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なんとなく

最近『言葉にできない想いは本当にあるのか』という本を読んだ。

作者のいしわたり淳治さんは、かつてスーパーカーというバンドで作詞を担当していて、
現在は売れっ子作詞家として数々の楽曲の歌詞を手掛けている。

コピーの勉強という建前を使い、資料探しの時間(勤務中)に買ったけど、単にスーパーカーがめちゃくちゃ好きなだけです。

この本は、いしわたりさんが出会った面白い言葉やフレーズをちょっとした論評を付けて紹介していて、
作詞家ならではの独自の視点とロジカルな考え方は実に興味深い。

言葉について「一旦考えてみる」ことは、言葉を紡ぐ上でとても大切な作業だと思った。

自分も言葉を扱う仕事をしている者として、インプットの一環にやってみようと思う。


10月25日「なんとなく」

先日ロックバンドBUCK-TICKの櫻井敦司さんが亡くなって、くるり岸田さんがTwitterで追悼コメントを寄せた。

"なんとなく応援していたバンドのシンガーでした。"

この「なんとなく」という言葉が失礼にあたるのではないか、ということでちょっとだけ炎上してしまったのである。

確かに、「なんとなく応援していた」と言われると追悼コメントとしてわざわざそれ言う必要あるか?とも思える。

でも「なんとなく」ってとてもナチュラルな想いの寄せ方をしているなと思うのである。ちょっとニュアンスがマイナスなだけで。

深い関係にあったわけではないし、「とても残念です」というのは逆に失礼というか。

岸田さん本人も「畏怖の念みたいなものがあった」と後日弁明していた。

言葉の選び方というのは実に難しいなと今回の件で改めて感じた。

岸田さんが偉大な先輩に抱いていた畏怖の念はどの言葉を使えば正確に表現できたのだろうか。
もしくは、このきめ細やかな想いを表す言葉はまだこの世にないのかもしれない。

言葉にできない想いというのはまさにこの事なのではないかと思った...


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