Sui

小説を投下します。

Sui

小説を投下します。

マガジン

  • Numberまとめ

  • お気に召すまま

    お気に召すまままとめ

  • 【小説】自分探し まとめ

    【小説】自分探しをまとめています

最近の記事

  • 固定された記事

募金箱

有料
500
    • 【小説】自分探し #3

       山の方へと歩き出し、おそらく二十分ほど経過したであろうか。途中から、およそ登山コースとは思えない脇道へと、俺もどきは進路を変更している。俺もどきは、ひたすら黙って、木々を払いながら歩き続ける。そして、俺自身もそれに続く。 「さすがに、そろそろ押し殺していた記憶を思い出したか? 」  俺もどきは突然、そう切り出した。 「いや、何も思い出せない」  俺は正直に答えた。俺もどきと出会ってから、頻繁に俺自身の記憶について尋ねられるが、やはり何が言いたいのか理解できない。俺もどきは、

      • 【小説】自分探し #2

         俺と俺もどきが交換された。  さっきまで寝てた自分は、なぜか半透明になっていて、透けている。そして、俺の心臓を貫いた俺もどきが、俺として行動している。  俺は、物に触れられなくなった。そこにある、歯ブラシにもコップにも、スマホにさへ触れることができない。そして、俺もどきが俺の代わりに、顔を洗い、ベッドメイキングをし、そしてスマホを触っている。  情報量が多すぎて処理できない、いや、正確には、情報が不可思議すぎて処理できない。非常に、異常に、自分の頭の中は慌てふためいているの

        • 【小説】自分探し #1

           自分だけ、この世界に取り残されたような、そんな気がする。  大学生になり、高校時代の同級生は、皆変わったように思えた。けれど、自分は何も変わっていない。髪を染める者、大学で恋人をつくる者、出会い系アプリを始める者、皆が思い思いに日々を過ごしている中、俺は、佐藤海進は、何の変化もない日々を過ごしていた。SNSアプリを開くと、そこにはキラキラした日常が投稿されており、ただただ憂鬱になる。同じ世界にいるはずなのに、それが気のせいのような、そんな気さへする。  大学三回生の春休み、

        • 固定された記事

        募金箱

        マガジン

        • Numberまとめ
          0本
        • お気に召すまま
          0本
        • 【小説】自分探し まとめ
          3本

        記事

          【小説】僕の嫌いな星 #1

          「大きくなったら、あの星に行けるかな? 」 「行けるよ。絶対に行けるよ。約束しよ! 大きくなったら私と結婚してあの大きな星に行くって」 「うん! 約束する。僕は大きくなったら、ミルをお嫁さんにして、ミルと一緒にあの星に行く! 」 「二年前に我が星は侵攻されて以来、我が国の重要拠点の星は徐々に徐々に削られています。ご決断ください。国王! このままでは、我が星の、我が国の民たちの命は、いくつあっても足りません! 」 「そのようなことは、わかっておる。しかし、ミルは私の娘だ。可愛

          【小説】僕の嫌いな星 #1