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あなたのランジャタイはどこから?私は高熱にうなされたあの日から

毎年M-1の決勝は欠かさず観れど、ここ数年はそれまでの戦いを追いかけるまで、お笑いのアンテナを張っているわけじゃなかった。


2021年の回はそんなゆるゆるのお笑い好きにとってかなり衝撃だった。
1組目のモグライダーに関して、目眩がするくらい面白いと大興奮をした話は以下に書いたとおりだ。

実はこの話には続きがあって、
直後、2組目のランジャタイはこのブチ上がった熱を、地にまで叩き落とした。
あの4分強では正直、彼らの何が面白いのか、私には見いだせなかった。

「このお笑いがわかる人種」「わからない人種」とかそう言う許容力の話ではない。心から理解できないものをファッションで理解したフリする方が、失うものが多い気がした。

ただ、ネタではない部分でのパネル芸、巨人師匠が話を割ってまでお話しされていたエピソードトークが印象に残ったのは間違いなかった。

転機はそう遠くない日におとずれた。

このご時世で例に漏れず物凄く体調を崩した。今回そういう記事ではないので詳細は省略させていただきたいのだが、まあ諸々完全に黒だった。

しばらく家を開ける予定のあった、親しい友人の家に隔離させていただき、置き配のみで暮らし、今年分寝た。
許可を得た録画一覧を片っ端から見続けることで1,2週間の暇をやり過ごしたのだが、そこで「マヂカルクリエイターズ」(テレビ東京)、「漫才のようなもの王」(21.5放送)という企画を見た。

これが全ていけなかった。

マヂラブら9組「漫才じゃない」か競う「漫才のようなもの王」、ザコシが見届け人 https://natalie.mu/owarai/news/428414

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私はくすりともしなかったランジャタイと早くも再会をした。

「うわ!あいつらだ!ヤベエ、逃げろ!!」
早送りをしようと試みたその時、リモコンが行方不明なのをいいことに
ウッチャンナンチャンのネタが始まってしまった。

その3分後には咳と痰があいまってちょっと死を覚悟するくらい途中、呼吸が止まりながらも爆笑に震え、ランジャタイを涙目で見届けていた。

恐ろしいことにそのまま笑い疲れて寝てしまい、夢の中で物凄く不快なBGMとしてランジャタイのウッチャンナンチャンが登場した。
ただでさえ高熱でうなされた時に観る夢のような漫才なのに、この時は輪をかけて最悪だった。


とにかくヤジが飛べば飛ぶほど、ランジャタイが面白く映った。
マヂラブ、ザコシさんが私の想いを代弁してくれたみたいで嬉しかった。
なぁんだ、みんなやっぱそうなんじゃん!


色々調べていくうちに、21年頭に伝説になったと聞いた「マヂカルラブリーno寄席2021」の話にたどり着いた。
放送当時、そんなことを言われていたのか定かではないが、
このくだりは、以下の再来なのではないかと感じた。

【ライブレポート】好ましいガヤとは?「マヂカルラブリーno寄席」迷走、次回は基本に立ち返る(写真21枚) https://natalie.mu/owarai/news/460219

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いやよいやよも好きのうちとはよく言ったもので、
今はすっかり体調は回復し、「ランジャタイの”お笑い”を笑いに還元できる」体になった代わりに、片目まぶたが腫れっぱなしになって、人生で肥えがピークになった。

代償がデカすぎる

一人でにへこんでいた昨年の暮れに、ヴィレバンで立ち読んだ『芸人雑誌 volume5』(12月17日発売)のインタビューを読んで、私はいい格好のカモだったことを知る。

──いつも動きがキレてますが、体のコンディションによってウケるウケないは変わったりします?

国崎 あんまりないんですよねえ。それよりもお客さんのコンディションによるところが大きいような……。風邪引いたり気持ちが塞いでいたり、お客さんの体調が悪ければ悪いほど、僕らウケるんです。たぶんあまりにバカバカしくて、「なんでこんな小さいことで悩んでいたんだろう?」と思えるんじゃないですか。

引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/a3a374b0497c2f713c520ae378d2ca44ef240e14?page=1

まさに自分のことを言っているんじゃないかと怖くなった。
怖くなって、ヴィレバンの狭い通路を一度振り返った。

国崎さんの自身の笑いへの自己分析は超シンプルで超端的だった。
また「しつこいくだり」は「笑ってもらえるまでやろう」というSMA時代に根付いた不屈の精神なんだという出どころを理解したので、
ランジャタイはもう「未知の宇宙人」という存在なんかではなく、シンプルに「超貪欲に笑いを求める全力投球の芸人さん」なんだとすっかり腑に落ちた。

──舞台でウケなくて調子崩すことはあります?

国崎 もうウケとか関係ないかもしれないですね。こないだ若い女性がたくさん集まるイベントに呼ばれて漫才やったら、本当にゼロ笑いでした。でもそのときも同じボケ、同じツッコミ、同じ間でやったので、どこ行っても変わらない気がします。

──どんな状況でも崩れないのは昔からなんですか。

国崎 ソニーに在籍していたころからでしょうね。それこそ8年間くらい、劇場で全員スベってたから、もう麻痺しちゃって。耳だけよくなって、クスクス笑いが大爆笑に脳内変換されちゃうんです。スベっても、お客さんが笑うまでやってました。だから僕らって「もういい加減にしてくれよ。わかったからさ」みたいな笑いなんだと思います。

引用:上記同様

本当によくしてくださっている、芸能人御用達某有名レストランの経営者さんがおっしゃっていた話を思い出す。

「15年、いろんな事業をやってきたけど、最初は向かい風ばかり。それでも一歩一歩、ちょっとでも前に進もうと必死こいてチャレンジして、努力を積み上げてきた。結果が出てからは、ひとつひとつのことが追い風になり、向かい風以上に強く吹く。何を成し遂げようとして、成功する人は共通しているよ」

2022年、結成15年。このご時世、不謹慎ながら国民の体調が芳しくないこのタイミングこそ、ランジャタイにとってはむしろチャンスなのかもしれないと感じた。(※個人的な意見です。)
ランジャタイには、今その下積みでの向かい風以上に強い追い風が間違いなく吹いている。のかもしれない。

ランジャタイの存在が、あくまでM-1が「カタログ」ということを知らしめたなと感じた。
ネタが最下位であろうと、あの全国民の注目する舞台で「いかに記憶に残る存在か」ということにおいてはランジャタイ、次いで真空ジェシカはインパクト賞だった。なんなら圧倒的な最下位で、むしろ際立って見えたのは計算ずくなのか、ただただ彼らのいつものペースだったのかは彼らのみぞ知る。

このご時世ですので、皆様は体調にくれぐれもお気をつけください。
あと、体調が悪い時にくれぐれもランジャタイを見ないことをお勧めします。

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