#10 さるうさぎの生きる道
謎のうさぎと村のうさぎ
家のそばののっぽの木の下にうさぎはいた。そして、睨みつけながら、
「明日、この地に来て。絶対よ。」
と一言だけ言い、去っていった。
そして次の日。素直にお母さんと沙留卯(さるうさ)は、あの木の下へ行こうと家を出て、もうすぐ木に着くという所らへんになって、たくさんのうさぎが涙を流して群がっていた。
「お母さん、なんでみんな泣いているの?」
と沙留卯がきくと、お母さんは
「さあ、でもこの中に猿はいないわね。」
と言った。そして、あの木に着くと、そこにはうさぎ代表の市長がいた。すると、市長は口を開きました。
「お久しぶりですね。兎川 兎子(うさかわ うさぎこ)さん。」
市長はニタっと不気味な笑みを浮かべた。
「お母さんの名前は、山中 美絵(みえ)だよ。」
叫ぶように、沙留卯が言った。
「ふむ。山中というのはきっと事実だろう。兎川というのは旧姓だからな。しかし、兎子というのは本当だ。」
「えっ。」
「とにかく、こんなことはどうでもいい。二人に来てもらったのは、訳がある。あなた達は、全くかわいそうだ。それで、1ヶ月教育費5万円と生活費10万円を寄付してあげようと思っている。」
「ほ、本当?」
びっくりして沙留卯が言うと、
「ああ本当だ。…ただし、二匹とも兎の仲間になり、」
と市長が言うと、副市長が、
「もう一生、猿の仲間にならないと約束してくれればだがね。」
と言った。”どうする?”という目でお母さんに沙留卯が伝えた。でも、お母さんはずっと黙ったままだった。
すると、村のうさぎが、
「このお話。ぜひ承るべきだと思いますよ。兎子さん。」
「ええ。私もそう思います。あなた、もう二度とないチャンスなのよ。」
「そうですよ。もう一度仲良くしましょう。」
などと、みんな説得したが、お母さんは黙ったまま。
そして市長さんが、
「何も今すぐ答えを出さなくてもいいのですよ。それでは、2日後、答えを考えて、またここへ来てください。待ってますよ。」
と言った。
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