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#11 さるうさぎが生きる道

告白1
あれから2人は家に帰ったが、ずっと黙ったままだった。すると、お母さんが急に、

「沙留卯(さるうさ)、ずっと言わなければならないと思っていたんだけどね。ごめんね。実は市長の行ったことは本当で、山中美絵(みえ)というのは仮名なの。これからの話、聞いてくれる。」

沙留卯は小さく頷いた。

告白2
ーーそれは、初めて仕事についたころ、その仕事について、猿希はとても詳しく兎子(うさぎこ)に教えてくれた。そのおかげで、兎子は猿希が優しい人だな~と思った。その頃、兎子は自分の名前がものすごく嫌いになった。それは、普通なら苗字と名前どちらかにウサギやウサが1つつくだけなのに兎子は兎という言葉が2つもあったからだ。おまけに、その頃は卯という字が流行っていて、兎子は小さい時いじめられたことさえあったからである。なので、兎子の憧れだった卯林 みえ奈の名を借りて、自分を兎川 美絵と名付けた。

そして、美絵が仕事に就いて半年ぐらい立った頃らへんから、猿希は美絵を頼るようになった。なんせ、猿希の家はお金がなくて、義務の5年生までしか学校に行けなかったから。

それから、猿希は次第に美絵のことが好きになってきた。そして、思い切って猿希は美絵に告白した。初め、美絵は戸惑った。が、だんだん「結構、いい人かも。あの人と結婚するのもいいかな。」と思った。

そして、美絵は決心してお父さんに言った。が、しかし、お父さんは「猿」という言葉が出た瞬間からもう反対しだした。お父さんは美絵の仕事を変えさせて、あの猿のことは綺麗さっぱり忘れろと言った。しかし、これがまた悪夢を引き寄せた。

仕事を変えて2週間後、なんと美絵の家に猿希がやってきたのだ。
そして、おまけに、

「2週間も連絡が無かったので家に来たのですけれども。」

なんて言ったからもう大変。父は激怒し、猿希を1時間も説教したのだった。ーーーーーーー。

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「そんなにおじいちゃん、反対したの?」

と沙留卯がきくと、お母さんは、

「ええ、そうよ。まだ続きがあるのだけれども、聞いてくれる?」

と静かに言った。沙留卯は、

「うん」

と答えた。

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