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【PRM海外調査】SaaSビジネスにおけるチャネル戦略。パートナーシップ構築のフレームワーク紹介

SaaSビジネスでは、キャズムを超えて、マジョリティ層へ如何にリーチしていくかが重要です。ARPUを伸ばしていくためには、チャーンレートを抑えながらも、マジョリティ層へ販売チャネルを拡大していくことが重要で、そのためにはSaaS企業に特化した販売チャネル戦略を策定することが有効です。

本記事では、SaaS企業におけるチャネル戦略・パートナーシップ構築のためのフレームワークを紹介していきます。

1.SaaSの販売チャネルとは

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「チャネル」とは、販路・経路・伝送路・手段を表します。また、ビジネスの分野では、市場をものやお金が流れる経路や手段などを表します。「販売チャネル」とは、どのような手段を用いて、多くの顧客に対して効果的に商品を届けるかといったマーケティングや販売手法のことを指します。

SaaS企業の販売チャネルとして、主に直接販売、代理販売、通信販売の3つが挙げられます。

①直接販売
ベンダーの担当者が案件創出からクロージングまでを行う販売方法です。

SaaS企業ではSalesforce社が提唱している「The Model」の型を用いる事が多いです。マーケティングで見込み顧客を獲得し、インサイドセールスが育成することで商談に繋げます。そして、フィールドセールスが顧客に直接営業し、クロージングに繋げます。日本でもメインの手法になってきているため、馴染みのある方も多いと思います。

ビジネスを始める際には、自社内で完結できる「直接販売」から取り組むことが一般的です。

②代理販売
次に代理販売です。ベンダーが外部の代理店や特約店などをパートナーとして迎え入れ、更なる販路拡大を目指す販売手法です。

ベンダーだけでは届かなかった顧客に対して商材をアプローチできるようになる他、自社の負担を軽減させる事ができます。代理販売は、主に地方での販促活動や自社だけではアプローチできないセグメント層へチャネルを開拓することが可能です。

③通信販売
オンライン上で完結する販売形態です。

時間や場所にとらわれることなく注文を受けることができ、営業リソースの面では効率的です。一方で説明しきれない部分が出てきたり、セキュリティー面でも不安要素が残る事があります。

2.キャズムを越えるための代理販売チャネル

SaaS企業は、「The Model」の手法を用いて直販の売上が伸びてきたら、次のステップとして、販売パートナーと連携して販路拡大を目指すことが有効です。

なぜ販売代理チャネルを活用すべきなのでしょうか。理由は2つあります。

代理販売を導入するべき1つ目の理由は、SaaS企業が売上を伸ばすために重要な課題のうちの一つである「キャズムを越えること」ができる可能性が高いからです。

SaaS商材はITの中でも近年流行してきた形態であるため、直接販売で拡大できるのは、キャズム理論でいうとアーリーアダプター層(好奇心があり、流行にアンテナを張って、自ら情報収集を行うような人々)まででだといわれています。これらを超えるためにタクシー広告を行う企業も増えてきましたが、あまりセグメントは広がりません。CMのようなマス広告を行えば可能性がありますが、リスクが高いと考えている企業は多いのではないでしょうか。

また、マジョリティ層に到達するためには、かなりの時間と労力が必要なため、リスクを抑えながら時間短縮のためにも直接戦略と代理店戦略を組み合わせて戦略を立てることを推奨しています。

無題のプレゼンテーション (1)

2つ目の理由として、代理販売で得られる効果がコストよりも高いからです。

以下の式は、代理販売を導入した際にかかるコストと得られる効果を、大小で表したものです。

パートナーに対する商材の割引+パートナーへの報酬<営業案件の創出+営業+質の良いサービス+カスタマーサクセス/サポート

代理販売を始めることで認知拡大だけでなく、一人当たりの顧客獲得にかかった費用「顧客獲得単価(CAC)」を下げる事も可能になります。

CACが下がった分パートナーに対して安価で商材を提供したり、成果報酬を上げることでモチベーションを保ち、さらなる販路拡大に繋げることも可能です。

3.パートナーの種類

この章では、パートナーの契約種別をそれぞれ解説していきます。

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パートナーとの契約種別は、主に「紹介」「取次」「卸」の3つが挙げられます。パートナーや導入時期によって適切な契約種別は異なるため、その都度契約種別は変更していく必要があります。

「紹介」とは、商材に興味を持っている顧客に対して、パートナーがアプローチをし、リード顧客としてベンダーに紹介します。パートナーの主な役割は、リード顧客をベンダー側に紹介するまでで、最終的な商談以降はベンダーが行います。

「取次」とは、代理店が案件創出からクロージングまでをパートナーの役割とし、案件制約時にベンダーから報酬が支払われる仕組みになっています。

最後に「卸」とは、パートナーがベンダーから商材を仕入れ、その商材を顧客に対して販売する手法です。仕入れ価格と販売価格の差額が代理店の報酬となります。

【参考】海外で用いられているの契約種別

ここからは、PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)の市場拡大が進んでいる海外で用いられている「アフェリエイトパートナー」について解説していきます。

アフィリエイトでは、インフルエンサーとしての信頼度が重要になっており、日本だとC向けの商材で多く活用されていると思います。広告やリンク経由で購入した人数に対して単価が設定され、報酬が支払われる仕組みです。

日本では、BtoCでのアフェリエイトは普及していますが、BtoBではあまり普及していません。そのため、紹介・取次で案件をトスアップしていただける代理店とうまく連携していく必要があるでしょう。

4.パートナーシップ構築のフレームワーク

ここまで、販売チャネルを広げていくためのパートナー契約種別を4種類ほど紹介してきました。しかしながら、実際にどの契約種別を導入するべきなのか判断が難しい方も多くいらっしゃると思います。

この章では、SaaS企業がパートナーシップ構築のフレームワークについて順を追って紹介していきます。

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パートナーシップを構築する際は、パートナーシップピラミットを考えると分かりやすいかと思います。

上の図は、パートナー数と自走力を表しています。ピラミットの上に行くほど、パートナーが紹介〜販売・サポートまでを自力で行ってくれますが、その分数も少なくなります。

現在、直接販売のみで販路を確保している場合、初めに取り掛かるべきパートナー種別は「紹介」です。

「紹介」では、パートナーにリード顧客を確保してもらい、最終的な商材の説明や契約など、商談以降はベンダーが行うため、商材に対する理解度が浅い場合でも対応可能です。その上、直接販売では獲得できなかったリード顧客に対してアプローチすることが可能になってくるため、第一ステップとしては最適なパートナー契約種別と言えます。

「紹介」での販売チャネルが確保ができたら、次のステップとしてパートナーを「取次」にパワーアップしていきましょう。

「紹介」では、理解が浅いパートナーでもリード顧客獲得のみで販路拡大を目指す事ができていましたが、「取次」では案件創出からクロージングまでをパートナーが行うため、商材に対する深い理解が必要です。

パートナーに対するサポートは必要不可欠ですが、パートナーがクロージングまでを行なってくれることによって、確実な売り上げにつなげる事ができます。

そしてここまで販売チャネルの導入が進んだら、最後は「卸」にステップアップしていきます。

「卸」では、自社の商材を完全にパートナーに任せることになりますので、かなり商材のことをよく理解してもらった上で、販売してもらうことが必要になります。

まずは紹介から始めて、自社理解を深めてもらった後に、取次・卸とステップアップしていきましょう。その際には、契約形態に合わせてパートナーへのサポートが必須となります。

5.代理販売を導入する際に注意する点

代理販売は直販と異なり他社のリソースを活用して商材の販売を行います。そのため、注意点を抑えなければうまく販売力を拡大できない可能性があります。

ここでは、実際に代理販売を導入するにあたっての注意すべき点についてご紹介します。

●まずはベンダーが積極的に取り組みましょう
代理販売を行う際は、まずベンダー側の担当者が積極的に商材に対して理解を深め、パートナーにアプローチをしていく事が必要です。

●商材の品質向上に努めましょう
代理販売とは、あくまで良い製品をより多くの人に届けるための戦略のうちの一つです。そのため、商材本体の品質向上も怠らずに行いましょう。

●パートナー側の意図を理解しましょう
パートナーがベンダーと契約している意図を読み取った上で、対応することが必要です。信頼関係を気付き、互いにwin-winな関係で業務に取り組む必要があります。

●商材が属しているマーケットの大きさを考慮しましょう
いくら商材が素晴らしくパートナーと上手くいっていたとしても、商材が属するマーケットが小さけば、販路拡大には限度が来ます。パートナーと契約して認知を広げる必要があるほど、多くの人のニーズに合った商材なのかを再度見直しましょう。

●販売チャネル同士の衝突を最低限に抑えましょう
代理販売を導入する際、いくつかのパートナーと契約をし、それぞれに合った「パートナープログラム」を用意することが一般的です。

直販・代理店同士が顧客の取り合いにならないように、地方やアプローチする層を分けるなどして、ベンダー側が最低限の施策を打つ必要があります。

6.さいごに

いかがでしたでしょうか。SaaS企業が効果的に販売チャネルを拡大していくためには、代理販売を用いることも一つの手段です。

導入直後は「パートナープログラム」の充実やパートナーとのやりとりなど、ベンダー側にもいくらかの手間がかかりますが、長期的な目線で考えると非常に効率の良い販売手法です。

代理販売の特徴や注意点を理解し、パートナーサクセスの取り組みを実践することで、代理販売を導入するメリットが明確に見えてくるはずです。

ぜひ一度、代理店戦略の重要性を検討してみてはいかがでしょうか。

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