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知らなかったけど。

画像は政府広報オンラインから無断借用。 食の安全に関わることなのでみんな見よう。

少し前に、『サイゼリヤのプロシュート、在庫なくなり次第終了?』と言う記事が流れてきて、『そりゃ企業だし、在庫管理の加減次第で品切れぐらい起こりうるだろ』なんて思って眺めて見たのですが、事情は複雑みたいで思わず「ううむ・・・」と声が出たので筆を執った次第。

イノシシ、マジ迷惑。

数年前から、妻の実家の裏山にある竹林のイノシシ被害が減った気がしてた。 結婚した当初は家に竹の影がかかるくらいに繁っていたのだが、ここしばらくではめっきり後退して、雑木の中に隠れるようにひっそりと生えている。 おい誰だいま髪の話をしたやつは。
妻が子供の頃は、猟友会の皆さんが地域をパトロールしておられたらしいのだが、警察の規制強化のため、猟友会自体の活動も縮小、巡回の回数も少なくなり、駆除のタイミングも少なくなったせいかイノシシが大繁殖。 猫額の隙間で植えていた家庭菜園の被害が急増、竹林を形成していた竹の根を掘り、タケノコを食むことで新しく生えてくる竹が姿を消し、竹が覆うほどに生えていた山もはげ山に・・・おいやめろ。
とにかく、数年前までは猪被害が本当にひどく、畑仕事自体をやめるほどだったわけですよ。
ところが今年、妻の実家のお隣さんが耕した畑は豊作のようで、様々な野菜がたわわに実り、無事の収穫ができたご様子。 それはそれでなにより、ようございましたと思うのだが、同時に首をかしげるのは、あれほど被害をもたらした猪たちはどこに消えたのだろうと言うこと。

日本はもう清浄国ではない。

昔話だが、「トンコレラ」と言う音を耳にした。字にすると『豚コレラ』。
人に感染するコレラと区別するために、最近では『豚熱』または『CSF』と表記されるらしい。
非常に伝染性と致死性が高く、畜産の場では一頭でも罹患が確認されるとその養豚場の豚は全て処分されるばかりか、その周囲の養豚場まで閉鎖させされるという徹底ぶり。それだけ危険な病気と言うことだと思う。
日本では平成4年の発生を最後にしばらく収束していたのだが、平成30年9月に中部地方で発生が確認。 懸命の対応を続けるも、被害の拡大に政府は『経口ワクチン』の投与を決定する。
これにより数十年、清浄国としてその地位を保っていた我が国がウィルスの前に敗北を認めた瞬間だった。
そもそもウィルスそのものがいないことを目標としているのに、弱毒化したとはいえウィルスそのものを投与する決断は、いかに苦渋の決断だったろうか。 関係者の皆様の断腸の思いを偲ばずにはいられない。 

では、清浄国でなくなるとどうなるのか?であるが、清浄国である他の国に対して、国産の豚肉を輸出することが出来なくなる。同時に、今まで『非清浄国であることを理由に』輸入を断っていた名分が立たなくなり、対日輸出圧力が生まれることになる。 ただこれは、ワクチン接種豚と病歴のある罹患豚の区別が区別がつかないからと言う理由に対してさらにその境界を曖昧にしてしまうのではないかと個人的には思うので、輸出圧力に負けてしまうのは問題をさらに長期化させるのではないのかなと思ってる。 卯奈は日本の官僚の諸氏は皆優秀で職務に熱心な方であるという信仰にも似た信頼を一方的に抱いているので、時間がかかりこそすれ、いずれは解決してくれるだろうと思っている。

今度はASFだ!

では何を焦っているのかと言うのだ。 豚熱が発生した。 しかしそれは日本の話だろう、輸入に何の問題があるというのだ。
本題はここで、2022年1月、プロシュット・デ・パルマを生産するイタリアにおいて、豚熱に並ぶ脅威を持つ家畜伝染病ASFが確認されたことに由来する。
イタリア本土外のサルディニア島ではそれ以前から確認されていたのだが、本土である半島で野生の猪で発見されたと言うことで、残念なことだがイタリアがASF非清浄国になったと言うことだ。 このためイタリアからの肉製品の輸入が一切認められなくなった。

ASFとCSF

症状は似ていますが、原因となるウイルスが異なる違う病気です。 豚コレラの原因ウイルスは、フラビウイルス科ぺスチウイルス属に分類 されますが、アフリカ豚コレラ(African swine fever)の原因ウイルス は、アスファウイルス科アスフィウイルス属に分類されています。なお、 アフリカ豚コレラウイルスも、人には感染しません。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5137340.pdf

病気としては異なる病気だ。 だからこそ、『これ以上変な病気を入れるわけにはいかない』以上、万全の対策を持って望むべきだ。 だってブタ熱だけでこれだけ大変なんよ?
『火を通して食べるんなら大丈夫じゃない?』 これは義母に言われた言葉だが、冗談じゃない、切れ端一つ生ゴミに紛れ込ませることがあれば、その生ゴミがどう原因になるか知れたものではないのだ。 入れないこと。 これ以上に勝る防疫はない。

今回の記事は、こちらや、こちら、そしてこちらこちらの記事を参考に書かせてもらっている。 基本的に官公庁の公式だが、これだけで日本の食を護るために関係機関が危機感を持って臨んでらっしゃることがわかるはず。
一般市民の立場で何が出来るかと言えば、公務の妨げにならず、行政の迷惑にならないように心がけたいと思うのだ、いやマジで。

じゃあ、どうすればいいんだと言う話。

参考にしているこちらによれば、フランスとスペインでは9月現在発生が確認されていない。じゃあいいのかというとそうじゃない。全部だめなんだ。
では日本では今後生ハムが食べられなくなるのかと言えばそうではない。
清浄国で製造されている物ならば大丈夫なのかも知れない。製造されているのかは不明だが。検疫を通し、安全が担保されたならそう言う商品も出てくるかも知れない。 だがそんな不確かで曖昧な物を頼るくらいなら、日本で挑戦されているパイオニアのお店を探してみて欲しいのだ。
埼玉県の坂戸では尾島さんという『日本の生ハムの父』が、何十年にも亘りスペイン式のハムを作ってらっしゃる。 秋田ではグランビアの金子さんやしらかみフーズさんが作っておられるし、青森ではおおわに自然村さんが、群馬では育風堂さんや赤城山では林牧場さん、新潟ではみんなのハムの春日さん、長野にいたってはヒメキさんをはじめとして多くのパイオニアが携わっておられとても列挙できない。
千葉でも小豆島でも、土地の風土を生かした生ハムを目指して作っておられるし、岐阜の関市では多田さんというパルマでマエストロの称号を得た方が作っておられる。 正直記憶にある中だけでこれだけの多くのパイオニアが活躍しておられ、まだまだたくさんのパイオニアがいらっしゃる。書き漏れがあるのは意図ではなく、ただただ自分の情報収集の不足に過ぎない。
それだけ多くの方が作っておられるのだ。

外国産が食べられないなら国産ハムを食べればいいじゃない

これは個人的な提案だが、身近なところの生ハム工房を訪ねて、そちらのハムを試してみてはいかがだろう、気に入らなければ別の所。 失敗しても良い、小さな量でためしてみて、気に入ったところを見つければ良い。 造り酒屋と一緒で、気に入ったお酒を醸す蔵元を見つけるまで、それを楽しむように、生ハムも気に入ったテイストに出会えることをたのしみにしてみるのはどうだろう。
ある時に自宅から高速に乗って2時間半くらいの所にある工房のハムを購入した事がある。 都内でも評判であちこちでひっぱりだこと言うから期待したのがアダになったか、正直申し上げると自分の好みのテイストではなかった。 否定ではなく、その方の目指すテイストと、自分の好みとするテイストの違いに過ぎないので、好きな人は好きな味だと思う。
次は長野を旅してみたいと思っているが、ここから先は雪の季節。行くとしても春以降かな、なんて思う。

自作は決しておすすめはしない。

ここまで読まれる時間と体力と忍耐力のある方は(いらしたとしたら尊敬する)、『おいおい、じゃあお前が作ってるのは何なんだよ、列記した生産者さんのどれかのステマか?』とか言われそうだが、『そんなことはない』
卯奈、食品衛生管理者資格持ってません。 欲しい。
趣味で自分で作っているのは認めるが、衛生面の担保、管理の担保が出来ない方に勧める趣味ではないし、出来たとしても自己責任を強調したい。
(ただし、これだけは言う。 出来たときの達成感は半端ない。と。)

生肉を何ヶ月も自然換気に晒すわけですよ、入れられるなら冷蔵庫でも良いけれどさ。 正気か?と言われるようなことをしている自覚は当然ある。
なのであくまでも自分はこのやり方で作っている、と言う作業日報に過ぎず、この文章は後で見返す自分のための防備録に過ぎない。 もし、どこかから何かの間違いで一連の作業記録をご覧になられ、自分もやってみようかと思われた方は、何度でも繰り返して言うが『くれぐれも自己責任で』とお願いしたい。

ブタのとはいえ感染症。一日も早い収束を望みつつ、収束を迎え、またパルマのハムが店先に並ぶ頃には、「あの時食べた国産のハムもおいしかったよね」と、尊敬する諸先輩の味が本家のハムに決して引けを取らないことが認知されることを望んで願ってやみません。
水際で防疫に当たられる検疫局の皆様、日本の農畜産を護ろうと日夜不断の努力を重ねられている農林水産省の皆様、畜産の最前線で戦ってらっしゃる農家の皆様の奮闘努力に心からの敬意と感謝を捧げます。 いつもありがとうございます。
一消費者の立場に過ぎない自分ですが、感謝と共にこの稿を閉じます。
ありがとうございました。

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