物語の動きがある「旅立ち」のくだりにフォーカスしたらなんとか纏まりました。よかったよかった。

「煙草」、数が減っていくもの。命を削るもの。これと「力を失っていく主人公」の意味合いを掛け合わせて使えるなぁと思って、そういう力を失っていくこと、補給ができないことから旅のイメージを作って……って感じだったかな?

はい、解剖しましょうか。

選ばれなかった勇者の花嫁』。以前観劇した朗読劇で、感想文も書きましたねこのお話は「まだ魔王は倒れてないが、勇者の威光や偉業は語られてる」世界。そこで旅をするなら、勇者の拠点は勇者の偉業を観光資源にするだろうなぁ…とイメージを広げました。

IFREET』。炎使いが無口で無骨、って意味で多分下敷きになってるかもしれない……かなぁ。あんまり意識してなかったけど。

保健室の死神』。「煙草をくわえて能力解放」、のイメージは多分ここからきてるんじゃないかなぁ。名作なので読んでみてね。同じ作者の最新作の『怪物事変』はアニメも始まるので是非是非。

……あんまり下敷きはないのかも、コレ。『結城友奈は勇者である』とかも「勇者」のキーワードの引っかかりになってるかもしれないけど……勇者の概念がかなり独特だからなぁ。

まとめ

・ライナーノーツはすぐ書こう!!
「まとめ」って普通ライナーノーツを通して「今回はこんなことを意識したぞ!」とかを書くべきなんだろうけど、いや今の気持ちはマジでこれに尽きるんですよね。マジで。
正直ね、11月入って2週間ってことは「太陽の仮宿」から一か月半ですからね。ライナーノーツ書くにも思い出す時間がめっちゃいる。駄目でしょ。
反省します!!

・バディにかなり意識を持った気がする
「登場人物を二人出す」はよく言われてることだし、多分今までも無意識で二人組は作ってきたんだけど、今回は特に意識して組んだと思う。
異能力バトルにおける強弱での対比はどのペアにもあるんだけど、それに加えての要素が「師匠と弟子」「ライバル」「新生・主人と従者」って感じにバラバラに出来たのはいいと思う。あとは、このそれぞれの特徴を生かしたうえでどういう物語や会話を展開できるかなんだよな。800字で満足しちゃいけない!
ただし!『太陽の仮宿』と『勇史帳』をさらに本質的に解剖すると、「引っ張っていくヒロインとついていく男で一致してしまうので、これは……どうなんだろう。正直「引っ張りヒロインこれが好き」なので、大きなものを一つ作り切らないと毎回無意識に作っちゃいそうですね。ヘキに正直に行こう!

・人が早速死んだ
逆噴射プラクティスでは「まず殺そう(=物語を動かす大きな要素を入れる)」的なことが言われていたけど、この「ドライブ感」が苦手でした。どちらかと言えば会話劇とか心情パートが得意だし、アクションはアクションで苦手なので、アクション書くのに集中しちゃって動かすのが上手くいかなくなる。
ということもあり、今回は「事態をしっかり動かそう」ということを意識して書いてました。
『太陽の仮宿』では開幕で魔神もどきがロンドンの街に立ち込め、『カグライ』では魔獣を殺して宣戦布告をし、『煙草と勇史帳』では店がぶっ壊れた。あと旅の目標が決まった。三作とも「事態が動く」ことは出来たと思う。

・終わりを意識した
3本とも明確な「ラストのシチュエーション」を考えました。
色んな作品……例えば『柳生十兵衛がやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』とかきっちり完結してるしすげー!!って思いまして、それに憧れた形になりますね。
『アカシック・カフェ』とかは「話題さえあれば無限に出来る」と言われたこともあるけれど、そういう「無限に連載していく」ことは同人では難しいし、かといって俺が今すぐ商業連載を持てるわけでもないし、そもそもそれが出来るだけの技量とネタと、考える時間がない。
むやみやたらな高望みより、まずは「一本完結させる」こと。そう考えたら、自ずと「今後の流れがある程度想定される、目的のある物語」になりました。

書き続けるって大変だ。
やいのやいの言いましたが、書き続けることは本当に大変です。
この10月になる直前、『アイドルマスターシンデレラガールズ』の二次創作の本を一冊作り切りました。身内で色々書いてたログを纏め直して、そこに書きおろしを加えたものだったんですが……それを作って売って、で完全に力尽きてました。ウオオーッ。
まぁ7万字弱(ログ全部)→5万字くらい(収録エピソードを選抜)→10万字(加筆修正後)なんで、そりゃ疲れるんですけど……。
何が困るって、25万字の二次創作もあるんですよね。これを本にするの、正気の沙汰じゃないですよ?どうするの??

虚脱タイムとか、物理声優イベントへの参加とかが同時に重なった10月、そしてその後始末に追われながら、スタァライト二次創作が鉄火場になる11月……。
書き続けるって大変だなぁ!!体力とか精神力の管理、スケジューリングにタスク調整など、物理肉体管理の必要性をひしひし感じました。家事と精神補助してくれるメイドさんが欲しい……。

というわけで。

ライナーノーツはこの辺で!

本の委託のことを考えたり、二次創作準備したり、見たい映画が溜まってたり、献血行きたかったりでなんかパンクしそうなんですけど、なんとかうまくやっていこうと思います。

願わくば「ちゃんと書くことを意識して書いた逆噴射2020応募作です!」が口だけにならないように……頑張りたい……っスね。

ではでは。なんかあったらマシュマロとか、Twitterとかで!引き続きよろしくお願いします!

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