真夏の巨大台風が生んだ一体感|SONIC MANIA 2024
去年は行かなかったので、1年ぶりのソニマニでした。今年はかなり大型の台風7号が直撃するという悪天候の中での開催でしたが、8月ど真ん中の、真夏の台風一過の様子も含めてのソニマニレポート。
今年のサマソニは東京・大阪共にチケットは早々にソールドアウトしていて、大阪は会場を万博公園に移しての開催だったこともあり、色々と話題性も高かった気がします。細かい内訳が出ていなかったけれど結果、ソニックマニア、ミッドナイトソニック(サマソニ1日目の深夜帯企画)を含めて、合計で25.8万人を動員したそうでした。
去年2023年は、東京2日で12.5万人、大阪2日で9万人、ソニマニでは2.5万人で合計24万人と報告されていたので、ちょっと多かったくらいだったみたい。去年に引き続きアイドルやジャニーズもラインナップに入り客層の変化もありつつも、やっぱり都心のフェスはある程度集客が保てるところがあるのかなと思ったりです(フジが減少していたので)。
わたしは今年はソニマニ一択にしました。去年は灼熱のサマソニでほぼ気絶しそうになりながらという感じがかなり辛かったのと、今年はラインナップ的にもサマソニよりソニマニという気分だったのが理由。PHOENIXにUNDERWORLD、坂本慎太郎に2年ぶりに復活を果たしたサカナクション。これは行くしか!ということで、フジロックを終え8月に入り日に日にワクワクが高まり、、
というムードの中で、突如現れたのが台風7号。今年の夏の中でも超大型のレベルで、ソニマニ開催3日前の13日に突如現れ、ソニマニ当日に関東に直撃と、今考えても「君は呼んでないよ!!!」と総ツッコミな台風でした。
そんな台風迫る中、都心にかぎらずソニマニは関西や遠方から来る方もいるフェス。台風7号の影響で、当日は新幹線や一部路線の計画運休が発表されてました。わたしなんかは当日になっても天気予報を眺めて、大丈夫かなあ行けるかなあとそわそわしていました。
同日に開催予定だったほかのフェスやイベントが中止になったり、ディズニーランドは15時に閉園をアナウンスなど、ソニマニの開催も危ぶまれていた中。
ソニマニ(クリエイティブマン)は予定通りの開催を告知!
この一連の話題も今年のソニマニのハイライトだと思います。
クリエイティブマンの決断
かなり悩ましい決断だったと思います。超大型台風の直撃、アクセスの一部遮断、警報も出る中、当日10時にクリエイティブマンはソニマニの開催宣言を出しました。加えて異例?の払い戻し対応も!
「やるかやらないか早く知らせてほしい」「チケットどうしよう」「やっぱり無理じゃないか」「クリエイティブマンいつ決めるの!」とやんややんやしていたX(旧Twitter)の民のみなさんもこの反応!
この払い戻し対応+開催宣言は、とてもスマートで素晴らしかったと思います。クリエイティブマンに対しても世の中が拍手賞賛でした。ソニマニはやるけど危ないかもしれないから自己判断でお願いします、を、チケット払い戻しによりお客さんがちゃんと納得感を持って判断して選べるようにしてくれた。
払い戻し対応したらその分予定していた予算がなくなってしまいますし、クリエイティブマンとしては痛かったはずです。でも新幹線が止まってくる手段がないのにチケットが…とかだと泣くにも泣けないので、そんな人も安心して諦められる?し、クリエイティブマンの対応としてはレアケースかもしれないけれど(失礼)、こういう対応をしてくれたプロダクションがいるイベントは何かあっても安心できるという信頼って大切だと思うので、ひとつの良い例として継がれていってほしいところです。
実際、払い戻しを決定したひとがどれくらいの割合だったのかわからないけど、冒頭の来場者数を見るに、実はめちゃくちゃ多くはなかったのかな?とも思います。
ソニマニ当日のお昼はこの話題で持ちきり。そして開催時間が近づくにつれてSNSを賑わせたのは
このハッシュタグでした。新幹線の運休を見越して前夜入りの方や、夕方にかけて電車やバスの運行状況をみんなでシェアしあい、みんながみんな助け合いながら幕張メッセに向かう様子はめちゃくちゃ一体感がありました。
絶対に辿り着くぞ!というその気合いがスマホの画面からギャンギャンに伝わってきて、泣く泣くソニマニを諦めた人もネット情報でフォローしたり。これがもし、クリエイティブマンの払い戻し対応がなかったらこんなに前向きなムーブメントにならなかったかもしれないなと思います。みんなが納得して選んで行動できるというあの状況があったからこそ、あの空気が、あの一体感が生まれたんだろうなと思います。
台風が生んだソニマニチャレンジ。
かくいうわたしは幸運にも友人の友人が運転する車に一緒に乗せてもらって交通機関の影響は受けず比較的安全に向かえたものの、激しい雨の中での現地入りでした。着いたのは20時くらいだったのでソニマニとしては早い方だったのですが、サカナクションが20時半スタートだったので、割と序盤から人は多めだったかもしれません。ソニマニは年齢確認や手荷物検査があるので長蛇の列。まだまだ雨風もあって、加えて会場内に傘が持ち込めないので、ここまで雨風を凌いできた大量の傘が入り口前に並んでいたりと、入り口は割とカオスな状態でした。
目に焼き付いているシーン
今年のラインナップはこんな感じでした。Underworld、PHONEIXはやっぱり絶対に見たかったし、国内からもおよそ2年ぶりに復活をしたサカナクション、今年は海外含め数多くのフェスに出演している坂本慎太郎、社会現象とまでなった「チーム友達」の千葉雄喜などなど、今見るべきアーティストが勢揃いしていました。ソニマニサマソニのラインナップは、今の日本の中心っていう感じがして好き。
個人的に感動したのはサカナクションでした。2018年にライジングサンで見たっきりで、そのときは結構な話題となってしまったセトリで(いわゆるヒット曲をやらずインスト中心のセトリ。これは2018年当時、ライジングの前に出演したタイコクラブというダンスミュージック好きのオーディエンスにはウケたそうだが、同じセトリでライジングではブーイングを生んでしまった件。)、当時のわたしは若干拍子抜け感を味わいながらもそれもかっこいいと思ったし、サカナクションはお客さんに媚びらない、自分たちのためにライブしてるんだなあと思ったりした記憶がありました。それから山口一郎さんがうつ病を患い、2年間の活動休止。病気と闘いながら音楽活動を続ける姿に、多くの人が勇気をもらっていたと思います。そして今年いよいよ復活を果たしました。ヒット曲のアルバムかってくらいの、お祭り騒ぎのセトリでした。
レーザーもガンガン、舞妓もおどるし、キラキラも舞う。一郎さんが「みんな踊れー!」と叫ぶ。会場は踊りまくっていました。サカナクションが、めちゃくちゃエンターテイメントになってパワーアップして戻ってきた!!!!!!と大興奮してしまいました。あのときインストの静かなのもいいと思ったけど、フェスではやっぱり踊らせてほしかったかもしれません。大好きなあの曲、思い出のあの曲、昔の曲もやってくれたし、人並みすぎるけどサカナクションは最高だな!って思いました。ずっとにこにこしてた。一郎さんが元気になってくれて良かった!という気持ちがMOUNTAIN STAGEいっぱいに溢れていたし、復活おめでとうというお祝いのムードが満開でした。とても素晴らしいステージだったなあと思います。
そしてもうひとつ忘れられないのがPHOENIX。ちょっともうすばらしすぎました。彼らはステージの映像の少し手前に枠みたいなのを設置していて、その枠にも投影されるんだけど、その枠があって遠近感みたいなのが生まれていて、すごく奥行きの感じる世界がそこに広がっていたし、枠が枠っぽくなって彼らのステージがまるで作品を見ているかのように感じた時もありました。おしゃれ!かっこいい!演出がすばらしすぎる!!とにかく大好きな曲をたくさんやってくれました。YouTubeで見ていたパフォーマンスが目の前で現実に起こっているのを見てグッときてしまいました。
そして極めつけはこのシーン。ボーカルのThomasはライブパフォーマンスがっ本当にぶっとんでいます。いろんな映像を見ていて観客席に登って行ったりお客さんにダイブしたりするパワフルさを持っているのを見ていたけど、ソニマニでもやってくれた!ライブのラストにお客さんの方に入ってきたかと思ったら、お客さんの上に乗る(多分乗ってた)という。すこしずつ立ち上がる姿、そして扇子で顔をひと仰ぎして、大きく手を振ったとき、泣きそうになってしまった。美しすぎる!!!またライブを見たいと思ったし、あの光景はきっと忘れたくないなとおもうライブでした。なんというか、愛おしいきもちを感じてしまった。今年のハイライト・オブ・ハイライトです。
ちょっと残念だったところ
フェスでがっかりすることって個人的にあんまりないのですが、今年のソニマニは「えっ涙」という気持ちになってしまったところが少しだけあって、全然気にならなかったけどという方もいると思うのですが、あくまで個人の備忘録として、残しておこうと思います。
わたしがライブの他に楽しみにしていたのが、エントランスにあるサイネージ。一昨年行った時に、大型LEDに床面にもLEDがあって、BGMが流れていて、音に合わせて映像が変化するっていうめちゃくちゃ素敵なインスタレーションになっていて、結構見入ってたんですよね。わたしが行った2022と、2023も、大阪にあるSTARRYWORKSというデザイン会社さんが制作していて、わたしは前職で一緒にお仕事をしたことがあるので、それもあって今年も楽しみにしていました。ですが今年は1分 or 1分30秒程のアニメーションのシンプルな切り替えになっていて、ちょっとがっかり、、、サマソニは他にもたくさんアートがあったりフォトスポット映えするところが至る所にあるけど、ソニマニはここがエントランスでフォトスポットでもあるので、そういった意味ではもったいない気持ちになってしまいました。コスト削減だったのかもしれないです。来年以降もどうなるか気になるところです。。
https://www.starryworks.co.jp/projects/summersonic2022
あと、コストにもつながるところで、ひとつ運営で気になったのが、ビールのサントリー社しばりと、サワーやカクテルをオフィシャルドリンクが独占販売していたところでした。サントリー社はスポンサーなので縛りは全然いいのですが、結構仰々しく看板に出していたのがちょっと品がなかったかなあという気がしました。また、サワーやカクテルがオフィシャルドリンクカウンターのみでの販売だと、結構そこに人が並ぶので、ライブの合間に・・という気持ちでもちょっと長めに待ったりしたなあと思います。他飲食出店ブースではビールのみ販売OKとなっていたので、サワーやカクテルが飲みたい人はオフィシャルに並ぶしかありません。2022の時はどこでもサワーも売っていた気がするのですが、、まあオフィシャルドリンクの売り上げが上がれば運営の予算になるからわからなくもないです。フェスとしての予算確保も大事ですもんね。
それからこれはなぜなのという気持ちでいっぱいだったのですが、リストバンドのデザインが全然メイングラフィックとトンマナが違くて、もらった瞬間にがっかりしてしまいました。せっかく今年のグラフィックがいいかんじで好きだったのにカラーリングもロゴも違ったものでした、、、ディレクションミスなのか発注のスケジュールなのか予算なのか何があったのかわからないけど、個人的にリストバンドは思い出に残したりしてるフェスもあるので、これだけ見ると違うフェスに行った気分です。
前述したサイネージもそうだけどサマソニソニマニは、今ホットな音楽とアート、カルチャーが融合しているフェスだと感じているのでクリエイティブという意味でもちょっと残念だったなあと思います。
一方で、いいなあというところもありました。お店の前にテープで列の誘導をちゃんとしてたブースがあって、こういう誘導できるのは室内のいいところだなあと思って思わず写真を撮ってました。フジロックとかだと、結構フジ暗黙のルールであっちに伸びたりこっちに伸びたり列が複数だったりとヘンテコな列ができたりするのですが、海外の方や初心者の方はそんなのわからないよって感じだよねと考えると、こういうふうにわかりやすく誘導してあげるのがフレンドリーだなあと思うなどしました。
ソニマニは大人のパーティー
サカナクションにはじまって、UNDERWORLDを少しみて、PHOENIX、坂本慎太郎、cero少しみて3時くらいには帰宅しました。会場にもちらほら後ろの方で寝る人が現れる時間帯。帰る頃には雨風もすっかり落ち着いていて、騒がれていた7号は大きな被害なく過ぎ去ったようでした。
1年ぶりのソニマニ。年齢確認で20歳以上という制限があるので、周りは大人だらけです。普段野外のフェスに多く行っている身としては、小さな子どもがいないフェス空間はまたちょっとおもしろい世界でした。仕事終わり学校終わりの大人たちが、台風を乗り越えて集い、夜を踊り明かして解散していく・・・都心のイベントだし普段フェスに行かない人でもソニマニは行くという人もいるくらいなので、ソニマニは普段の音楽フェスでは会えない人たちも集っていそう。わたしも2年ぶりくらいの友人に偶然遭遇したりするなど、ちょっと熱の上がる体験をしました。
8月ど真ん中の夏フェスは本当にこの2-3年暑さが深刻なので、こうやって屋内で移動距離も少なくて快適に遊べるフェスはなんだかんだ過ごしやすいです。台風の影響があっても開催できたのは、屋内だったからというのも幸運だったと思います。この会場がそのままサマソニになるのは理解しつつもソニマニはソニマニで、遊びたい大人たちのために一夜だけ現れるパーティー空間って感じがしますね。
一連の騒動も含めて、台風と共にあっという間に過ぎ去っていった金曜日。アーティストも見れたし、大きな被害もなく無事に来れて良かったなあと思いながら帰ろうとしたエントランスの先には大量に残された傘たちが。かなり異様な光景でした・・これを仕方なく処分するのかなと思うと、スタッフの方にリスペクトを評したい気持ちでいっぱいになりました。雨風の中で、来場者を大きな混乱に巻き込まずに滞りなく会場を運営していたスタッフのみなさんには本当に拍手です。
楽しかった!ソニマニ。
おしまい
SONIC MANIA 2024概要
開催日時:2024年8月16日(金)
会場:幕張メッセ(千葉)
料金:スタンディングチケット 15,000円 / プラチナチケット 23,000円
出演:
UNDERWORLD / PHOENIX / 坂本慎太郎 / サカナクション / YOUNG FATHERS / cero / MAJOR LAZER / 千葉雄喜-Shot Live- / Jin Dogg / Young Coco / CreativeDrugStore / SARUKANI / ARCA / VICTORIA(MÅNESKIN) / NIA ARCHIVES / TESTSET / 牛尾憲輔(OST Dance Set) / 長谷川白紙 / カメレオン・ライム・ウーピーパイ
主催 / 企画 / 運営:クリエイティブマンプロダクション
後援:千葉市
協賛:The Busker Irish Whiskey / ポカリスウェット/ Red Bull / サントリー生ビール / Spotify / PHILIP MORRIS JAPAN / ADIDAS / BACARDI
公式サイト:https://www.summersonic.com/
X:https://x.com/sonicmania_jp
Instagram:https://www.instagram.com/summersonic_official/