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漫画『彼女と私の異国ごはん』ができるまで&異国ごはん参考資料リスト

こんにちは、にしうら染です。
今回の記事は先日(2/3)発売したフォアミセス3月号で完結した漫画『彼女と私の異国ごはん』のできた経緯と、参考資料についてです。


『彼女と私の異国ごはん』あらすじ

『彼女と私の異国ごはん』は、同棲中のフリーライターの千鳥(ちどり)と会社員の灯子(とうこ)。仕事の合間に海外をふらふらと旅行するのが生きがいの千鳥だったが、コロナの流行で旅が出来なくなってしまう…。その代わりに、二人で色々な国の料理を作って家で一緒に旅気分を楽しもう!という漫画です。
2020年10月のフォアミセス11月号(秋田書店)に読み切りとして掲載され、そのあと連載となりました。

『彼女と私の異国ごはん』電子単行本1巻表紙


1. ネタ帳の中の1アイディア

実は『彼女と私の異国ごはん』に登場する千鳥と灯子のキャラクターの構想はその数年前からありました。二人の関係や設定(同棲中なのも)はほぼ同じで、考えていたあらすじは以下のような感じです。

旅好きな千鳥は、楽しそうな物を見つけたらすぐに気の向くまま、家をふらりと出て行って海外へ旅へ行ってしまう。
いつもは千鳥のあまりの自由さにあきれつつも家で帰りを待つ灯子だが、あるとき我慢の限界になり千鳥を追いかけて旅に出る。最初は不本意な灯子だが、千鳥と一緒にいろんな場所をめぐるうちに次第に旅の魅力に見せられてゆく…。

ただ、この時点だと着想の元になった坂田靖子先生の『マーガレットとご主人の底抜け珍道中』(※)の類似案でしかないな〜という感じだったので、「なにかいいアイディア思い付いたらもう少しアレンジして出そう」とネタ帳の中で眠ったままになっていました。

※『マーガレットとご主人の底抜け珍道中』…坂田靖子先生の代表作の一つ。好奇心旺盛で思いついたらすぐに様々な国へ旅にでてしまうマーガレット奥さんと、その後を追いかける夫のタルカムさんのドタバタ夫婦珍道中を描いた漫画。にしうらの大好きな漫画の一つ。

ちなみに、2019年8月のコミティアで配ったペーパーとサークルカットに実は二人がいます(キャラ自体は気に入っていたので、アレンジ加えて同人誌で描こうかな〜と考えていました)
絵柄も雰囲気も連載版とは少し異なっています。

右の二人が灯子と千鳥の原型。
(データ見つからないので当時撮ったペーパーの写真です)


2. 読み切り漫画の依頼、そして再会

彼女たちと再会したのは、そこから少し経った2020年の夏頃。
秋田書店のフォアミセスの編集さんから「食」をテーマに読み切り漫画を書きませんか?というメールをいただいて、過去のネタ帳をぱらぱらとめくっていた時でした。灯子と千鳥の原型のキャラを見つけ、

「二人が今のコロナ禍の状況にいたら、どんな会話をしているだろう?」

「この二人を主人公に、ここから始まる物語を描きたい」

そう思い、そこからプロットとキャラ表を作成して提出。

最初に出したキャラ表。絵柄模索中なので二人とも設定のわりに子供っぽい造形

無事編集さんのOKをいただき、ネームを作り、読み切りとして描いたのが1巻収録の第一話です。

読み切り掲載時の扉イラスト

3. 連載化

掲載された読み切りの『彼女と私の異国ごはん』、ありがたいことに好評をいただき、そのまま連載として続きを描いて良いことになりました。当時、アンケートなどで感想を送ってくださった方々、応援ありがとうございました。

ちなみに2人の名前、「灯子」は灯台、「千鳥」は海を渡る旅鳥(チドリ)からつけました。千鳥がどんなに遠くへ旅をしても、時に道を照らす灯りを示したり、いずれ戻って羽を休める場所は灯子の側だから…というイメージです。


異国ごはん参考資料リスト

ここからは『彼女と私の異国ごはん』の連載を描く上で、料理や文化などの資料として参考にさせていただいた本たちを並べました。(レシピや食べ物の画像を直接引用したわけではなく、本を読んで作品のヒントにしたり、エッセンス的な部分で参考にさせていただきました)

※表紙画像が引用できてわかりやすいのと、本文サンプルがすぐに見れるのでamazonへのリンクを使用してます。もし購入される場合はお好きなサイトや本屋さんでどうぞ。

様々な国の郷土料理とレシピが300も載っているので、料理好きな方にオススメしたい本です。料理作るときに参照しやすいよう、180度綺麗に開く本の作りなのも素敵。
ただ、レシピの記述がかなりシンプル。掲載されている写真も完成品のみで、焼き加減とか作り途中の状態の判断は自分でする必要があるので、料理に慣れてない方にはこの一冊のみで異国ごはんを作るのは少し難しいかも。


こちらは地球の歩き方の番外編的な本なので、レシピはなし。
国ごとの名物料理やそれにまつわる雑学が写真豊富なガイドブック形式でまとめられていて、ぱらぱらと眺めているだけで旅気分が味わえます。食べたい料理や気になる料理をこれでチェックして、次に旅したい場所を探すのもよさそう。
本場の味を日本で体験できるレストランガイドがついているのも嬉しいです♪


タイトルの通り、様々な国の路上で作られ売られている屋台飯や、気兼ねなく入れる大衆食堂的なご飯の写真集。写真がメインで、現地の人の生活や文化に寄り添ったご飯がたくさん見られる楽しい一冊。なんと384ページもあります!
著者がフランスの方なので、日本の立ち食いそば屋やたこ焼きなんかもタイやベトナム、レバノンなどいろんな国と一緒に紹介されているのが面白いです。
文章のページはほとんどありませんが、写真の合間にレシピは結構掲載されているのが嬉しい。

hontoでも取り扱いないので多分絶版だと思いますが、面白い本なので中古などで見かけたら手に取ってみてください。


上記の本以外にもyoutubeの現地の方々の料理動画も、作り方の様子などの参考にさせていただきました。ありがとうございます。


さいごに

今回の記事、本当は『彼女と私の異国ごはん』の制作中の話や、最終話まで書き終えて思ったことなどを書こうと考えていたのですが、まだ雑誌を読んでいなかったり、電子単行本派の方にはがっつりネタバレになってしまう…ということに記事書き始めて気づきました(遅)。というわけで、作品ができるまでの話に急遽変更。
当初考えていた内容は2巻発売した頃に書きたいなあと思っています。

自分の漫画作品について、作中以外のところであれこれ説明したり話すのって(個人的に)蛇足かなあと思って、今まであまりしてこなかったのですが、ふと考えてみたら、好きな作品のできた経緯や作家さんの制作裏話って楽しいし大好物だわ…ということに気づきまして、今回書いてみました。
楽しんでくださる方が一人でもいらしたら幸いです。


今後は旅行記とや他作品の裏話もちょいちょい記事を書いていきたいなあと思っています。もし裏話とか聞きたい作品(旅行記含め)あればコメントとかtwitterのリプライなどで教えてくださると嬉しいです。参考にさせていただきます。


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