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「我々にしかできないと確信しているアプローチで上場企業の株主価値最大化を支援」和田尚大代表取締役COOが語る、QuestHubで働くリアルと醍醐味

4月5日に公開した、QuestHub(以下QH)初のnote記事では代表取締役CEOの大熊将八がQHの理念を発信し、幸いなことに多くの反響をいただきました。

「もっとQHの業務内容について知りたい」という声も多数いただいたことから、コーポレートアドバイザリー事業を率いる和田尚大代表取締役COOに「QHの仕事のリアル」をインタビューしました。


和田 尚大 代表取締役COO
京都大学経済学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京、東南アジアオフィスにて主にPEファンドや大手製造業に対してM&A戦略、ビジネスDD、買収後のバリューアップ、売却などのコンサルティングサービスを提供。QuestHub共同創業後は主に国内上場企業向けに多数の戦略策定支援・委任状争奪戦支援・株主構成最適化支援プロジェクトに従事。

――単刀直入に聞きますが、QHのコーポレートアドバイザリー事業は具体的に、誰向けにどんな仕事を手がけているのでしょうか

上場企業の経営陣に対して株主価値最大化のためのコンサルティング・アドバイザリーを行っています。現在の主な顧客企業は時価総額数十億円から数千億円前半までが中心です。
現在はサービスラインナップを以下の4つに分類しています。

――具体的には何をどうやるんですか?

QHの仕事は、現在の株主の考える時間軸と企業に対する期待を理解し、上場企業の経営者に「今あなたは株主から見てこのように映っていますよ、中長期にはこのようにしていくべきです。そのためにまずは短期的にはこのようにしていきましょう」という筋道を立てていくアプローチをとります。

上場企業の株主には創業家や事業会社もいれば機関投資家も個人投資家もいますし、機関投資家に限っても海外のアセットマネジメント会社とアクティビストと短期売買のトレーダーでは企業への理解も要求も求める価値も大きく異なります。それぞれの株主は自らの想定する時間軸の中での価値最大化を要求することになります。なので、今の株主構成における平均的な時間軸の長さと、保有比率を加味した荷重平均的な時間軸の長さが、経営者が行う経営の時間軸を決めることとなります。経営者はそれぞれの株主の声を聴き、そこにどう折り合いをつけるか葛藤します。ただし、企業の意思決定を通じて株主の期待する時間軸を変えることも可能だと考えています。対話を通じて特定の株主の時間軸を伸ばすこともできますし、より長期の時間軸を持つ株主が集まるように働きかけることもできます。

例えば、一切の開示がない会社の場合、将来の見通しが見えないため、株主の期待する時間軸は短くなります。一方で、そうした会社がクオリティの高い中期経営計画を発表すれば、将来の業績に対する見通しが高まり、また業績改善に対する株主の期待が高まるため、時間軸が伸びるわけです。時間軸の極端に短い株主の割合が高まってしまった場合にはその株主に会社の方向性が引っ張られすぎてしまうのを防ぐ必要があります。例えば、非公開化を通じて単一な株主構成にリセットすることが企業の再成長にとって最適な場合もあります。

――具体的なプロジェクト例を教えてください

【プロジェクト1 A社の経営計画の策定を通じた支援】

A社は過去に市場の期待を満たせなかったことなどが要因で、業績は好調なものの競合比で割安となっていたためアクティビストファンドから厳しい指摘を受けており、どういう経営方針を打ち出せば市場から評価されるかというご相談を受けました。

A社では中期経営計画を数年前に出していましたが、資本政策の話は一切ありませんでした。そのため、中期経営計画策定を通じて株主価値最大化の発想を経営に実装する必要がありました。A社が属する業界は成長産業であり、A社も一定の成長力はある状態である一方で財務は資本過剰の状態で、そのためROEやROICは資本コストと同水準でした。

プロジェクトでは、A社の資本コストはそもそもいくらで、それを上回るようなROEないしはROICを実現するための一連の財務施策は何かということに集中し、クライアントと二人三脚で考え、取締役会で資本コストに関して説明させていただくことを通じて、取締役会の意識も次第に変化していきました。結果として、現実的に実現可能な株主還元ポリシーを練り上げることができ、その中期経営計画は幸いなことに多くの株主から高い評価を得ることができました。これは、マネジメントおよび現場とプロジェクトを通じて濃密な時間を過ごし、信頼を獲得できた我々だからこそできた事例として誇らしく思っています。

【プロジェクト2: B社の非上場化による再成長支援】

B社は特殊要因により急速な株価下落が過去に起きており、QHがB社への支援を開始したとき、アクティビストファンドが大量保有していました。株主・議決権行使分析を通じて判明したのは、このままアクティビストの買い増しは続き、経営支配権を揺るがす可能性があるということでした。同ファンドは急速に株式を買い増す“短期決戦”を仕掛けてきたため、経営陣とQHは、選択を間違えられない難しい意思決定を迫られました。

このプロジェクトで最終的に出した結論は「現状の株主構成のままでは長期目線での経営戦略の策定と実行は極めて困難なため、いったん非公開化したうえで再成長の絵を描くべき」ということでした。そこから事業会社やPEファンドへのアプローチから各種交渉、アクティビストファンドとの折衝支援まで包括的にサポートした結果、最終的には非上場化となりました。

抜き差しならない株主との対話という極限状態を経営陣と伴走し、多くのステークホルダーを納得させる決着を迎えられたという点で最も印象に残っているプロジェクトです。

【プロジェクト3:C社の委任状争奪戦支援】

C社はQHが支援を開始した段階で大株主との対立が決定的で、経営陣として受け入れることが出来ない株主提案を受けており、委任状争奪戦は不可避となっていました。

委任状争奪戦で最も重要なことは提案株主をはじめとした全株主の構成と議決権行使姿勢を把握することです。綿密な分析と票読みによって、株主提案に対する対応方針と賛成比率の予測、キャスティングボードを握る重要株主を特定します。中でも、提案株主の「本当の目的」を理解することが土台です。株主提案における主張は提案株主が考えているすべてではありません。同じ「ガバナンス改善を目的とした役員選任提案」でも、心から改善を求めている場合もあれば、それを建前に乗っ取りを狙っている場合もあります。

弊社は上記について緻密に情報収集・分析を行った上で

  • 招集通知をはじめとした各種リリースや株主へ説明資料の作成と公表

  • 株主訪問による委任状回収のオペレーション設計と実施

  • 機関投資家の議決権行使担当者との対話

など過半の議決権を獲得するためにあらゆる活動を行いました。

幸いにも無事に株主総会を乗り切ることは出来たのですがそれはあくまで過半の株主から一時的な信任を頂いたに過ぎないので、得られた時間を使い株主価値最大化の戦略策定と実行を行うことが本番です。だから弊社では総会支援が大がかりになる・長引くほど収益が増えるビジネスモデルではなくその後の支援先の価値最大化にインセンティブが紐づいたビジネスモデルとなっています。上場を維持したまま経営戦略の構築と開示を行い、株主の理解を得られるプロジェクト1のようなケースが最適解となることもあれば、提案株主がその後更に株式を買い増して活動を活発化させ上場維持したままでは中長期的な経営計画の策定と実行が困難なため非上場化を行うプロジェクト2のようなケースが最適解になることもあります。両にらみでの支援を続けました。

――プロジェクトメンバーとしてQHで働くとするとどういった働き方になるのでしょうか

QHの働き方はコンサルティングファームと投資ファンドのそれと近いですがメンバーには得意な領域、不得意な領域があります。例えば証券会社出身の人はやはりM&A戦略や財務資本戦略を考えることは得意だし、コンサルティングファーム出身の人は市場分析やどうやってそのビジネスそのものを伸ばしていくか、とこにアップサイドがあるかといった分析の方が得意だと思います。なので、その人の得意不得意でスコープの担当を決めます。
 
また、弊社の特徴として「合理主義」が挙げられます。顧客の本質的な課題に向き合うために無駄のない思考を全員が心がけています。非合理的な組織慣習は一切なく、労働時間の長さではなくアウトプットの価値によってフェアに評価されます。

――アクティビストやエンゲージメントファンドも株主価値向上に取り組むという意味では似た仕事ですか?

アクティビストにしか果たせない役割もあると思います。明らかにガバナンス不全に陥り株主価値を棄損しているが内部のマネジメントに現状を変える意志が全くない、あるいは株主を排除しようというマインドセットの場合、そうしたマネジメントに外部から適切な指摘を行うアクティビストの活動によってのみ会社が変革されうるというケースもあります。また、長期目線のエンゲージメントファンドの対話によるアプローチで企業の株主価値が漸次改善されていくこともありますし、今後も増えていくと思います。
 
一方でアクティビストやエンゲージメントファンドにはできず我々にしかできないと確信しているアプローチで上場企業の株主価値最大化を支援できることもあります。それはやはり企業の中に入らせていただき、経営陣及び現場と伴走して経営のリアリティを把握し、形にしていくことでしょう。アクティビストに経営そのものは出来ず、原則としてインサイダーにもなれないため、どうしても外からの分析に基づいた要求をするので、それは「理論値」となりがちです。我々はそうした株主目線の理論値に耳を傾けつつ、咀嚼し、経営者が出せる「現実的な最大値」を一緒に作り上げます。株式を保有しておらず市況に左右されない立場だからこそ、バイアスをかけずに状況を把握し、フェアなアドバイスをできるという特性もあります。我々がいなければ、折り合えるポイントがあるはずだった株主と経営陣がすれ違ったままになり、無用に対立がエスカレーションしかねません。だから我々の役割が必要だと確信しているし、この仕事に大きな意義を感じてやっています。

――実際、QHの支援で会社は変わるのでしょうか?

会社の変化は日々、強く実感できます。一番分かりやすく変わるのは経営陣のマインドシェアです。QHのクライアントの中には、株主構成への不安で事業成長を考えるために割く時間を捻出できなくなっているケースもあります。QHが支援する形で状況を整理し、建設的な方針を作っていくことで、経営者が事業に集中できるようになります。
 
また、株主価値に対する経営陣の姿勢の変化も実感できます。個々の株主についての理解を深め、株主価値を高めるための経営戦略を練り、投資家との対話に臨むというプロセスを経る中で「株主を理解した経営」へと行動変容していくのを感じることができます。

――最後に、QHで働くことに興味を持っている方にメッセージを

QHの事業の特性上、カウンターパートは代表取締役社長などのキーマン取締役になります。アドバイザリービジネスの本懐は人に言えない悩みをご相談いただきそこに真摯に解を提供することだと思っています。上場企業の取締役と一緒に喧々諤々の議論をして、本質的にその会社の価値を高め未来を創っていくためには何をすべきかと考え、そのためにあらゆるオプションを検討し、一貫した実行支援できることに意義を感じています。これは様々な利害関係があるなかで折り合いをつけていくことも意味し、とても大変なことですが、非常に建設的でエキサイティングな仕事だと思います。
 
また、市場・会社ともに黎明期で急成長する環境下で、とても多くの魅力的なクライアントとプロジェクトを手がけているため、チームメンバーに加わり業務を遂行することで資本市場に関わる人材としてのハイレベルな成長を保証することができます。成熟産業や、成長しているが既にエスタブリッシュメント化した業界で激しい競争をするよりも、これから伸びる産業に自らのキャリアをベットすることをおすすめします。その中で資本市場に対する何かしらの課題意識やパッションがあり、それを実際に形にしたいという人は、是非QHのメンバーに加わってください。

募集中のポジション

  • アソシエイト:社会人1~10年目、基本給1,000万円+ボーナス(サインアップボーナス含む)1,000万円~3,500万円(昨年度トータル実績約3,500万円)+S.O.

  • マネージャー:社会人1~20年目、基本給1,500万円+ボーナス(〃)1,500万円~業績に応じ上限なし+S.O.

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