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その傷、治ってる?

先月家族で集まってワイワイしていた人が
次の月に身投げをしたり。
つい昨日友だちとカフェで駄弁っていた人が
次の日に自ら命を絶ったり。


ある女と男の気持ちの高ぶりからできた命。
為せば成る、の勢いで数人の人間から生きることを決められた命。
そして生存本能を身につけた いのち。

この世で生きてく術を知らないその命は
周りの人間に頼ることしかできない。
しかしその周りの人間も
喜怒哀楽のある人間であり
傷付け傷つけられながら生きてきた人間であり
この、傷付くことしかできない命を
「責任を持って」育てるなんて皮肉ではないか。


育っていくその命は
毎年傷を増やし深まる傷を隠し
ボロボロになっていることに気づかなくなるように
古い傷口に新しい絆創膏を貼り続ける。

絆創膏を替えるのを忘れたり
治さなければならない傷を放っておいたりして
ボロボロの痛みを乗り越える術を学べなかった命を
あなたは責めるのか?

その傷が出来る要因になったのも
痛みの対処法を教えられなかったのも
周りの人間だったのではないか?


一方
絆創膏を無事貼れた命や
痛みの対処法を知った命は
おめでとう、現実逃避の世界へ到着だ。

その数年後数十年後に魔が差しただって?
そりゃそうだ。
もともと隠していただけなんだから。
見て見ぬふりをしていただけなんだから。

ある日ふと思い出したように
古い絆創膏を取り替えるために見つけた傷口。
その傷口に付いていた古い絆創膏をはずしたらどうなるか…

残念なことにこういう傷は身体の傷のようには
勝手に治ってくれない。


あなたが何十年と生きてきたなかで
「なかったことにした」傷は
どれくらいありますか。

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