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#25 さるうさぎの生きる道

春の初め
桃色の花びらが舞をしている。そう、季節は春になったのだ。沙留卯(さるうさ)は今、三才半。そして見事、3年生に合格したのだった。この学校は3クラスあって、成績順になっている。なので2ヶ月に一度クラス替えをするのだ。沙留卯は頑張って、国語・算数2組、理科・社会1組、専科1組の成績を修めたのだった。もう、あの時の悲しみは忘れかけていた。

そして学校の一日目は担任の先生とゲームをしたりして、楽しく過ごした。

二日目は、本格的授業が始まり、今は、今日全部の授業を終えたところだった。沙留卯はバックを持って教室を出て、階段を降りた。すると、3~4m先には、卯野美奈江(うさのみなえ)がいた。そう、今沙留卯が通っている学校、それが卯山小学校だったのだ。

「卯野さん?」

と沙留卯は聞いた。すると、

「や、山中、さん?」

と、おどけた返事がかえってきた。

「卯山さん私、あなたともっと話したい。明日、学校が終わったら、直接私の家に来てくれないかな?」

と沙留卯は言った。

「え、でも、私…、ちょっと…。」

美奈江が言うと、

「そこをなんとか、ここで待っているから。」

「で、でも…。じゃあ、一応聴いてみる。」

と美奈江が言った。

「ありがとう。じゃあね。」

と沙留卯は答えて、そのまま家に帰った。


でも、沙留卯は変とは思わなかった。美奈江のことを。そう、美奈江は内心戸惑っていたのだ。自分から来た時は、なぜあんなにはきはきしていたのに、今はこんなのだろうか。こんな疑問など少しも考えてなかった。これは、沙留卯の運命の分かれ道だった。もし、気づいていたら、食い止められ、世の中は平和になったはずだ。しかし、沙留卯は天がくれたわずかのチャンスに全く気づいていなかった。もう、沙留卯の運命は誰にも変えられない。

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