見出し画像

#14 さるうさぎが生きる道

告白4
それは、雨がざんざんぶりに降っている日の11時頃。猿たちに見捨てられた山中家では、昨日の続きの話が始まろうとしていた。
「沙留卯(さるうさ)、お昼からなんだけど、昨日の続きを話すね。」

画像2

ーーあれから二人(一匹と一羽)は、また家に戻り、美絵の部屋へ入っていった。
「猿希さん、なんでそんなこと言えるの。まさか、私のこと、本当に愛していないの。どうなのよ!」
と涙まじりで言った。
「僕はただ、ただ……」
「ただ何よ。私、猿族になってもいいの。もし、あなたが私のために止めたなら、それはとんでもない大間違いだわ。」
「で、でも。」
「私、どんなことがあってもいいから。…でも、もし、これからあることが、怖くて耐えきれないのなら、それでも、それでも、いいわ。」
流していた涙を拭いながら、涙を噛み締めて言った。
「ごめん、君の気持ちも知らないで。もう二度とこんなこと言わない。そう約束するよ。」
と猿希は言った。そして、美絵が、
「ありがとう。じゃあ、行こっか。」
答えた。
「でも、お父様。なぜそこまで猿を嫌うのだろう。猿にだって、良いところ、沢山あるのに。」
「ん~。それも行って、聞いてみよう。」
と言った。

画像2

ーーーということなの。」
「ふーん。それで、何で嫌っていたの?」
と沙留卯がきくと、
「それがまた、ややこしくてね。だから、お昼ごはんを食べてから、続きを話しましょう。」
と答えた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?