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2年目の終着点、3年目の特異点|OWV LIVE TOUR 2022「STRANGE」考察

OWV LIVE TOUR 2022「STRANGE」とはいかようなツアーだったのか。
結論から言うと、タイトルにもあるように、これは「2年目の終着点、3年目の特異点」だったのではないかと思う。
順を追って紐解いていく。


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ライブはVCRによって物語が紡がれる。

初めは荒野を、Time Jackerz (以下TJ)が流れる車が通り過ぎていく
すると突然モニターにノイズが走り、会場全体が真っ暗になる
次にモニターがついたとき、映るのは真っ白な空間に倒れこんでいる浦野
起き上がった浦野の手にはピンク色の石
視線の先にはこれまた真っ白なドアがある
メンバーもそれぞれ別の白い空間にいるようで、各々ドアへと歩き出す
ドアノブに手をかけると扉に文字が浮かび上がる

”𝘚𝘛𝘙𝘈𝘕𝘎𝘌”

いぶかしげに思いつつもドアを開けるメンバーたち
浦野だけは長い時間白い空間を振り返りながら___

ドアの向こうは荒野だった
メンバーたちは白黒でノイズが走っているが、なぜか浦野だけが元のまま
その理由は手に持ったピンクの石だった
集まった4人の中心に石を差し出すと、3人のノイズ状態が治る
不思議がるメンバーたち
と、突如石が光りだし、透明な立方体に変化
TJを奏でながら4人を強烈な光が包む

と、一つ目のVCRはここまでで、VCRから地続きでTJのイントロが流れ、過剰なまでのスモークと共にOWVがステージに登場する。

ここでのポイントは
・荒野を走る車
・ピンクの石と透明な立方体
・ノイズの走るメンバーたち

・荒野を走る車
これは言わずもがな、前回公演「POST TOWN」から物語が続いていることを表しているだろう。宿場町を後にし、なぜか彼らは少し奇妙な世界、”STRANGE”ワールドに迷い込んだ。

・ピンクの石と透明な立方体
・ノイズの走るメンバーたち
浦野が手にしていたピンクの石。あくまでも推測にすぎないが、「ローズクォーツ」という宝石に似ていた。
宝石には、花言葉と同様”石言葉”なるものがあることをご存じだろうか。
ローズクォーツの石言葉の一つは「愛」
しかもこの石は立方体に変化する。立方体=キューブ=QWVと考えると、ファンの愛が彼らを照らし、4人をノイズ状態から救ったということではないだろうか。


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2つ目のVCRでは、空中に無数の紙が現れる
画面には”To you”の文字
そこから、メンバーひとりひとりが紙を見ながらセリフを読み始める
内容を聞いていると、どうやら紙にはOWVのバラードナンバーたちの歌詞が書いてあるらしい

そして読み終わったあと、そのままバラードナンバーが続くコーナーへと入っていく。
バラードナンバーの一曲目は日替わりであり、3都市合わせて持ち曲のバラードがほぼ全てセトリ入りした。(questionがバラードかは微妙…)
このことから、2年分の愛をQWVに存分に伝えるパートだったことがわかる。

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3つ目のVCR、いきなり雰囲気が一変し、「ていうかここどこだよ~!」
というコント調の浦野の一言から始まる

ここではOWVとQWVをつなぐ架け橋
「PWV(ピュウブ)」と名乗る人物から
「OWVがデビューしたころのインタビューで何と答えていたか?」
というお題でOWVに問題が出されるクイズコーナーが繰り広げられる

(余談だが毎部クイズの内容が変わっていて、複数公演参加する人にもVCR=休憩時間にさせないあたり、本当に素晴らしいと感じたし、名古屋2部では「デートに遅れてきた彼女に一言」という、もはや大喜利になっていて彼らのバラエティ力に感服だった)

爆笑に包まれながらも、過去を振り返る点で
「2年目の終着点」という趣旨からは外れていない、
必要なコーナーであったことがわかる。

流れは再び舞台上に戻り、衣装替えをしたOWVが登場する。

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What you waitin' for、TALK TALK TALKとライブでも定番の曲が続き、ラストは新曲Let Go。
そしてアンコールで再び登場した彼らはHere & Nowで締めくくり、ボルテージは最高潮のまま、ライブは終了。
4つ目のVCRが始まる。

メンバーたちが通ってきた白いドアが消え、代わりに一つの黄色のドアが出現する
そこに向かって歩きだす4人
その後ろ姿をカメラのシャッター音が切り取り、エンドロールへ入っていく


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満たされた気持ちでエンドロールを眺め、これで終幕かと思いきや、最後のVCRが始まる。

一人ずつメンバーが黄色のドアを通っていく
まず浦野がドアを開ける
次に本田
と、ふと上着のポケットからクシャクシャになった黄色のチケットを取り出し、少し広げて眺める
また同じポケットにしまい、ドアを通る
次は中川
そして最後に佐野が通ろうとした直前、遠くから肉食獣の咆哮のような音が響く
佐野は少し振り返るが、何事もなかったかのようにドアを通り、そして閉める

荒野に佇む黄色のドアは、OWV4人を吸い寄せた後儚く消える
その後ろ、遠くに小さく見える青いドアを残して_______

ここでのポイントは
・黄色のドアと青いドア
・肉食獣の咆哮
・本田が持っていたチケット

・黄色のドアと青いドア
これはメンバーカラー(以下メンカラ)だと思われる。
黄色=浦野のメンカラであり、今回のVCRの主人公は浦野だった。
つまり、最後に見えた青いドア、これは次のライブツアーではメンカラが青の佐野が主役となることの示唆ではないだろうか。
とすると、恐らく本田、中川が主役のライブツアーもあることになる。
次回「CASINO」ツアーを除くと、あと2つツアーを計画しているのだろうか。

・肉食獣の咆哮
OWVで肉食獣…と聞いて真っ先に思い出すのは、やはり3rd single「Roar」だろう。
Roarの発売日は2021年3月31日、これは1年目に発表された楽曲なので少々苦しいが、結局「過去」のメタファーであることに変わりはない。
つまり、この声の主をSTRANGEの世界に置いていく=過去の自分たちを置いていくことに繋がる。

・本田が持っていたチケット
意味ありげに拡大されたものの、内容までは読めなかった。
黄色のチケットは「POSTTOWN」にも登場したモチーフで、やはりこれも前回公演と地続きであることを示すものだ。

と、ここで話が少しそれるが、皆さんはTJ期に投稿された「20:25 7月27日」という謎の数字を覚えているだろうか。

結論から言うと、「2025年7月27日に何かある」というスポ(ネタバレ)の可能性が高い。
ここからは完全に個人的な憶測&願望だが、「STRANGE」から4人分のツアーを行い、2025年7月27日にその終着点として武道館公演を行うのではないだろうか。期間的に十分考えられる話である。
黄色のチケットが繋いだ物語が武道館へ導くのではないかと、そうであってほしいと、願っている。


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最後に、いきなりだが今年初めに行ったライブツアー「and I」との比較をすることを許してほしい。
未発表曲「Here & Now」を「and I」では始まりとし、「STRANGE」では終わりとしたことで、この二つのツアーに対比を感じたからだ。

「and I」は「今ここにいる僕たち、そしてあなた」というテーマが見てとれた。
MCもそれまでのコロナ禍の苦労を感じさせ、映像で見た私ですらエンドロールの後ガバガバに泣いていた。

一方、「STRANGE」は「僕たちは先に進むけどいいの?着いてこないと置いてっちゃうよ?」だった。明らかに。
現にAfter Partyなどの新しい試みや、告知もたくさんあった。MCも未来の話が中心だった。

上記は私の所感だが、After Partyでもこの曲をラストに持ってきたことから、OWVさん側にも何かしらの意図があることは間違いないだろう。


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まとめると、「STRANGE」ツアーは、パフォーマンス、お笑い、ファンへの想い、OWVへの想い、全ての面でこれまでの2年間の集大成を見せ、3年目の新しい姿を予感させるツアーであった。

ダンスを減らして、体力を温存してまで、曲数を詰めに詰めたのは、今回を最後としてもう生パフォーマンスをしない曲があるからではないか、というようにさえ見えた。
3年目以降のOWVには少しふさわしくないから、名残惜しむように最後、置き土産として「STRANGE」ツアーに置いてきたのではないだろうかと。

これまでの2年間の一区切りと、3年目にして本格的にその片鱗を見せ始めた大きな計画。
その始まりとしての"STRANGE"…ほんの少しの「奇妙さ・違和感」を置くのは天才の所業としか言いようがない。
これから始まるOWV変調の兆し、固唾を飲みつつ愉快に見守ろうと思う。



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