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愛とリスペクトは細部に宿る。|EPOCHS '23

今年初開催だったSPACE SHOWER MUSIC主催の「EPOCHS」は今年いちばん衝撃を受けたフェスだった…!開催前からラインナップもクリエイティブも期待をそそられ、当日は衝撃的な空間づくりに目がチカチカした!個人的には今後の秋フェスリストに堂々ラインナップとなりました。こちらも記録🎪

「EPOCHS ~Music & Art Collective~ 」(通称EPOCHS)は、軽井沢町が“古き良き軽井沢の文化を後世に伝承し未来の100年に向けての新たな文化を創り出す”を目的に12の文化をテーマを設けてイベントやワークショップなどの体験機会の場を設けていく「軽井沢文化祭」という取り組みを行った中の、音楽テーマコンテンツの一環として生まれたイベントで、主催はSPACE SHOWER MUSIC。スペシャのフェスといえば「SWEET LOVE SHOWER」や「POP YOURS」などあるけれど、このEPOCHSは音楽だけでなくアート、カルチャー、マーケット、フードなどなど、スペシャがキュレーションしたざまざまなコンテンツが楽しめる新しい総合カルチャーフェスということで!自身、開催発表を知ってからというもの、ラインナップやコンテンツの発表があるごとにワクワク情報を追っかけてたなと思います。

なんといってもアートディレクターYOSHIROTTENさんが手がけたキービジュアルからもうおしゃれ。(サウンドビジュアルインスタレーションも行っていたそうだったけど日程合わずだった…見たかった…)さらに国内外のアート作家さんをラインナップし、会場演出にはフェスティバルデザイナーとして活躍している遠藤治郎さんが参加。ラインナップもSPACE SHOWER MUSICのアーティストはもちろんのこと、アジアからもアーティストを招集、さらにヒップホップからロックまでジャンルにこだわらずグローバルかつエッジの効いた音楽が選ばれていて、個人的にも「見たかった!」というアーティストがたくさんいてウキウキでした。音楽からアート、空間演出まで、ここまでのキュレーションができるのはさすがのスペシャさん・・とおもって胸が高鳴りっぱなしでした。

私は2日間開催のうち初日の土曜に遊びに行きましたが、会場の雰囲気づくりも最高で思いっきり楽しめました。ぱらっと雨が降った時間もあったものの過ごしやすい気温(20度くらい)で晴れていたのは本当によかったな〜と思いながら振り返り。

会場入り口。爽やかな風にゆらぐ布、なんて素敵なんだろう。。!
会場には至る所にアートの展示が。キョロキョロするのが楽しすぎました。


様々なコンテンツが楽しめる会場

会場である「RISING FIELD KARUIZAWA」は、上信越国立公園(国立公園)の中にある大自然に囲まれた美しいアウトドアリゾートエリア。その中に2つのライブステージエリアとクラブエリア、アートエリア、それからフードやワークショップのブースが並ぶエリアなどがコンパクトにまとまっていました。エリアマップもかなりコンパクト笑 最初は方向がわからなくてウロウロしましたが(方向音痴です)一通り歩けばもうマップは必要ないです。各エリアの距離も遠くないのでとても行き来しやすい。

フードとマーケットのエリアは地元軽井沢のお店がたくさん並んでいました。フードはスパイスカレーやバーガーなどのフェスフードもオーガニックな感じで見た目からおしゃれだったし、ドリンクもスパイス系ドリンクや自家焙煎のコーヒーなど、クリエイティブ空間に合いすぎでした。ワークショップもちらほらあって、手作りの虫除けスプレーだったり、お花とパロサントを組み合わせて作るブーケ的なものだったり、アウトプットがかわいかった。家族でやってます系の個人ショップさんが参加されてた様子。軽井沢もしっかり巻き込んでの盛り上げを感じました。そんな感じだったからか特にワークショップの呼び込みにはお子さんが声掛け担当してたりちょっと地元祭感も感じるのも微笑ましかった。

店舗数がすごい多いわけではないので、特にフードは食事時にはめちゃ並ぶのでタイミングが重要!
ちょっと肌寒い野外にはぴったりの肉そば。まさか信州そばまで食べられるなんて!めちゃくちゃ美味しかったです!!
このお店のマサラチャイもとても飲みたかった・・やっぱりスバイスドリンクはそそられます。


大自然に囲まれた個性豊かなステージ

ステージは全部で3ステージで、メインが全面芝生で広々としたGRAVITYステージ。バンドセットや海外アーティストがパフォーマンスするめちゃくちゃ開放的なステージでした。それからヒッポヒップやシンガーソングライターのアクトが多かったのがROOTSステージ。ステージというか大きめのタープを張っただけって感じなのでお客さんとの距離感もものすごい近くてグルーヴが最高だった。そして最後にDJアクトがラインナップされていたNAGISAステージ。3ステージ全部、装飾から演出からなにからすごく個性的で最高だったのだけど、特にNAGISAステージの衝撃はすごかった!!(のでのちほど改めて紹介します)

この空間でみることが特別と感じる、そんな音楽の魅力をさらに引き立てる素晴らしいフェスが新たに軽井沢という地で生まれたことは個人的にも、音楽ファン全体にとっても喜ばしいことだろう。

こちらはGRAVITYステージ。前方ではゆるゆると好きな場所で踊りながらステージを見れるし、後方ではシートや椅子を広げながらのんびりとパフォーマンスを楽しむことができるし、気分や体力に合わせて音楽を楽しめる自由で開放的な空間でした。お子様連れの方や友人同士で来ている人にとっても、程よい会場規模・人数規模で、適度にだべりながら休みながらフェスを楽しめるのはいいよね。ちょっと曇り空だったのが残念だったんだけど、青空だとなお最高だっただろうな〜 

そしてこちらはROOTSステージ。見てほしいこの距離感!!お客さんとアーティストがほぼゼロ距離w しかもこのステージの周りは木々に囲まれていつつも、滑らかな傾斜があってかなり空間も広いので、前方でガンガン攻めてグルーヴ浴びまくるのもよしだし、自分の好きな場所で遠くからもよく見えるっていうのがとてもよかった。わたしもご飯食べながら後方で見ました。
このステージづくりもとてもいいな〜と思った。設備的にパフォーマンスするアーティストはラッパーだったりが多くなってはしまうけど、大自然の木々のなかでタープを張っただけっていう野良っぽさというかシンプルな感じというか。居合わせた友人に聞いたら海外だとこういうステージづくりも多いんだそうで、前述したGRAVITYのようなしっかりしたステージと、ROOTSのようなアンダーグラウンドなステージとがあるのも、飽きない空間になっているなと感じた。

めっちゃ盛り上がってたSkaai


カッティング・エッジなラインナップ

ラインナップは本当に両日参加したいくらい魅力的すぎなので、ぜひチェックだけでもしてほしい。私は初日のみでしたが、かなりジャンルとしても音楽性としても、個性豊かというか多彩な感じな気がしました。幅広いお客さんに人気があるiriやyonawo、ペトロールズの他に、YONLAPAやDOUDOU from 福禄寿 FloruitShowというアジアからのアーティストもいて、さらにSTUTSが大トリ!!あと、初日のROOTSステージはSkaaiやJUMADIBA、kZm、Daichi Yamamoto、BIMといったヒップホップ色が強いラインナップだったけど個人的にライブ見る機会が少ないので、ここまでヒップホップを浴びていけたのも最高でした。
2日目は(行ってないけど)、フェスでは本当に見る機会がないレジェンドすぎる大貫妙子がいたり、YONCEが率いる新バンド“Hedigan’s”のライブ初お披露目だったり、ROOTSステージは初日とは打って変わってMIZや折坂悠太といったゆったりな感じで、こちらも良さそうでした〜〜

日毎の感触は多少違うものの、どちらにも感じたのは、ジャンルも国も越境して、来た人が新しい音楽にちゃんと出会えるラインナップになってるってことと、あと若い世代の人たちがもつ音楽に対するグルーヴ感というか共通感覚というかそういうのを抑えてる感じがもう、さすがのスペシャさんだなあというところです・・・!(二回目)

大好きだったアクトを2つ。1組めはタイからのYONLAPA!2018年に結成されてて、私自身は去年の夏初めてライブを見てからすっかり大好きになり、今年の新譜も聴き込んでたのですごく楽しみにしてたわけですが、ライブ本当に最高だった。。ここ1年海外のいろんなフェスやイベントに出演していたのも情報追っかけてたのでなおですが、去年から比べてもステージの力強さが!全然違った・・!!!やっぱりライブたくさんしてきたぞっていう場慣れというかたくさんのファンを作ってきたって自信に満ちてて、さらに好きになりました。アルバムのリリースツアーもかねての来日だったので、新譜も聴けたし、お客さんとのゆったりな雰囲気も居心地良くってピースフルで本当に楽しかった〜〜

もう1組は、これまた大好きなペトロールズ!今年はサマソニでもちょっと聴いてビーチなペトもよかったんですが、やっぱり夜の鮮やかな照明の中の色っぽいペトは格別ですね・・・。なんならMCで言ってたけどメンバーみんなステージ前に楽屋にあったテキーラを飲んでたっていうことで、ちょっと(?)ほろよいながらのステージだったのももうなんかねえ。3人が楽しそうで、見てるだけで心が潤いました。「雨」なんか本当に異空間にいる感じだったというか、こっちも酔いしれてしまうというかうっとりしたし、ステージの照明演出も色鮮やかになったりスポットライトになったりと、緩急があってすごく良かった。GRAVITYステージは夜になってからの幻想感が半端ないです。


ロケーション勝ちすぎる衝撃空間

さてお待ちかね(?)のわたしが今年一番衝撃を受けた空間こそEPOCHSのNAGISAステージ(DJステージ)でした。私の行った日はCYKなどがプレイしていてかなり盛り上がっていたし、とにかくこのNAGISAステージが冗談抜きでロケーション勝ちすぎました。GRAVITYステージ、ROOTSステージからは少し距離が離れていて、道中は「え?この先にステージがあるの?」と思いながら進みました。下記写真のように森の中をどんどん進むんですが、若干傾斜があるのでぬかるみに注意なのと夜は懐中電灯必須!帰り道はちょっと息切れするくらいの階段です。

この先にステージある?と思いながら気分上がってます。

進んでいくと音が聞こえてきます。「お!ステージ近づいてきてる!」と思いながらもうちょっと進んでいくと川が見えてきます。川にかかっている橋を渡りながら周囲を見た時、言葉を失いました。

え?川??の間にステージ???

これには本当に驚きました。お客さん側の対岸にステージ。間に川が流れていて、ステージの頭上には銀色にきらめく巨大な円盤形のミラー(?)のようなものが吊り下げられていました。小川が流れる美しい森、響き渡るダンスミュージック!!!お客さん側の後ろの方に、写真には入ってないのですがどでかいスピーカーも置いてあってかなりズンズンしてました(語彙力)あとから知った話によると、そのサウンドシステムは地元の方から借りたものということだったので軽井沢の地元の方の強さを感じました。

いや、やばいですよね。とにかくロケーションが素晴らしすぎる。まさか川の上にステージを作っちゃうなんて。。。。さすが世界をかけめぐって活躍される空間演出の遠藤さん、そしてその方をちゃんとブッキングするスペシャさん。。今まで感じたことのない鳥肌すぎるフェス空間がここにありました。

そしてもっとやばいのが夜。NAGISAステージは夜が真骨頂でした。昼もびっくりしたんですが、夜のサイケデリック感といったら!でかい銀色の円盤に照明がギラギラ反射して、左右には焚き火、お客さんとステージの間にはスモークがガンガン流れる。川には丸いライトが点々と設置されていて、さらに森の木々にはレーザーでビッカビカのライティング。川の流れるせせらぎの音とゴリゴリのダンスミュージック。オーガニックな大自然とサイケデリックなレイヴ空間が完全に融合、ロケーションを生かした最高の踊り場でした。身体中がぞわぞわした。。。

道中も自然を惹き立てるライトアップ

わたしのiPhoneが夜写真ポンコツなのでなかなか伝わらないのですが、公式Instagramにえっぐい写真がたくさん上がっているのでぜひチェックしてほしいです!そしてこの感動は現地に行かないと体感できないので、ぜひ来年(さらにパワーアップするはず)目撃してほしい。切実に!


最後に

音楽もアートもカルチャーも、そして最高のロケーションをも見事に融合し、きっと来た人にたくさんの感動と衝撃をもたらしたEPOCHS。音楽フェスという枠組みを優に飛び越えて、新しい視点や発見、感動に満ちた時間だった。関係者にお話を聞いたら、フェスの開催にあたって新しい感覚を持ってくるためにスペシャのプロデューサー陣の方々は実際に多くの海外フェスに赴き、現地のレイヴシーンやフェスの空間作りをリサーチした上で、この軽井沢のロケーションに合わせて、会場装飾から照明、演出まで細かな部分まで丁寧にディレクションして新しい野外フェス空間作りを行なったとのことで、それを肌で感じることができて本当によかったと思うし、こんなフェスが誕生したことに心から拍手したい。友人とも家族とも来れる、カジュアルに楽しめるレイヴ空間。本当に最高だった!

それに加えてやっぱり、普段からアーティストやカルチャーと接しているSPACE SHOWER MUSICならではのオリジナリティとセンスと繊細な感覚が溢れてるブッキングにもものすごく想いを感じました。

どのステージも良かったけど初日のトリであったSTUTSは、多くの友人たち(BIM、Daichi Yamamoto、Kanee)をゲストに迎えてのパフォーマンスで、お客さんも大自然も全部巻き込んだ、とてもとても幸福なお祭ステージだった。個人的に今年武道館でのワンマンライブも見て、やっぱり今の音楽シーンに欠かせない、新しいカルチャーを牽引してきたアーティストだなって思ってたし、EPOCHSでもしっかりと今のキブンだったりEPOCHSの目指したいグルーヴ感・文脈を汲んだパフォーマンスをしていたと思う。さらにYONLAPAのNoi Naaとの、EPOCHS開催のためのテーマソング“Two Kites”のお披露目も最高だった。というか、フェスのテーマソングを国内と海外のアーティストとのコラボでつくっちゃうところも、本当にさすがのスペシャさん(何回言ってるんだろう)なんだよなあと。

あと個人的に感じたところで言うと、EPOCHSは、なんか居心地のいい仲間と一緒にいるとさらに楽しい空間になると思ったんですよね。私はフェスでも個人行動することが多いので、EPOCHSも1人で参加したんだけど、でも、なんというか、EPOCHSに限っては仲間と連れ立ってカジュアルに楽しみたいってそういう気持ちになりました。多分イマのカルチャーを纏った若い世代や若いファミリーがターゲットなんだろうなというところもあり、1人で楽しむより、気の知れた友人と街でフラッと飲み歩いてるくらいのムーブというか、隣に連れがいるのがちょうどいいというか、いろんなものをフラットに「いいよね」って共感できるような関係の存在がそばにいるともっといいなって思ったんです。

ちょうどよい「心地よさ」を感じたというか、しがらみだったり事情みたいなものがあんまり漂ってなかったのもあるのかなあと思う。新しいフェスだったらなおだし、既存のフェスでもそうだけど、どんなに素敵な空間でもなんとなく「大人の目」を感じることってあって。でもEPOCHSにはそれを感じなかった。大人の目のない、開放されるような心地の良さ。だからこそ、音楽以外に誰かとの時間も楽しみたい、自分も心地よい人と一緒にいたい、そう思ったのかもしれないなとなんとなく。そういった気持ちになったのもきっとスペシャのスタッフのみなさんの心がけがあったからなんじゃないかなと。

とにかくSPACE SHOWER MUSICのみなさんが強い想いを織りなしてEPOCHSに命を吹き込んでいると感じたし、アーティストのラインナップから、ビジュアル作り、空間作り、クリエイティブの全てにおけるこだわりだったり、音楽やフェスに対する感謝とリスペクトもすごく感じた。
軽井沢のあの最高のロケーションと空間も最高に居心地良かったけど、現地で感じたこういった様々なものが自然に伝わってきて、より私たちに心地よさを与えてくれてくれてたんじゃないかと思う。

ということで、初開催という節目に立ち会えたのもめっちゃ嬉しかったし、東京からのアクセスもよく日帰りでも参加できる野外の秋フェスはめちゃくちゃ貴重…!来年以降も続いてほしいなと心から心から願います。

EPOCHSは昼と夜で全然表情が違うのも魅力でした。


EPOCHS 2023 概要

開催日時:2023年9月30日(土)、10月1日(日)
会場:RISING FIELD KARUIZAWA(長野県北佐久郡軽井沢町長倉山国有林2129)
料金:2日通し券 22,000円(税込) / 1日券 各12,000円(税込)
出演:
9月30日
iri / ELLI ARAKAWA / Kaoru Inoue / kZm / Sound’s Deli / JUMADIBA / CYK / Skaai / STUTS / Stupid Kozo / Daichi Yamamoto / DJ NOBU / DOUDOU from 福祿壽 FloruitShow(From Beijing) / BIM / ペトロールズ / Mayurashka / yonawo / YONLAPA(From Thailand)
10月1日
WONK / 大貫妙子 / 折坂悠太 / Kikiorix / 水曜日のカンパネラ / DANIEL WANG(From Berlin) / CHIDA / Tempalay / TOWA TEI / Dos Monos / Haruy / Hedigan’s / White Shoes & the Couples Company(From Indonesia) / maya ongaku / MIZ / Yuka Mizuhara / Leo王 + 雷擎 L8ching + 雲端司機CLOUDRIVER(From Taipei)
主催:SPACE SHOWER NETWORKS INC.
企画 / 制作:SPACE SHOWER MUSIC
特別協力:SUBU
協力:RISING FIELD KARUIZAWA / 軽井沢文化祭実行委員会 / 軽井沢プリンスホテルスキー場 / 草軽交通株式会社 / 軽井沢観光協会 / 軽井沢ホテル旅館組合 / 軽井沢ウェディング協会 / 軽井沢タクシー協会 / 白糸ハイランドウェイ / LUCK’A Inc.
後援:FM軽井沢 / FMぐんま / FM長野
オフィシャルメディアパートナー:EYESCREAM / NiEW / J-WAVE
制作協力:BIG ROMANTIC RECORDS / PRIMITIVE INC. / CREATIVE COMPLEX STUDIO
運営:DISK GARAGE
公式サイト:https://epochs.jp/
X:https://twitter.com/EPOCHS_official
Instagram:https://www.instagram.com/epochs_official/

おしゃれレイヴ空間が溢れ出す、
クリエイティブも最高すぎるアフタームービーもぜひ!


おしまい

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