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さびしくない

カネコアヤノ Livehouse Tour 2024 Sendai GIGS

ラッキー/さびしくないがリリースされてから繰り返し聴く日々を過ごしていた。
終盤「さびしくない」と繰り返すことを私は「さびしい」と叫び続けていると感じたけど、この曲を母にシェアしたとき「さびしいとは、愛を知っているから湧いてくる感情なんだろうな。寂しい分だけ愛を知っているから「さびしくない」のかも知れないね」という返事をもらってすごく納得した。同じ曲でも人にとって捉え方は異なる、でも確実にそれぞれに届いている。


以下、曲目を含みます。


肩の力を抜いて歌う、年末のduo setを経験して益々磨きがかかっていたように思う。バンドアレンジも豊かで今まで聴いていた曲とはがらっと表情を変えて、大人な雰囲気を感じる。それをこちらも落ち着いた気持ちでじっくりと味わっていたけど、感情を乗せるかのように歪んだギターが鳴り響いて気持ちが震えずにはいられない。
特に春の夜へ、月明かり、りぼんのてほどきはずっとこみあげるものがあった。
「僕しか分からない美しさよ」、月明かりで菜の花が眩しい春から真夏への移り変わりに気付く、「だれも分からなくていい」、そしてわたしたちへ。どれだけ自分でいられるか、そんなことを考える。

演奏した曲は覚えているものの曲順までは記憶していないし、どの曲も本当に好きなので嬉しいけど、とがるは嬉しかった。私が初めて聞いたカネコアヤノの曲。楽しかったことを思い出したり、あの頃は良かったと思いがちだけど、「巻き戻しなんていらないよ」と走り続ける今の彼女にぴったり。自分が作った曲に励まされることはあるのだろうか?凄まじいCメロ。そしてカーステレオからの「いつまでも今が一番いいから」に心底納得する。

聴く側の状況によって刺さる歌詞は変わる。
気分では「堕落は悪くない 心を守るんだ」が響く。肯定されたような感覚。「帰ろう」と繰り返される間、それは自分自身に帰ることなのかもしれないと思った。腕の中でしか眠れない猫のようにも今までよりもすとんと自分の中に入ってきた。

感情を全部吐き出すようなギターの音、それを掻き鳴らす姿に、私もこんな風に出来たらと羨ましく思う。歌や音に出来ない代わりに、体を揺らして涙を流す。私にはそれしか出来ないけど、それが出来て良かった。これが私の形。

そしてラッキー、さびしくない。音源も素晴らしいけどライブで聴くと格別だった。

ラッキーは初めて聴いた時、歌詞よりも音が印象的で、ここまでサイケな雰囲気の曲は今までなかったと驚いた。聴けば聴くほど好きになる中毒性。

この映像のように白いワンピースに少し伸びた髪、肉眼では見えなかったけどきっとその前髪から覗く瞳は真っ直ぐだったと想像する。

彼女のことばかり書いたけど、今のバンドはすごく良いし好き。このメンバーでしか出来ないアレンジ、このメンバーだから生まれた曲。こうなるために今までがあったのかと思ってしまうほど。リズム隊を中心にした形もよかった。

ここからUKツアーを経てどんどん良い未来に進んでいくんだろう。ずっと歌い続けてほしいと心から思う。

月並みな表現かもしれないし大袈裟かもしれないけど、彼女の歌を聴ける時代に生まれてよかった。

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