#26 さるうさぎの生きる道
不幸な美奈絵
「山中さん、大丈夫でした。」
「良かった。それじゃあいこう!」
沙留卯(さるうさ)と美奈絵は歩きだした。そして、数分で家に着いた。家につくと、美奈絵を居間にとおしました。
「こんにちは。あなたには、本当に感謝してるわ。そのおかげで、こんな生活が送れているのだから。」
お母さんは言った。
「いいえ、最終的に決めたのは、おば様なのですから。」
美奈絵は言った。
「ねぇ、そんな堅苦しい話より、もっと明るい話をしようよ。」
「そうですよね。でも、話すことがないわ。」
「う~ん。あなた、すごく仲間が好きみたいだけど、友達いるの?」
「…私、いないわ。」
沙留卯はびっくりした。しかし、このあとの言葉で、沙留卯はもっとびっくりする運命が、すぐそこに待っていたのだ。
「それに…兎なんか大嫌いよ。」
それは、今まで一度も聞いたことのない力強い声だった。
「信じられる兎なんて、お父さんだけよ。お母さん、いえ、卯林 みえ奈なんて何よりもきらいよ!」
お母さんは紅茶のコップを落としました。そう、美奈絵はみえ奈の子供だったのだ。
「何で、何でそこまで嫌うの?」
沙留卯はきいた。
「みえ奈は私達を捨てたのよ!私よりも、宝塚をとったのよ!許せない、絶対に許せない!あんな兎、絶対によ!」
美奈絵の声は次第に大きくなり、二人(二羽?)に怒りを訴えているのだった。
「そんなこと、そんなことみえ奈はしない。もう、そんなことを言うのはやめて。」
お母さんが美奈絵の声を遮るように言った。
「おばさま、これは信じざるを得ない事実なのです。そのおかげで、私は母の顔を覚えていません。なんせ、私が生まれて3~4日後に行ってしまったのだから。」
美奈絵は言った。
「なんで、そんなに詳しく知っているの?」
沙留卯が疑問をぶつけた。
「全部お父さんから聞いた話よ。」
美奈絵が答えた。
「ごめんなさい、今日はこれで失礼します。」
美奈絵が挨拶をして、家を出ていった。
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