髪型がダサすぎて、フロアから悲鳴が上がった話

パーマを辞めた

そもそも何故パーマにしたのか。様々な理由があるが、一番最初のきっかけは去年の11月の絶望に起因している。

僕は2週間後に控えた「東京ラストティーン」のMV撮影の為、髪を切ることにした。毎回のように散髪に失敗してしまう僕は、スタッフのテオに美容院を紹介してもらえるように頼んだ。

そして僕は、ハーフで、フランス人で、バーで女の子を口説こうとしてカラオケをすると全員爆笑してしまうほど音痴なスタッフのテオが通っている美容室を教えてもらった。指定された場所に向かうと、それはもうお洒落な、真っ白の美容院が見えた。階段を上がって中に入ると、僕の部屋の50倍ぐらいの大きさのフロアなのに、椅子と鏡が3つずつしかなく、ジャズギタリストみたいな見た目の外人の写真やそれっぽい彫刻が並んでた。
「明らかに土地の無駄遣いだろ!アフリカの子供達が見たら悲しむだろう。明日の飯にも困っているというのに……」と言いかけた瞬間、超強面の店主が「いらっしゃいませ〜♪」とオネエ口調で出迎えてくれたので、悪口は全て飲み込んで、「ここは素晴らしい場所ですね。まるでルーブル美術館のようです。」と言った。最後のセリフは勿論嘘である。
真実か嘘かも見抜けないようでは、インターネットを使うべきではない。

コワモテの店主に、イケメンのバンドの先輩の写真を見せて、この髪型にしてください。と言った。
これは僕のルーティーンである。と言っても、顔が違うからいつも失敗する。

そしてその人はとにかくイカつかったので、全部の提案に「はい!それでお願いします!」と答えた。

「前髪は眉毛よりちょい上でいいよね?」
「横はまっすぐ切って前髪と繋げていいよね?」
「これー、前髪もうちょっと切っちゃおっか!」
「海外で今こういう髪型が流行ってて、これ意識してみない?カルチャー的な思想、バンドマン大事だもんね〜!」

髪を乾かしてセットしてもらって、いつもより高い料金を支払った。
そして少しるんるんで家に帰った。
鏡を見たら僕はこんな髪型だった。



絶望した。
貴方にも伝わるだろうか この絶望が。

この写真は髪を切ってすぐのライブである。
その日は驚くほどに晴天だった。
11月というのに、額に汗が滲んだ。

この日は、僕の通っている学校 関西大学の学園祭に出演した。セッティングをする為にフロアに上がった瞬間、会場にいたお客さん全員から悲鳴が上がった。ほぼ全員である。額の汗が、冷や汗に変わったのと同時に、2度目の絶望をした。

ライブ前に、心が折れるかと思った。
僕はその悲鳴を一生忘れることはないだろう。

いっそのこと、髪型を大きく変えようと思ってパーマにした。そしてそれをやめた 今ここ

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