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6.いつから来れる?

「書き終わりました」

「はーい、ちょっと待ってねぇ」

ーーーーー

一通り書き終えた。
エントリーシートと言うのだろうか?
マネージャーらしき人に手渡すと、
紙と私を見定めるかのように
チラチラと交互に視線が送られる。

(そんな事より、あそこに座ってる人が気になる、、、)

たぶん、この店のボーイなんだろう、
カウンターに座っている
塩顔イケメンは
タバコを吸いながら携帯をいじり
その場所を離れようとしない。

こちら側を見ていないものの、
5メートルも離れていないその距離に居る彼に、
何もかも話しは筒抜けに聞こえる訳で、、。

(個人情報もクソもないやん。。
普通、面接とかってそういうの配慮するんじゃ、、?
風俗業界、ウリ専に、【普通】を求めても無駄なのか、、)

そんな事を考えていると、

「えっと、バックタチ(挿れる側)は不可でウケ(挿れられる側)は可って事は経験があるんだよねぇ?何回くらい?」

「えっと、3回くらいです、、」

「そっかぁ、ウリ専ははじめてだよねぇ?
って事はプライベートでだよね?」

「はい、、そうです、、」

「って事は、ゲイの子かな?」

「、、はい、そうです」

ーーー慣れない。笑
今まで自分がゲイだの、s xだの
公に話した事がない私には
全て未体験ゾーンの会話だった。

「うんうん、なるほど〜。了解です。いつから来れる?」

「。。。へ?」

「あ、採用です」

・・・呆気に取られた。
こんな秒で終わる面接がこの世にあると思っていなかったからだ。
身体チェックとか、なんか、そうゆう風俗っぽい審査みたいなのあるもんだと思っていたのに、拍子抜けした。

「・・あ、明日からでも」

「了解しました😄明日の何時かな?」

「えっと、、12時とかでも大丈夫ですか?」

「了解です、ちょっと待ってねーー」

そういうと、私のエントリーシートを持って裏に消えていった。

カウンターの塩顔イケメンは私の存在に気づいていないのか位
まったく興味なく相変わらず携帯をいじっていた。

奥から面接担当が戻って来ると、1枚の紙を渡された。

「そしたら、明日来る時までにこの紙に書いてあるものを用意しといて下さい^^
あと何か質問などなければ今日はとりあえずこれで終了です」

そう言って、私の人生初のウリ専面接はわずか5分で終了となった。

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