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日本化学会春季年会に行ってきた。

化学系のイベントとしては国内最大級(だと思う)に行ってきました。今年は日大船橋。
なお、年会で検索すると、このイベントが出てきます。ほかの分野だと○○学会だったりするのかしら?

どんな会なのか

化学が絡めばなんでもOKっぽいぐらいレギュレーションのゆるい化学系の学会の印象です。過去には錯体化学会とか有機金属討論会とかにも参加しましたが、分野コード的にはこの3倍ぐらいの範囲はありそうです。
全体的には有機化学が多いのは、無機の人は応用物理学会とかもあるからと聞いたことがありますが、真偽は不明です。

参加費が15000円(個人正会員)ぐらいするので気軽にはちょっと参加しずらいかも。でも、DTL2回分の価格で4日アトラクションに参加できると考えれば安いのかもしれません。
昨秋の一般公開は無料ですので、それと比較するなという話でもあります。(一般公開は費用かからないけど、学会だと大学にお金を払う必要があるので費用がかかるのは仕方ないと思う。”稼げる大学”ってやつですかね?)
一般向けのイベントの一部は無料だったりするので全部が全部有料でもないのですが、有料な奴との区別がつかないです。

発表形態にも複数あり、7~15分の口頭発表や、なんかえらい賞(よくわからない)を取った人の50分ぐらいの記念公演などいろいろあります。

今回参加した理由

研究業務から離れてしまったため、Cutting Edgeな研究に出会うことが少ないので、補充したかったというのが理由です。とはいえ年度末の爆裂忙しい時期に有給を取れる雰囲気でもなく、祝日の20日だけ参加しました。(鋼の意思で社用名刺をもっていかなかったが若干後悔)

聴いた講演

有料の講演を詳らかに公開というのもダメじゃないか?と思うので、エッセンス的な部分とかを書いておきます。

金属錯体の光化学を基盤とする光触媒システムの創製 石谷 治

今日最初に聞いた公演は石谷先生の講演。
研究に着手した段階での人工光合成のために必要な要素技術を明らかにしたうえで、それぞれについて突破されているところがすごいなと感じました。

光反応系はあまりやってこなかったのもあって苦手意識が強い領域ですが、最近はかなり熱心に研究されている分野という印象があります。光のエネルギーを使うことで不利な反応が進むなど、社会実装が強く求められているというところがあるのかもしれません。
一方で、中間体の同定など特殊な機器が必要になることも多く、研究が大規模化しやすい印象もあります。(私も学生時代は量子化学計算しましたが、閉殻構造の量子化学計算ならまだしも、光励起した分子の計算は解釈とかできない。あれは専門家の解釈を仰ぎたい)

これだけのいくつもの要素技術を作り上げても、今なおアセンブリまでできていないので、やはり人工光合成は大変だと思いました。

フローマイクロリアクター研究が導く高速合成化学 永木 愛一郎

ここ最近(とはいえ20年とかのスパン)で急速に進展してきたマイクロフロー分野。

印象的だったのは、「マイクロフローだからという特別なトリックがあるわけじゃない。混合にかかる時間が瞬時に終わるから、拡散律速ではない化学ができている」というあたりの話がきれいに感じました。
フラスコを使う実験だと、高濃度溶液と高濃度溶液が均一に混ざる前に反応が始まってしまうので、過剰反応が進行したりしてしまうのが常です。一方で0.001秒ぐらいで混合できるから瞬時に混合液になるというのが基本的なメリット。これをいかに展開していくのかというのが研究の醍醐味なのかなという印象を受けました。

付設展示会

いわゆる企業展示ブース。学会価格(15%)で買えたりする。生協割が効く人だとあまり要らないかも?
今回は以下を買いました。丸善は何と50%OFFの棚にあった。なんでこんなに安いのかは謎。
化学同人
 ドラマチック有機合成化学
 フッ素の特性が織りなす分子変換・材料化学
丸善
 化学実験の事故事例・事故防止ハンドブック
 化学物質の爆発・危険性ハンドブック

化学と情報科学の協働による潜在空間分子設計への挑戦
学術変革領域研究A

潜在空間からの候補分子提案→合成→評価
のサイクルをグルグル回していこうぜ!という研究群。ただ、大上先生はAlpha Fold2ベースでペプチドで話で講演しているのに、大森先生はフラボノイドの話で講演しているなど、それぞれの得意な分野の話をしている印象がある。まだ始まったばかりだからNon-disclosedな結果しかないのかな?という印象。

たぶんやる中で一番楽しいのは潜在空間探索……。

見そびれた。




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