![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69987402/rectangle_large_type_2_190fe7ca56adbc3389c0332e6dc65141.jpg?width=1200)
#18 さるうさぎが生きる道
いつもの沙留卯(さるうさ)
そして、あのうさぎがいなくなってから、少しの時間が経った頃、大きくて、元気な声が聞こえてきた。
「あっ、美香ちゃんだ。」
沙留卯は言った。
「こんにちは、サエ!」
と、美香は言った。そして、お母さんも、
「こんにちは、美香。今日はどうしたの?」
と言った。聞こえてませんけれど。
「ごめんね、サエ。あなたの子供、バカにして。」
美香にも分かったようだ。自分がひどいことを言ってしまったことを。
「ねえ、あなた、何を食べて生きているの?」
と美香は言った。すると、お母さんは貯蔵室にあった少しの人参と、一枚の大根の葉を持ってきた。
「これしか、食べないの?」
母は首を縦に振った。
「人間と全然違う!人は、もっとトマトとか、メロンとか、豆とか、色々なものを食べるのに。」
沙留卯は、てっきり人も兎も同じものを食べると思っていたので、びっくりした。
「でも、どんなに衣食住が違っても、みんな同じ生命から生まれた生き物なんだよね。」
美香の言った、この言葉の意味が、まだ幼い沙留卯には分からなかった。しかし、美絵はこの言葉にじんときていた。
「XX□□X」
聞き取れないような声がした。すると、
「美香のお母さんが『帰りましょう』と遠くから言っているわ。私たちも家に帰ろう。」
とお母さんが言いました。沙留卯は、
「うん」
と答えた。そして、美絵と沙留卯は美香に気づかれないように、家に帰っていった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?