述懐
祖母がなくなって3ヶ月がたった。
もうその家はないとわかっていても
どうしてもこの目でたしかめたかった。
歩いて歩いて
たどり着いたその場所は
更地などではなかった。
すでに新しい家が建ち
私の知っているその懐かしい場所で
知らない誰かが新たな生活を刻んでいる。
悲しいともさみしいともちがう
ただただ不思議な感じだけ。
それ以上でもそれ以下でもないなと
その場を去った。
自分が何を期待して
いかなる区切りをつけようとして
ここに来たのか。
5月のやさしい風に導かれるように
もっと前になくなった祖父につれられ
幼い頃によく来た公園にむかった。
木陰の肌寒さを感じながら
腰を下ろし噴水をながめる。
公園のチャイムが17時半をつげる。
コンビニで買ったストロング缶を開けて
こんな空っぽの心に響く音楽はなんだろう
と考える。
感情のほかにも、たくさんなくしすぎた。
矢のようにただ過ぎた3ヶ月を思い
次の3ヶ月後。
大好きな季節がやってくるころ
私はこの世界にいるのだろうか 。
夢に出てきたあのひとの声が聞こえる 。