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美味(うま)くて、いい写真のワークショップ

写真を始めようと思ってカメラを買ってからもうすぐ5年経つけど、撮った枚数だけで言ったらこの1年だけでそれ以前の4年間の全てを凌駕している。
急に覚醒しちゃった主人公みたいだけど、単純にそれまでが撮る枚数が少なかったんだよね。

そしてこれから先もきっとそれを超える勢いで枚数が増えていくんだろうなって今思っている。

ほぼ1年前、写真家の幡野広志さんのワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」に参加してから、写真のハードルが取り除かれてバリアフリーになった。その時のことはこちらのnoteに書いてあるのでお時間がある時にぜひ。

障害物がなくなったおかげで撮る枚数が爆増、RAW現像も比じゃないくらいはやくなって今では間違いなく生活の一部になっている。超楽しい。超楽しいし、うまく言えないけど、お金にはならない財産が増えていってる感じ、まさにプライスレス。最高。2023年、写真元年としたい。大革命。もはや新世紀(?)。

なぜ今後それを超える勢いで枚数が増える予感がしているかというとなんですけど。

幡野さんの新バージョンのワークショップ「いい写真は誰でも撮れるその2」に参加したからで。

先にも述べたとおり、ぼくの写真に対するハードルは1年前のワークショップでバリアフリーになったわけだけど、今回はその地面をきれいに舗装して「こうしたらはやく走れるようになるよ」って走り方を教わって、その練習方法まで教わってしまった感じ。

走り方って言っても、早く走れる靴を買うとか、フライングにならないギリギリを狙ってスタートするとか、そういう小手先じゃなくて、膝をしっかりあげるとか、前をしっかりみて走る、とかそういう基本的だけどたぶん1番大切なこと。

ちなみに早く走れる靴を買うとかフライングギリギリスタートが小手先なのかとか、膝を上げたり前を見たりすれば早く走れるのかとかは全然知らない。ぼくの勝手なイメージだ。
かけっこはいつも後ろの順位から数えた方がはやかった。セリヌンティウスが絶対首を縦に振らない世界線のメロスだ。
なので、全陸上関係者の皆様にはこのあたりの表現に対して全力で目を瞑っていただきたい。

話を戻しますけど、走り方を教えてもらったからって急に早く走れるわけじゃないんだから、感覚を掴むために練習を重ねる必要があるわけで。結局練習が大事なのは何にだって共通の事実だ。

その練習の方法まで教えてくれたから、あとはどれだけ練習を重ねられるかだなあ。タイムを縮めるのは結局自分との勝負ってどっかで聞いたことある。

前回の時にハードルで表現したから、勝手にハードル走の例えで進めてしまってるけど、大丈夫ですか?言いたいこと伝わってますか??

ここまで散々ハードル走で例えてきたくせに、競技スポーツであって速さだけ求められるハードル走ではうまく例えられないんだけど、写真は上手くなるだけじゃダメで、いい写真とはなんだろうって忘れないようにしないといけない。気をつけます。

一年前を思い出しながら電車の時間まで駅構内を歩いた。あの日も光がきれいだったなあ。
どうしていつも電車が来たタイミングで忘れ物に気づくんだろう。GRを充電したまま置いてきた。
失意のシルエット。


今回のワークショップは「その1」の内容、つまり昨年発売された幡野さん著の『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』の内容も結構な割合を占めていた。

ぼくは「その1」を受けていたけど、かなり初期だったし、ワークショップは回数を重ねるたびにブラッシュアップされていっていたみたいなので、それが一冊の本になった時は小躍りした。一気に読んで、気になるところは何回も読んだ。

そして今回のワークショップで、本人の肉声で、しかも補足もしながら説明してもらったことによって、本の内容の解像度が一気に増した。リメイクされたFF7くらい増した。すみません、ちょっと盛ったかもしれない。ちなみにFF7はほぼ未プレイです。すみません。
いかんせん、おかげさまで基礎があらためて固められた気がする。

本を読んでいて気になったことも質問できるので、参加される方は本を読んでからいくのが大正解だと思う。

もちろん「その1」や写真の本で触れられていない部分も盛りだくさん。
強く印象に残っているのは、顔を撮るだけが人を撮るってことじゃないって話。幡野さんが撮った写真をみてシビれた。すごくよかった。

あとは優くんが撮った写真の距離感が完全に幡野さんだったこと。いや、優くんは幡野さんの息子さんだから幡野さんであることは間違いないんだ、名字的に。
そういうことではなくて、マジでビビるくらい幡野さんだった。すごい。

そしてやっぱり実践的な技術の部分。
幡野さんは、写真がうまくならなくていい、とよく言う。

ぼくは幡野さんがきっかけで写真を始めたわけで、写真に関しては基本的に幡野さんが発信していることと、幡野さんに言われたことしかやってない。できてるかどうかはちょっと一旦邪魔にならないところにでもおいといて。

いい写真ってなんだろうって考えながら言われたことだけやってる。変に勉強するより、これでよかったな、と思う。だって現にめちゃくちゃ写真楽しいし。

ヘタでもいい写真は撮れる。
それでもうまくなりたいと思うのが人間らしい。
確かにぼくだってうまくなれるならそりゃうまくなりたいわな、と思う。よかった、ぼくも人間だった。

だったら技術を誤解しないように、と技術とはなんぞやを教えてくれたわけである。
機材の選択と被写体との距離、光について。それを身につける練習方法も実際に幡野さんがカメラを持って教えてくれた。

難しいことなんてなにもなかった。ほんとはあるのかもしれないけど、全然そう思わなかった。こりゃやるしかないぞって気になってくる。
教わったとおりに自分たちでも実際に撮影をしてみる。

「これで技術的には上手くなるけど、いい写真は別。いい写真がわかってないと"うまくてダメな写真"になっちゃいますからね」
この言葉はずっと忘れないように。

余談なんだけど、昨日、ワークショップの内容を思い出しながら家で練習をしていたらなぜかミスチルの『しるし』のサビの一節が脳を掠めた。コラ、集中しなさい。

どんないい写真でも言葉がダメだと台無し。
この歳になって読みたい本がこんなに増えるとは思わなかった。
ペットボトルはきれいに光るからよく撮ってしまう。
そりゃそうなるんだけど、教えてもらったことを練習している時、みんな同じ方向を向いててなんかよかった。
果物がなんで丸いか、あんまり考えたことないかも。
君も黄金比でできているのか。

撮影をしたらお待ちかねのお昼ご飯。
and recipeの小池さん手作りのご飯をいただく。これもこのワークショップの素晴らしいところです。なんかもうほんとう幸せ指数上がりすぎてどうしようっていう具合ですからね。

他の参加者の方も言っていたけど、ワークショップの会場がもうほぼキッチンで、小池さんはワークショップの最初からずっと、スライドが映し出されるモニターの裏で料理をしている。

その音やにおいがたまらなく良くて、最高の環境ができあがる。幡野さんの声と親和性が高すぎる。

裏で料理が進んでいて気が散らないのかって?
最初こそあんまり見慣れない光景にちょっと戸惑うけど、時間が経つと不思議と全く気にならない。なんなら音やにおいが心地良くなってくる。

たぶん幡野さんによるよどみないワークショップの進行と、小池さんの料理のときの動きの無駄のなさが原因だと思う。どう見ても食いしん坊な見た目のぼくが、食材を前に食欲を忘れてしまう状況。すごい。
この感覚は実際に体感して欲しい。不思議な時間だった。

一回だけ、モニター裏につるっつるにむかれたゆで卵が登場した時は思わずそっちに目がいってしまった。ダメだった。
白いつるつるに思わず視線が吸い込まれた。あんなきれいなゆで卵、めったにお目にかかれない。抗えなかった。抗いようがなかった。
あまりにもおいしそうすぎてアツアツの視線を送ってしまった。半熟が固ゆでにならなくて本当によかった。

お昼ご飯はパスタだった。五感で調理を感じ取りながらワークショップに勤しんだぼくらの胃袋は、意識さえしてなかったけれどもうずいぶん前から臨戦体制(ぼくだけじゃないはず)。食べ始めたらほんとにペロリ。おいしすぎた。実は調理されてたのはぼくたちの方なのかもしれない。

小池さんが料理をする音が最高のBGM。
みずみずしいゆで卵がおいしそうすぎてどうしても目を逸らせなかった。
セロリがいいアクセントで軽々と平らげてしまった。あの軽さはきっとゼロカロリー。
美味しいご飯ありがとうございました。
食後のコーヒーはシャキッとするので大好き。

ご飯の後にセレクトと現像の時間もしっかりあった。限られた時間でセレクトと現像をするのはやっぱり難しい。
いいなと思ったものをパッと選んで、スッと現像していくのを心がけた。

あとは姿勢。気をつけているつもりだったけど、幡野さんに指摘されて気がついた。かなり前のめりになっていたと思う。
画面上に定期的に「姿勢大丈夫?」ってポップアップが出るようにしようかな。

そんなこんなで7時間があっという間に過ぎる。前回も感じたけど、今回も同じくあっという間で、気付いたら窓の外で街のいろんな色の光がまたたいていた。

1秒1秒全部たのしかった。
事前に撮った写真も含めてセレクト&現像。
前日に切符を買いに行った時、PERFECT DAYSの平山さんを思い出した。
オレンジ色が好き。光が当たっていてきれいだった。

写真の誤解を解く、誤解を防ぐためのワークショップ。
誤解させておいたほうが都合がいいことも絶対あるはずなんだけど、それでも誠実に教えてくれる。
写真で不幸になる人をできるだけ生みたくないんだろうなあ。

本を読んで、ワークショップも受けて、いろんなところで「そんなところまで考えてるんだ」と驚きまくり。幡野さんも何回も言っているけど「写真って考える仕事」だ。

写真だけじゃない。本を読めばわかるけど、写真の本とはいえど全然写真以外にも置き換えられる、というか生きていく上で大切だと思うことがたくさん書いてある。

ちょっと考えればあたり前なのに、自分がいかに考えてなかったかを思い知る。いろんな気づきがあって、考えるきっかけになる。
もともと幡野さんに興味を持ったのも写真だけじゃなくて、つづっている言葉が、考え方が素敵だと思ったからだったなあ。

自分が何かを生み出す時に、誰のためのなんなのか、考えることを心がけたいなあと改めて思った1日だった。

ワークショップはこれからも開催されるはずなので、もし興味が出たらぜひ受けてみることを全力でおすすめします。

東京に行くのが難しい方もたくさんいると思うけど、今ならほぼ日で2月にオンラインのワークショップも開催される予定らしいのでぜひ。
時間的にも形式的にも、実際のワークショップとはまた違った感じになるとは思うけど、基本的な内容は変わらないはず。きっと後悔しないと思います。人数無制限らしいですよ。今しかない!

写真はやってないしな〜って人(それでもこのnoteをここまで読んでくれてる人がいたら抱きしめたい)、幡野さんの写真の本は写真をやらない人でも読んでみてほしいくらいおもしろいです。

幡野さんが話しているみたいな雰囲気で進んでいくので普段あんまり本を読まない人でも読みやすい。ぼくも読書はあまり得意ではないけど、気づいたら読み終わっていた。
後半は写真を撮る人向けの具体的な内容にはなってくるけど、前半部分はさっきも書いたけど色んな気づきに溢れてます。こぼさないようにそっとすくいあげてください。きっと見える世界がちょっと変わると思います。

今月末にはついにワタナベアニさんの写真の本も出る。
冒頭部分が公開されていて、試しに読んだけど続きがめちゃくちゃ気になる。
こっちも楽しみ。何も進展してるはずがないとわかっていながらも毎日Amazonの注文状況を確認しちゃうくらい楽しみ。早く届け。

辻さんがアニさんの本を持ってきていた。ドキッとするタイトル。読みたい。すごく読みたい。
ぼくの視界の隅にずっと居座っていたシロクマ。かわいい。
おたまの影が音符みたいで、壁に五線譜を引きたくなっちゃった。

ワークショップが終わって、後ろ髪を引かれながらワークショップの会場を後にした。後ろ髪なんてないけど。フェードカットだからなんなら剃り上げてるけど。それくらいたのしかった。

幡野さん、長い時間ありがとうございました。

小池さんも狩野さんも辻さんもありがとうございました。
狩野さんと辻さんとお話しできたの、結構めちゃくちゃ嬉しかった。

他の参加者の皆さんも結構気さくにお話ししてくれてありがとうございました。たぶんなかなか声をかけづらい部類の見た目だと思うけれど、お話しできて楽しかったです。
Twitterでしか面識がない方とも出会えてよかったな。

狩野さんの仕事ぶりに感心しきっていた。
狩野さんと息ぴったりな辻さん。バッテリー組んだら強そう。
帰りもたくさん写真を撮った。色んな人がいるから東京は立ってるだけでおもしろい。
おみやげを忘れずに。もうずいぶんと長いコラボだけど、どういう経緯なんだろう。

冒頭にも書いたけどこの1年で信じられないくらい写真を撮った。1年前の自分に言ってやりたい。続けるどころかどっぷりだぞって。

だからって生活がおろそかになったかって、(たぶん)そんなことはないし、ちゃんと生活の一部になってる。人間関係や様々な経験が広がって、なんなら逆に充実している気がする。どんな音か全然わかんないけど、QOLが上がる音が確かに聞こえた。耳鼻科に行った方がいいかもしれない。

もちろんおちこんだりもするけれど、概ね楽しい日常が送れている。全部が全部写真のおかげってわけではないとは思うけど、間違いなく大きな要素になっていると思う。

今回教えてもらったことを練習していくと、撮る枚数もまた自然と増えるだろうけど、写真だけになってしまわないように考えながら、これからもたくさん写真を撮っていきます。

では、また。

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