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みんなで抱きしめる夏の喜び。|ONE MUSIC CAMP '23

兵庫県三田市の山奥で2010年から開催され続けている、「みんなであそぶフェス」をコンセプトにした野外キャンプフェスONE MUSIC CAMP。去年はじめて遊びに行って、その雰囲気の良さにすっかり心を奪われてしまった、大好きなフェスです。

ONE MUSIC CAMPはコンパクトな会場ながら、音楽が好きな人も、アウトドアを楽しみたい人も、フェス初心者の人も、大人も子どもも思いっきり『あそべる』コンテンツがぎゅ〜っと詰まっていて、誰にとっても最高の夏の思い出ができるフェス。一度行ったら、アーティストのラインナップに関わらず、また来年もあの場所に行きたいと思ってしまうくらい空間そのものが好きになる。ONEのリピーターにはそういう人が多いです(わたしもそのうちの一人)。

その雰囲気を生み出してるのは紛れもなく、その場に集った全ての人によるもの。フードブースの出店は、関西メインに展開する主催チームが自慢したいこだわりのお店だったり、ワークショップやイベントを行っているのはONEの元お客さんや長年ずっと参加しているお店の方だったり、スタッフのみなさんも学生さんとか若い方から長く参加されてそうな方までいて、さらにお客さんには多くのリピーターの方がいて、ONE MUSIC CAMPが多くの仲間の方達と歩んできているフェスだというのが側から見ていても感じられます。その上、アーティストの方も出演後はプールに入って一緒に遊んだり、お酒を飲んだりされていて、、、そのアットホームさ、フラットさって本当にあの空間だから生まれるものだと思う。みんながONEを愛しているって感じがします。

朝はみんなでヨガしたり、大人もキッズも楽しく学べるワークショップも◎
奥の隠れた?エリアではモルック体験やマシュマロ焼きなんかもできます


夏のアクティビティが凝縮

そんなONEの会場はプールから奥のキャンプサイトまでゆるやかな(だけどじわじわ疲れてくる)坂になっていて、ふたつのSTAGEを中心にフードコートやワークショップブース、キャンプエリアなどがぐるりと囲んでいる感じです。まっすぐ行けば片道5分未満でうろうろできるので、お子さまでも全然動き回れるくらいの広さ。二日も過ごせばお客さんやスタッフさんの顔ぶれも覚えてきちゃうくらいで、なんかこの夏の一瞬を過ごす遠縁の親戚?くらいの気持ちが芽生えてきてしまいます。笑
キャンプもできて、プールもあって。夜には夜空いっぱいの星を眺めながら焚き火を囲み、深夜はDJの音楽で踊りまくって、朝にはヨガもして・・・え?ライブ以外にこんなに夏のアクティビティがぎゅうぎゅうに詰まってたらめっちゃ忙しいじゃん・・と思いきや、意外とそこはONEのお客さんの手慣れたところで、みなさんめっちゃ自由に遊んでます。「自由」という言葉がこんなにいい感じに全員にフィットするなんてと思うくらい自由が似合う空間です。ライブ全く見ないでずっとプールサイドにいる人もいるし、ふたつのSTAGEをガンガン行き来してライブまみれになる人もいるし、それぞれがそれぞれのONEを楽しめるというか、楽しみ方が数え切れないほどあるのがONEの素晴らしい魅力で、だからこそどんな人も楽しく過ごせるんだと思います。

この会場のコンパクトさでワークショップやイベントも盛りだくさん!

ここで一旦見ていただきたいのがこのプールの賑わい具合。今年は両日かなり暑くなっていたので、ステージライブに劣らずプールもめっちゃ盛り上がってました。奥では最高のDJが音楽を流してくれているので、いいグルーヴを感じながら真夏にダイブできちゃうのが、見てるだけでも本当に気持ちいい。子どもたちも思い思いにプールに飛び込んだり、プールサイドで音楽に合わせてダンスしたり。誰よりも夏に飛び込みたい人は水着を持ってきた方が良いです。入る気がなくても見たら入りたくなっちゃうと思います。(これはマジです。)

そして今年一際目を引いていたコンテンツが「エールセルフィー」。特定のワードを設定して、その掛け声を検知するとシャッターが切られて、撮影された写真がオリジナルフレームに入ってゲットできるというすごい最高なコンテンツでした。開発したのは、さまざまなハイテクノロジーをエンターテイメントコンテンツに昇華していらっしゃるHYTEK。コロナ禍で「サーモセルフィー」という体温検出時に一緒に撮影できるセルフィープロダクトを開発されてて、コロナが開けて声出しOKになったイベント用にアレンジしたのがこの「エールセルフィー」。HYTEKのプロダクトが好きで「サーモセルフィー」の時もTwitterで追っかけてた私としては、まさかONEで体験できるとは!と思ってめちゃくちゃテンション上がりました。世の中の動きに合わせて、人々の行動をポジティブなエンタメにするって本当に素晴らしいと思います。
ONEでは「ONE MUSIC CAMP最高!」の掛け声に合わせて撮影されてて、大人も子どもも、多くの人が体験していました。みんなで大きな声を出してこの場所に言えることも、それが手元に思い出として残るのもすごくすてき。ONEが最初の設置例と聞いたけど、いろんなフェスから引っ張りだこになりそう!またどこかでもこのプロダクトに会えたらいいな〜〜

エールセルフィー特設ページには、ONEを会場にした最高のプロダクトムービーが掲載されています。見てるだけで笑顔になっちゃうのでぜひ見てほしいです!📷
https://hytek.co.jp/works/yell-selfie/

大きい声出すのって最高!!


多少の不便は余白になる

ONE MUSIC CAMPのお客さんはみんな、ちゃんと到着するのか不安になるくらいの山道を登ってやってきます。そして自前のCAMPグッズを背負って、これまた会場の坂をよいしょと登って、テントを立てて、それからフェスを楽しんで、夜になれば寝袋に入って眠ります。山奥なので電波は届きません(これはONEあるある!)。スマホからもSNSからも離れて、だいすきな人と手を取り踊り、自然と音楽に身を委ねる。都会にいればわざわざしなくてもいい不便が、ONEでは必要な余白になる。そしてその余白が生むのが「あそび」なのだと感じます。
なんだかんだ大人になってしまった身としてはその余白こそが、思いっきり深呼吸できる感情を引き出してくれるものだと感じます。大きい声を出して走って踊ってダイブして、わたしたちを一瞬にして子どもの頃のような気持ちにさせてくれるあの大自然の包容力。子どもたちも普段慣れないキャンプを経て、家族と協力したり周りの人に気を配ることだったり、自然の中で自分で楽しいことを見つける工夫を自ら行う。手を動かしてものを作るワークショップでも自分で考える余白がたくさんある。多少の不便さが苦にならない、むしろこれを良しと思う。先に書いたような、ワークショップやアクティビティを楽しめるのはもちろんだし、自分たちで自分たちの楽しいを見つけられるのがいい。ONEのお客さんはみんな不便を楽しんでいるし、だから余白を遊びにできる天才なんですよね。


ドラマが生まれるラインナップ

さて今年のライブの記憶にも触れていこうと思います。まず去年今年を目撃した程度の身だけど今年のラインナップはめちゃ攻めてるな・・・と感じました。ONEのラインナップは過去の情報を見てもいつも個性があるというか、海外からのアーティストや若手のインディーズ、誰しもが拳をあげちゃう系の有名なバンドなど、幅広くそして色濃いなと思います。今は若手でもONEに昔出てたバンドは今や有名なども多いし、個人的にも勉強になる&見たかったバンドが見れるって嬉しいです。しかもONEのいいところはステージとお客さんの距離がほぼゼロなところで、めちゃくちゃフラットにアーティストと近い距離感で音楽を浴びれるっていうのが最高なのです。その距離感ゆえかどうか、さまざまなドラマがこの二日間では生まれます。

DJやワークショップもタイムテーブルに載せてくれる親切さ

個人的にすごい衝撃だった神聖かまってちゃん。GRIM SPANKEYがコロナで3日前くらいに出演キャンセルとなり、その代打アーティストとして発表されたのが彼らでした。ほぼ通ってこなかったので知っている楽曲が少なかったのだけど、めちゃくちゃ頭を打たれました。出演が発表されてから周りにも見て!って言われたんだけど、めっっっっちゃかっこよかったです、なんで今まで聞いてなかったんだ。(帰ってからもフロントメモリーずっとリピしてました)
神聖かまってちゃんは、その前日に大阪でRUSH BALLというフェスに出る予定だったのだけど、それがまさかの雷雨で中止に。その熱量で倍にしてONEで放出してくれてたような気もして、ドラマを感じてなおこちらも拳に力が入るというか、しかもRUSH BALLで見れなかったというお客さんが何名もONEまで足を運びにきてて、ファンのみなさまの熱量もぎゃんぎゃんに感じました。人を惹きつけてやまない理由をまざまざと見た。ONEでも彼らのライブの前に雨が少し降って、のこがステージから降りてその濡れた地面を裸足で歩き、転げ回ったのを見たらもう痺れるしかなかった。命懸けで生きて、生きるメッセージを届けるってこういうことだと衝撃だった。

そして頭に刻み込まれたのがGEZAN。今年個人的にフジロックグリーンステージで最後のMillion Wish Collectiveでの圧巻のパフォーマンスを見て、その後ONEで4人のGEZANを見たんだけど、何がやばかったって、彼らのパフォーマンス時、先に出た大阪RUSH BALLでの雷がONEでは光の演出になってGEZANのステージを怪しく照らしていたこと。GEZANの音に呼応するかの様に、暗く厚く黒い雲に光る雷、怪しく映るステージ、彼らの世界観をさらに彼らたらしめていたというか、めちゃくちゃ不気味だったんだけどそれがよかった。GEZANだったからこそだったと思う。大自然による唯一無二の演出だった。きっとあの時間は忘れられないと思う。
マヒトさんがこの夏の暑さを受けて、「夏にフェスなんかできなくなっていつか夏フェスっていう概念がなくなる時代が来るかもしれない」と言っていて、大好きなこの瞬間はいつかなくなってしまうんだろうかと怯えてしまった。マヒトさんはいつも考えさせられるメッセージを伝えてくれる。私たちがこんなふうに音楽を自然の中で浴びれるのだって、いつまでできるかわからない。ひとつひとつのフェスを、ライブを、一音を、記憶していきたいなと心から思った。


わたしたちは祝祭が見たかった

きっとこの先も忘れられないなと思う、ONE MUSIC CAMP2023のROTH BART BARONのステージ。DAY1の大トリ、GEZANの間光っていた雷もおさまり、途端にロットの美しい世界が広がった。ロットはいつだってわたしたちに讃美歌を届けてくれる。音楽と共に生きている喜び。大変だった時期を乗り越えた今、この世の中は悪いことばかりじゃない、どんな人だってそれぞれにすばらしい人生があり、私たちはみんなで混ざり合い、分かち合い、喜びあって生きてゆける尊い存在なのだと、この夏ONEに集ったわたしたちに大切なメッセージを送ってくれた。ステージから地面に降りてきて、三船さんが言った。「この曲を、コロナが明けた今年のONEで歌いたかったんです」と。そして始まった「極彩 | I G L (S)」。三船さんを中心に輪になり、肩を組み、拳をあげ、あの時あの瞬間、音楽の中に命がある喜びをみんなで分かち合った。そうだ、わたしたちはずっと、この祝祭が見たかった。ONEだからこそ見れた。ONEだからこそきっとここまで感じることができた。今もきっとこれからも私にとってはかけがえのないステージとして心に残り続けると思います。

何度見返しても、泣いてしまいそう


最後に

こうして色々振り返るとなお、ONEにいるお客さんやアーティストのみなさん、スタッフのみなさんはみんなで遊び、みんなで楽しみ、笑い、歌い、踊り、みんなで喜び合うことを、誰もが自然にやっていると感じます。「みんなで」という言葉の持つ喜びを、とてもわかっている人たちだと心から思います。お互いが言葉を交わすことがなくとも、その空間にいるだけで、わたしも「みんな」の中の一人なんだと感じられることがとても嬉しいと感じます。社会で生きていると「みんな」という言葉に窮屈さを覚えることもたくさんあるけれど、ONEにいる時の「みんな」という言葉は信じられない居心地が良い。きっと多分、なにかを強制することや当たり前を見せつけることがなくて、ONEでは「自由」と「みんな」がお互いに心地よい関係性であるからだと思う。本当に、不思議な気持ちになります。

音楽とキャンプの魔法にかかる。

主催チームが今年のONE MUSIC CAMPに載せたMESSAGEが美しくてたまらない。そうかあの場所はわたしたちに自由と愛にあふれた、音楽とキャンプという名のあたたかい魔法をかけてくれたんだと、そう思うと心がいっぱいになってしまう。きっとアーティストにも、スタッフさんにも、大自然にも、その空間を過ごすすべての命に分け隔てなく、その魔法はかかっていたと思います。そんな空間なんです、ONE MUSIC CAMPって。

来年は15周年とのことなので、きっと今まで以上に忘れられない、誰にとっても大切な祝祭になることと思います。早くも気持ちは三田です。ONEに関わる全てのみなさまと、三田の大自然に、大きな大きな感謝を込めて。

この景色が毎年大切な思い出になるんだよね


ONE MUSIC CAMP 2023 概要

開催日時:2023年8月26日 (土)  / 27日 (日)
会場:兵庫県三田アスレチック野外ステージ
料金:2日通し入場券:11,000円  /  1日入場券:各日8,000円
出演:我是機車少女 I’mdifficult(Taiwan)/ YeYe / Emerald / 踊ってばかりの国 / KUSABANA/ GEZAN / Kenta Dedachi / GOMA meets U-zhaan / 佐藤千亜妃 / Summer Eye / さらさ(Solo Set) / jizue / She Her Her Hers / 神聖かまってちゃん / DENIMS /TENDOUJI / tricot /  neco眠る / Mega Shinnosuke / MONO NO AWARE / 幽体コミュニケーションズ / ゆうらん船 / ラッキーセベン / Rosalyn(Thailand) / ROTH BART BARON  / 浪漫革命
DJ:KiX Sound System / DJ DADA / Tsuyoshi Sato(Black Edition)
主催:株式会社ONE
後援:三田市、三田市商工会
公式サイト:https://www.onemusiccamp.com/
X:https://twitter.com/ONEMusicCamp
Instagram:https://www.instagram.com/onemusiccamp/

ハッピーな気持ちが心から体から溢れ出す
音楽への喜びがぎゅっと詰まったアフタームービーは必見です!!


おしまい

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