欠勤
2ヶ月と3日目、初めて会社を休んだ。
いつものお決まりのアレである。
最近はそんなこともなかったんだけどな。
会社を休むのは大変。
電話一本では済まず、話したことないような上司もメーリングリストに入れて欠勤の旨をメールした。
大人になるということは、どうやら責任を背負うということらしい。
たとえ入社して3ヶ月も満たない新卒でも、1%ぐらいは会社に迷惑がかかるんだから。
他にも替えはいくらでも利くのに、なんか「心配」されているような気がして不思議だ。
たまに、何者にもなりたくない時がある。
職務も、役職も、全部取り払って、「私」であるということも忘れて、何も考えずどこかに行きたくなる日がある。
うちのマンションの最上階には屋上があって、
そこからどこかほかの世界に行けるんじゃないかとずっと思ってた。
今日、10年ぶりぐらいに屋上に登ってみようと思って家を出た。
見たことない住人がエレベーターで20階で降りるなんて自殺志願者だと思われるんじゃないかとヒヤヒヤした。
でも屋上は閉鎖されていた。
閉鎖というか、カードキーをかざす場所すらなく、南京錠がかかっていた。
私がかつて屋上に登ったという記憶が幻なんじゃないかと思うぐらい、そこには何の形跡もなかった。
私が、別の世界に行くための手段はもう無くなってしまった。
屋上の世界が私の思い出の一部になってしまったことで、その世界はますます非現実味を帯びたような気がした。
私は過去に行ってみたかったし、ブレイブストーリーのようなまったくの異世界に迷い込みたかった。
でもそれは当分お預けのようだ。
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