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その日が来たら気づく|Aro/Ace雑記

 つい先月Aro/Aceを自認しました。こう言うのが一番わかりやすい表現ではあるけれど<自認した>という言葉の居心地の悪さをじんわりと感じています。30年近くヘテロだと思って生きてきて(違ったわけですが……)「私はヘテロセクシャルです」なんて言わなくて(なんなら考えなくて)よかったわけだから、うまく言葉にできないけれどそういう社会構造に対してのその事実に溜息が出てしまう。

 先月、伊咲ウタさんの『きみのせかいに恋はない』を読んで、私そうかもしれない……とアセクシャルについて調べたことが自認のきっかけでした。

 こちらのツイートで冒頭が読めます。

 すごく時間をかけて恋愛や結婚観について悩んでいたこたところに、この本が最後のひと押しをしてくれたような形です。

 私はシス女性ですが、結婚と出産について世間からとても圧がかかることに対してストレスを感じていました。まず出産という行為に嫌悪感がありどれだけ素晴らしいものか勧められたところで無理と思っていました。「大丈夫、産んだら変わるから」と言われても、例えば「下水道のヘドロ舐めたらすごい美味しいから舐めてみて」と言われてあなたは舐めるのか、という気持ちでいました。特に親は孫を待ち望んでいて、毎日のように孫ができたら〜という話を振られたので今考えるとノイローゼのようになっていた気がします。親とはほぼ毎日顔を合わせる生活だったので、このことについては出産についての価値観を少しづつ伝え、結果的にはわかってもらえたと思います。

 次に結婚に関してですが、結婚もしたいと思ったことはなく、ただ漠然と「するもの」だという認識でいました。とはいえ相手がいないとできませんよね。恋人がいたことはあります。ただどの人のことも正直にいうと好きではなくて、所謂きゅんとしたこともなく、なんなら嫌だなと思いながらずっと付き合っていました。
 部屋に恋人がいるとき「なんでこの人うちにいるんだろう。一人になりたいな」と思うのはどうやらカップルの考え方として違うらしいと気づいたのは最近になってから。
 自分がヘテロだということを微塵も疑ってなかったので、そのうち好きになるだろうなんて思っていたんですよね。それを繰り返すうちに疲れてしまって、人間が嫌いなのでは……と思い始めてきました。
 そこで、好きだ!と強く思える人が現れない限り付き合うのをやめようと決めました。そしたしらもう、すごく、ハッピーだった。肩の荷が降りたというか、息がしやすい。そして微塵も寂しくない!寂しくないという事実には笑ってしまいました。少しは寂しいのではと思っていたので。一人の世界は生きやすいぞ、と気づきました。それが約3年前のこと。

 5年前くらいに「Aセクなんだわたし」と知り合いに言われたことがあります。カミングアウトという重々しい感じではなく、私も周りも「あ、そうなんだ」というような反応でした。その子を含め周りにはセクマイの知り合いが何人もいて、それぞれが自分の思うように生きるのが一番良いと私は今も昔も思っているし、それが可能な社会であれと願っています。しかしそこでなぜ自分もそうかもと思わなかったのか……。
 先日初めてアセクシャルをSNSで検索したら沢山の方が記事を書いていて、冒頭の漫画もそうですが10代から自認している人も多いみたいで、その事実に羨ましささえ感じてしまいました。それはそれで生きづらさもあると思うし、自分が10代の時に自認していたらどうかなんてもはやわからないけど、そう思ってしまうくらいには辛かった。だからとにかく自分の感覚を大切に生きていくべきだなと思うし、これからはそうしたい。

 セクシャルマイノリティについては、大まかに知っていただけなのでこれから勉強していこうと思います。(文中使い方など間違っていたらすみません。)

 おそらく自分はAro/Ace。他者に恋愛感情を抱かないし、他者に性的な魅力を感じない。そしておそらくそのどちらにも嫌悪感がある。細かくは人によって違うし当たり前だけどいろんな人がいて、居るということに安心しました。アセクですっていうのも別に人に認定されるわけではないし、自分がこうと思ったらそうでいいとうことですよね。

 ちなみに恋愛物は読める。映画も見る。(というかなかなか避けて通れないですよね)。でも考えてみると好んでラブストリーを選んでいるかと言われればNOで。とにかく自分に矛先が向かなければ楽しめるというような感じです。私はね。
 そう!だから、友達が結婚したり出産したりすることは喜べるんですよ。嬉しいです。友達が幸せならね!自分が嫌なだけでそれを押し付ける気はないし、だから押し付けないで欲しいって感じ。

 あと、自分がAro/Aceなのではと思ったときに、勢いで母にそうかもと言ってみたんです。そしたら今までの出産・結婚観を聞いていたからか「私もそうかなと思ってた。老後だけどうするか考えておかないとね」で完結しました。ほぼ同じタイミングで父から付き合ってる人はいるのかと聞かれて「実は恋愛に興味がない」と言ったら「そうか」と笑っていたので、案外今までバトルしてきたことで両親的にも諦めがついたのかな……なんて思いました。少し申し訳ない気持ちはあるけれど、できないことはできないんだよな。

 Aro/Aceってタイミングが無ければ人に言う必要あんまりないなと思っていて(恋愛の話も苦手なので、個人的な意見です。)、でも少し気持ちをまとめたいなと思ってこの文章を書きました。全然まとまってはないのですけど。自分が女性だということに対する嫌悪感もあって性自認についても少し考えたいなと思っています。無理せず。とにかく生きやすく生きたいですね。

映画を観に行きます