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岩井さんのエッセイ

先日、本を読まない私が珍しくスラスラと読破してしまった。それがハライチ岩井さんのエッセイ本だ。

現在、「僕の人生には事件が起きない」「どうやら僕の日常生活はまちがっている」の2冊が出ている。

読書をしながら「ふっ」と声を出して笑ったのははじめての経験だった。
文章の面白さも去ることながら何よりも凄いと思ったのが、「日常ネタの膨らまし方」である。

タイトルの通り、岩井さんの日常はわれわれ一般人が親近感を持てるぐらい"普通"だ。
現に岩井さんは「お金の管理は母親に任せている。どんなに稼いでも毎月同じ額の生活費が振り込まれている。」と述べている。

エッセイは数十個ほどの実体験エピソードからなっているのだが、奇想天外なエピソードは一つもない。
たとえば、珪藻土マットの話だったり、家の庭に殺虫剤を撒こうか悩んでやめた話(通称死の庭)、歯医者の予約を尽く忘れてしまう話などなど。

とにかく"普通"なのだ。

しかし、流石イワーイ。膨らまし方が凄い。
彼自身の偏見や想像で、珪藻土マット一つから無限に世界が広がっていく。

特に、ハライチのラジオはもっとそう。
岩井さんのエピソードトークはほとんど虚構だ。もはや「盛る」を通り越してしまっている。
(大体は実話を膨らませて喋っているパターンが多いが、"光のゲート"の話は最初からいきなりSFモード全開だった。恐るべし。)

ラジオパーソナリティーというより、SF短編ストーリーテラーと呼べるだろう。

個人的に、エッセイやラジオでする岩井さんの話から学ぶことは結構ある。

きっと大抵の人間は普通で平凡な日常を送っていて、
それでも芸人さんやクリエイティブな仕事に就く人たちは、頭をひねって「おもしろいネタ」を 生み出さなければならない。

同じく与えられたものも、見方を変えてみることが重要だ。

普段からアニメや漫画を沢山みる岩井さんだからこそ、ものの見方の引き出しが凄い。

"近所のピーコックに行く途中、気になっていた細い路地を抜けたら裏の世界のピーコックが広がっていた"

なんて、異世界転生アニメでもみない限り思いつかない発想だと思う。

日頃みるアニメや漫画から切り口を収集して、会得した切り口を使って日常に魔法をかける。
岩井さんはある意味、魔法使いなのかもしれない。

写真は、エッセイではなく岩井さん原作の漫画!

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