春は終わりと始まりの季節~YOASOBIのオールナイトニッポンX最終回に寄せて~

はじめに

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 年度始めということで、環境が変わった方、忙しい日々を過ごしている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。わたしはこの春から大学4年生になり、いわゆるモラトリアムがあと1年で終わってしまう事実に恐れおののいております。憧れのキャンパスライフに心躍らせ入学してきたあの春から早くも3年。今日は大学の図書館に行ったら、キャンパス内に入学式終わりの新入生がたくさんいました。それを横目に3年前の自分を思い出しながら歩いたりして。春はやっぱり切なくも楽しい、良い季節ですね。

 そんな春は出会いと別れの季節でもあるということで、先日ひとつのお別れをしました。そう、ラジオ番組「YOASOBIのオールナイトニッポンX」が最終回を迎えたのです。

YOASOBIのオールナイトニッポンX 公式Twitter(@yoasobiannx) より

 2021年3月30日深夜から始まったこの番組ですが、2022年3月29日深夜が最終回。全52回の放送、1年間長いようであっという間でした。個人的に割と忙しかったこの1年、傍にはいつもANNXがありました。そしてTwitterでもよく言っているのですが、私がYOASOBIのファンになったきっかけでもありますし、この番組がなかったら今の私はいないと言っても過言ではありません。今日はこの番組について、私が感じた魅力を綴っていきたいと思います。


魅力① 「YOASOBI」の空気感

 「夜に駆ける」とともに現れ、ヒットを打ち立ててきた謎のユニットYOASOBI。「曲は有名だけど、YOASOBIってどんな人たちなんだろう?」と思う方々も多かったのではないでしょうか。私もその1人でした。そしてその答えとなるものが、「YOASOBIのオールナイトニッポンX」だったのだと思います。
 ラジオって基本フリートークなんですよね。もちろんコーナーやテーマメールはあるのですが、テレビ番組に比べて企画ががっちり決められている訳ではないし、パーソナリティが比較的自由に話せる場なんです。「だから番組用に作ったキャラ」ではなく「素の自分」が出せる。YOASOBIの空気感や2人それぞれの人柄を知るには、ぴったりのコンテンツだったのではないでしょうか。あとはなんか、深夜ラジオって”YOASOBI”っぽいし…。そういう親和性の高さも良かったと思います。

 YOASOBIを詳しく知らなかった私が彼らにハマった最大の理由は「2人の空気感」であり、この番組に凝縮されています。
 番組を聴いていると、Ayaseさんとikuraちゃんのキャラ的な相性の良さを実感します。天真爛漫さとちょっと独特なワードセンスを持つikuraちゃんに対し、的確なツッコミと優しいいじりでトークを回していくAyaseさん。基本何でも知ってるAyaseさんと、知らないことも多いikuraちゃん。こんな風に対照的な2人の掛け合いが、和やかで微笑ましいんですよね。でも決して退屈な訳ではなくて、リスナーからのメールを通してオチを作ることもあって。(この辺りはAyaseさんの技量だと思っています。本当に話が上手)

 2人の日常のエピソードを聞けるのも良かったです。特に印象に残っているのは、ランニングがてら買い物に行った帰りに袋が破けてしまい、通りすがりの人たちに拾ってもらうikuraちゃんのエピソード(2021.5.4放送回)。特別なエピソードではないのですが(いや十分面白いけど)、そうなってる彼女の姿がとても想像つくんですよね。私が聞き始めて間もない頃の回だったのもあって、「ikuraちゃんって予想通りの子なんだな」と思ったのを覚えています。あと、これに対する「どうしてあなたはそう生活がジブリなのよ....…」というAyaseさんのツッコミも大好き。彼女はディズニープリンセスというよりはジブリのヒロインなんですよね。Ayaseさんと解釈が一致していて嬉しいです。ご本人は「地に足つけたい」「ピーチ姫じゃなくてルイージがいい」と言っていますが、こういうことをしでかす所がヒロインなんだよな....…と感じます。これからもそのままでいてほしい。
 YOASOBIとしての2人のエピソードで一番好きなのは、やっぱり「相方がりらで良かった」発言(2022.1.18放送回)。私はこの日を個人的に「1.18記念日」と呼んでいます。TLの温度が急上昇したのをよく覚えていますし、あのときの衝撃は今も忘れられません。普段はAyaseさんがikuraちゃんをやいやいいじり倒しているのに、この時は主導権を握れて嬉しそうなikuraちゃん....…。そんなやり取りが微笑ましいのはもちろんなのですが、お互いへのリスペクトをこうして公共の場で伝えてくれることが、ファンにとっても嬉しいのです。仲の良さだけでなく、「相方」への信頼がきちんと感じられる。YOASOBIのそんな魅力が詰まったこのエピソード、後世に語り継いでいきたいです。YOASOBI、曲も良ければ人も良くて困る.......。

 あと少し話は逸れますが、”我等友情永久不滅”のコーナーも楽しかったですね。好きな芸能人の学生時代の話が嫌いって人いる?いないよな。懐かしのグッズや当時の文化を通して、2人がどんな青春をしていたのか垣間見える素敵なコーナーでした。普通の一般的な学生生活を送ってきたAyaseさんと、少し変わった学校に通っていたikuraちゃんという構図が生まれたのもこのコーナーだったように思います。

 こんな風に番組を通して2人の人柄が広く知られたのは、結成2年目(当時)のアーティストにとって良い収穫だったんじゃないかと思います。楽曲だけではなくて人も知ってもらうことは、”推し”を作ることが一般的になったこの時代では強みになるんじゃないかなと(実際私はそれでファンになったので)。デビューの2019年、楽曲が認知された2020年、そして2021年は大衆へアプローチしていった年だったと個人的に感じています。その中でこの番組も大きな役割を担っていたのではないでしょうか。


魅力②  楽しさの共有、そして接点として

 2021年度のYOASOBIは、たくさんのイベントがありました。楽曲リリースはもちろん、配信ライブ、有観客ライブ、紅白歌合戦……。その全てのタイミングで、このラジオが大きな役割を果たしていたと思います。
 楽曲解禁はみんなが同じタイミングで感想をつぶやくのが楽しかったし、2人の言葉で楽曲のポイントや製作の裏話を聞けるのも嬉しかった。UTライブの裏話も、武道館ライブの感想もたくさん話してくれましたよね。あとは紅白のikuraちゃんを見て「エンターテイナー」と評するAyaseさんだとか。ラジオというオフィシャルな場で2人の感想が聞ける、これって貴重なことだと思うんですよね。やっぱり本人の声で、本人の言葉で話してくれるのはファンにとって最上級だと思うので。

 そしてYOASOBIとリスナー・ファンとの接点になっていたということ。ご時世的にもYOASOBIとファンが会える機会は少ないわけで。そんな中毎週のこのラジオがYOASOBIと私たちとを確かに繋いでくれていた気がします。最終回でikuraちゃんはこんなことを話していました。

ikura「活動始まってから、なかなかリスナーの皆さんとコミュニケーションとるってことがかなったじゃない?だから本当にずっとずっと支えだったし、これによって私たちは救われてきました。」

 ファンにとっても、2人にとっても、コミュニケーションの場であり繋がりであったのだと実感しました。

 また少し話が逸れますが、この「救われてきた」という表現!私も少し前に”YOASOBIANNXに救われてきた1年だった”という旨のツイートをしていたので、同じような気持ちを抱いていたことが純粋に嬉しかったのです(なんか言い方気持ち悪いな)。
 そしてこれは願望に過ぎないのですが、メールやハッシュタグを通してのコミュニケーションが、忙しい2人のささやかな支えになっていたらいいなと思います。私は「ファンの存在が支えです」とか「皆さんのおかげで頑張れます」って大声で言ってほしいとは思いません(あくまで私はね)。ただ、ハッシュタグを見てちょっと笑ってくれたり、新曲の感想を読んで少しでも糧にしてくれたらいいな、と思っています。ikuraちゃんのこの「救われてきた」という言葉がもしそういう意味だったとしたら、一ファンとして嬉しいなという話でした。


おわりに

 最終回から一週間。少しだけ感傷に浸って、またいつも通りの日常を過ごしているわけですが、こうやって少しずつANNXへの気持ちと記憶が薄れていくと思うと寂しいですね。ただ、前向きな卒業ということで、つまりその分新しいYOASOBIに出会えるという楽しみもたくさんあるわけで。2022年度のYOASOBIに期待して、また頑張ろうと思います。
 その中でもし機会があれば、このオールナイトニッポンという場所でYOASOBIに会えたらいいなと願っております。またラジオで会おうね!



p.s.
ファンクラブ会員にはまだMIDNIGHT RADIOがあるので、これからは(これからも)そちらに期待します…..(圧力)(いつもありがとうございます)(これからもよろしくお願いします)



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