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迷いを減らす

やらなきゃいけないことが気になる

「あぁ、あれをやらなきゃな…」ということが、心のどこかで引っかかっている。それなのに、ただ嫌だなあと思いながら、しばらく時間を過ごしてしまったり、それをやるのは今じゃないんじゃないかという考えがあって、他のことを始めてしまう。誰にでも、そのようなことがあると思う。

この、やらなきゃいけないと思っていることが心に引っかかっていて、もやもやしている状態こそが、実は心のエネルギーの消費量が大きい。なので、いかにこの状態で過ごしている時間を減らすかということが、自分のエネルギーを守っていく上では大切になる。

着手だけする

その一つの方法が、とりあえずすぐに着手するということである。もちろん、その作業をやりきれそうなら、それに越したことはない。でも、それが難しいから困っている。なので、その作業の取り掛かりだけを行う。

例えば、お客さんにメッセージを返さなきゃ、ということであったら、実際には送らなくても、どんな文面にするかだけでも考えておく。本を読まなきゃと思っているなら、1ページだけ読むのもいい。掃除をしなきゃと思っているのなら、掃除機をコンセントに差すだけでもいい。

このような細切れだけの作業をして、それに一体何の意味があるのかというと、とりあえず着手をするというだけで、心のエネルギーが消費され続ける状態にストップをかけることが出来るからだ。ここでは完了することを目的にしていない。自分が、あれをやらなきゃと思い浮かべていることに気付いたら、着手だけ一分ででもできそうなことをパッとやってみる。このことを一日一つだけやる。

気になっていることを書き出す

もっと複雑な場合もある。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、ということが頭の中でぐるぐるしていて、何からどう着手していったらいいのかもわからない。このように、どうしたらいいか迷っている状態で過ごすことも、さらにエネルギーの消費が大きく、危険である。

そんなときは、一冊のノートを用意して、今自分は何について気になっているのかということを書き出すということをする。ただ書き出されるということで、エネルギーの流出を防ぐことができる。こうして出来上がったものは、TODOリストと呼ばれるものに似ているかもしれないが、違う。TODOリストは心からエネルギーを奪っていく。あんなものは見たくもない、見ればかえってやる気が起こらなくなるという人はいると思う。僕はそうだ。

これはただエネルギーの流出を防ぐことを目的として書いたのであって、書き終えただけで任務は完了している。ただ気になったものというだけだ。だから、そもそもそれをやる義務があるわけでもない。

紙に記録をつける

試しに一週間、このように意識して過ごしてみると、一日の終わりの疲れ方が違うといったように、エネルギーの消費量が全然変わったということに気付くと思う。

そして、実際に着手したことや完了したことについても、同じノートに書いておく。既にやったことを書いて、何の意味があるのか。ここに書かれているのは、自分が実際に出来たことである。自分が出来たことを近くに見ながら、気になっていることを紙に書いていくと、無意識の領域でそれらが溶け合っていくということが起こる。それは、少しずつだが確実に起こる。

そうすると、あるとき気になっていたことに自然と着手しているようになっている自分に気付く。行動に必要なエネルギーは、流出を食い止めることで、すでに調達できているからだ。エネルギーが満ちれば、そのときは必ず訪れる。だから、行動出来るようになるまでの自分を責める必要はない。そのときまで待つことだ。

このように、書くという動作によって、出来ることとやりたいことの心理的な距離を少しずつ近づけていく。これは、魔術的なる行為である。それは、ただ紙に書き込むということをするだけでいい。そうすると、やりたいと思ったことを本当に実行できるような、行動的な自分というものを作っていくことができる。自分にとって必要だと思うことを、ちゃんと実行してくれるような自分自身というものに安心し、頼もしく感じられるようになっていく。

こうしていくと、やがてそのノートは神聖さを帯び始め、祈りの書となる。ここに書かれたことは、自分自身の無意識のエネルギーによって実行される。ここに呪文を書き込めば、それはその通りになる。

一歩目を踏みしめる

一々ノートを書くというのも最初は面倒なものであるが、そのうち楽しくなってくる。そして、もっと豊かになりたいということであったり、もっと自分のことを自分で好きになれるようになりたい、人生を変えたい、自分のステージを高めたいと願っている人にとっては、エネルギーの管理に対してはこのくらい慎重になった方がいいとは思う。ステージを上げるのに必要なそれは、やはり並大抵なものではないからである。

よく自分よりもステージの高そうに見える人が、楽々と行動し、成果を出している姿を見て、あの人はすごい行動力や意志力があるのだな、と思ってしまうが、そうではない。彼らは、大してエネルギーを使っていない。

それは、自転車で例えるとわかりやすい。既にかなりのスピードで走っている自転車を足で漕ぐ必要はない。それよりも、一歩目のペダルを回すときの方が、よほど足の筋肉のエネルギーを使う。

目に見える活躍をしている人よりも、今一歩目を踏みしめようとしている人の方が、よほど高いエネルギーを必要としている。だから、よりエネルギーに対して慎重になるべきだし、ステージの高い彼らよりも、よほど大変なことをやろうとしている、困難な挑戦をしようとしている自分を誇りに思うべきである。

人生を変えるための一歩は、今までに歩んだどんなものよりも重い。だから、少しでもエネルギーを大切にして、少しでもそれをかき集めるようにする。そうして、力強く一歩を踏みしめる。その足でエネルギーを大地に叩きつけるようにして、星とのダンスは始まる。

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