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第7話 禁断の果実
禁断の果実、それはきっと毒が強いほどに甘いモノ……16歳にして私はそんな媚薬にやられたようです。
犯人はオカカル部が誇るベーシストっ!
……の、女の子に変身しちゃったトモ先輩っ。
「最高なんだけど……どーみても普通に女の子すぎるんだよねぇ。ステージ的には公表した方が食いつくと思うのよ」
オカカル部癒やし美少年のトモ先輩が、学園祭に向けて愛さんとみやび先輩にあれよあれよと施しを受けていた。
「もうムリヤリにでも男の子だって分かるように腕とか脚に “ にゅーはーふ ” って書くしかないんじゃない?」
悪ノリのように思える様子に最初は呆れ半分だったけれど、洋服やメイクが仕上がっていくたびに咲き乱れていく芸術は、私を幻想のように吸い寄せていった。
ノースリーブのブラウスにフレアのミニスカート。縦幅のある唇に塗られた多めグロスが華奢なシルエットに目立っている。
容姿で言えば愛さんもみやび先輩も整ってはいるけれど、トモ先輩のそれは何とも生々しいというか……全く違う妖艶な色気を放っていた。
そういえば女形の役者さんとかニューハーフさんが色っぽいのは、男性が好むエロさを熟知しているからだと何かで読んだ事があるけれど……という事はトモ先輩は本物って事っ?
「ねぇねぇー。トモちゃん、明日は土曜日なんだから今日ウチにお泊りに来なよぉ。そのまんまの服でさぁ」
「朝倉ぁ、お前思いっきりイカがわしい顔して、いきなり何いってんだ? 智樹困ってんじゃねーかよ。なぁ」
「いーじゃんっ。幼馴染だからってムサシいつもトモちゃんを独占してんだから、たまにはさぁ。トモちゃんの可愛さはみんなの物なんだよぉ」
ムサシさんが言葉を詰まらせて赤くなってる。何だか私までドキドキしてきたぞ、だってトモ先輩のあの眼っ! 女の子だもん、乙女ってるものぉ。
BL女子の気持ちが今私に降り注がれたと1人妄想に溺れていると「お泊りに沙也加さんも一緒なら安心するのでは?」なんて、トモ先輩がとんでもない豪速球を投げていた。
エロ綺麗なお顔して何を言ってくれてるんですかっ、トモ先輩っ!
「ったく、みやびってば。まるでサカリのついたオッサンみたいじゃない……仕方ない、ローンを通してくれた貸りもあるしね。私も参加するなら安心できるでしょ? ムサシ」
さすが部長っ! と言いたいところですけどぉ……私の拒否権は無いのですか? 部長様っ。
ムサシさんは心配なんてしていないとフテクサレて腕を組んじゃっているし、みやび先輩はニヤケながら指をウニウニさせているし……もうもう、絶っ対貞操の危機っ。
少しだけ愛をください♡