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ハーフエルフは愛が欲しい(第二話)

アイの初めての仕事の1日が始まった。
と言っても新人に任されるような事はほとんど雑用である。
しかしアイは真面目に取り組んでいった。
何故ならお母さんに人に見られていなくても、
努力はちゃんと妖精様が見ているよ、と何度も言われていたからである。

物心がつく頃から言われていたので、もしかしたら見えないだけで妖精っているのかもと刷り込みの様にいつも頭の隅にあった。

同僚の女の子アーニャ
『アイちゃーん何か考えごと?資料運ばないと遅れるよ!』
アイ
『ごめん!ぼーっとしてた!今行く!』

アイは同僚兼友達であるアーニャを追いかけて行った。

小さな小さな妖精がその後ろ姿を見つめていたことに気づかずに。

そうして一か月が経ちアイも雑用の仕事を何とかこなせるようになってきた頃、アイはアーニャとその他の同僚達と同じ部屋に、上司であるダンに呼びだされた。

ダン
『よーし!全員集まっているな!
これからお前達は騎士団を運営する上で重要な仕事を少しずつ教えていく!
経営部門のリチャードの言う事をきちんと理解し行動する様に!』
リチャード
『皆さんよろしく、リチャードです。分からない事があればその都度聞く様にしてください。』

アーニャがこっそりアイに言う

アーニャ
『何かチョー真面目のメガネイケメン来たね!
でも世間話とかしなさそう、面白み無さそうな人だね〜』
アイ
『初対面でいきなり人柄を見た目で判断するのはいけないと思うよ、
それに私達仕事しに来てるんだから仕事さえしっかりすれば良いの!割り切らないとね。』
アーニャ
『アイも真面目だね〜
肩の力を抜いて仕事したら良いのに、、
出会いも人生において大事な事だよ。』
アイ
『ほらリチャードさんの話聞かないと、後で怒られちゃうよ!』
アーニャ
『はいはーい』

リチャード
『私の紹介は以上で終わりです。これから内部の部署で分かれて仕事をしてもらいます。』

そして私たちは見事、同じ部署で働けることになった。
寮部屋が同じだからか学力も似ていたのだろうか?運が良いな。
そんなことを考えながら部屋の前に立った。

アーニャ
『あ〜緊張する!でもワクワクするねアイちゃん!どんな人がいるのだろう!』
アイ
『確かに緊張するね、馴染めるかな?仕事もちゃんと出来るよう頑張らないと。』
アーニャ
『んもう、アイちゃんかたーい。もっと楽しもうよ!ほら!行こ!』

アイはアーニャに手を引かれてノックし入った。

ガヤガヤ、ガサガサガサ、バッシャーン。

皆忙しそうに仕事をしている。山積みの資料を誰か崩してしまったようだ。

『あー拾う時間も惜しいのに!』
イライラした声が近くで聞こえた。

続く

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