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ぼーっと過ごすのは簡単か?

朝、目が覚めると、昨日とは打って変わって冷え込んでいる。

震える肩をまるめてぎゅっと布団を顔に押し付け、ずっとベットの中にいたいなあと思う。
いつもはすぐにカーテンを半分開けてから、もう一度布団に潜り日の光を楽しむのだけれど、今日は目線をカーテンに向けることしかできない。

寝室のカーテンは、ニトリで買ったこだわりの遮光ゼロ。
ハリのない、タオル地のクッションカバーのような柔らかい素材で、少しくすんだホワイトが日の光を柔らかくして届けてくれる。
もちろん、わたしの大好きなお気に入りだ。

冷蔵庫にいちごがあったから、起きたらいちご水にして飲んでみよう。
スライスして、その内の一枚はコップのふちに飾ろう。

その前に、リビングの暖房をつけてから、暖まるまで灰色のブランケットにくるまってガタガタ震えよう。

そういえば、最近、スマホやテレビを見る時間を減らしている。
なんだか気分がすっきりして余裕が生まれる気がして、続けている。
空いた時間を、ぼーっとして過ごしたいのだけれど、家の中でぼーっとするって、なかなか難しい。
ソファに座りながら、テレビの真っ黒い液晶を見ながらぼーっとしても、自分のシルエットが映り込み落ち着かない。
ベットに寝転んで白い天井を見ても、すぐに退屈になる。
幸い、ベランダから山が見えるので、空と山を見つめることもあるのだが、同時にマンションと道路を通り抜ける車や歩行者が目に入るため、そちらに気を配りながら山を盗み見するという高度なテクニックと集中力が求められ、とてもじゃないが休まらない。

以前、コテージに泊まったときは、暖炉に薪をくべて、パチパチと音を立てながら燃えあがる炎と時々舞い上がる火の粉をいつまでも眺めていられた。
1回分1000円で購入した薪は何時間で消えたのだろう、燃え尽きるのを最後まで見届けると、もう終わりかあと物足りなさが残った。
コテージのバルコニーに出ると、視界は緑でいっぱいになる。
ゆらゆら揺れるイスに腰かけて、風でさらさらと揺れる木々をぼーっと眺めていた。

つまり、ぼーっとするにも相応しい環境というものがあるのだ。
簡単にどこでもできることだと思われちゃたまらない。
一口コンロと三口コンロとでは、作れる料理の品数、かかる時間、さらにはモチベーションが変わるように、ぼーっとするにも環境が与える影響が大きいのだ。

そんなことを考えながら、わたしはようやくベットから起き上がり、寒い体を温めるために、いちご水をやめていつも通り紅茶を入れた。

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