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記憶が形を亡くしても

今年が始まったと思ったら

もう2月も終わりかけている。

そろそろちゃんとした大人になりたいな、

そんな漠然とした希望が

私が生きる理由であり、死ぬ理由でもある。

部屋の整理を始めて

料理を作って体をととのえて

何かを頑張る程に虚しいと感じてしまうのは

いつも自分の気持ちを置き去りにして

暮らすことしか知らないからだったのだと思う。

血の繋がった人たちへ

もしも最後の手紙を書くならば

あなたたちのことが私は大好きだった。

それは本当のことで、嘘のことだった。

依存と安心はいつも隣り合わせで

周囲の目を気にして怯えながら育ってしまった

わたしは、自分の思っていることを

誰にも言えない大人になった。

丹精込めて用意してくれた花の並んだ道の上を

私が歩けなかったことを

どう思っているのか永遠に知らない。

ただただ一つだけ言えるのは

わかりやすい形の愛をひとつもくれず

必要以上に厳しい環境を作り上げたお陰で

わたしは自分のことを褒めることすら

できない大人になってしまったということ。

自分が行きたい場所に連れて行ってあげることも

街で食べたい物を見つけてお店を決めることも

欲しいと思ったものを叶えてあげることも。

皆んなが当たり前に知っているはずの幸せは

私が知らないことだらけ。

孤独、疎外、虚無、無力感。

この真っ暗な場所から少しでも光の射す方へ

歩いていく練習をしている。

死んでしまった心は海辺の冷たい貝殻のようで

ざらざらとした砂を纏っている。

もしも悲しみが、グラスに溶けていく

甘い角砂糖のように綺麗だったらよかったのに。

わたしは豊かな暮らしの中で

大人になったのに、

どうしてかな。欲しいものだらけよ。

穴だらけだし、傷だらけだし

死なないで欲しかった親友に

今だって会いたいし

もう静まり返った空気の中に独りでいいから

今まで言えなかった、言葉たち

全部を投げつけたい。

ウールのコートとか、真珠と金でできた指輪とか

そんなんじゃなかったって。

私が欲しいのはそんなものじゃなかったって。

そうやって叫ぶ勇気も

どこかとても好きだと思える場所へ

逃亡する気力もないけれど

まだ生きていたいから、生きている。

ギリギリなのよ、ずっとずっと。

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