病めるときも健やかなるときも

「病める時も 健やかなる時も富める時も 貧しき時も 愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」夫が病んでから、もう百回くらいは頭の中でこの「結婚の誓い」の一節を復唱し、「いや、病めるときは難しいわ」「健やかなときに結婚したんだから病んでるときの想像なんてしたこともないし」とか思っている。病んでいて、自分のことで精一杯で、私が疲れているときに気の利いた一言をかけたり労ったりときに笑わせることができない人を愛するのはまじで難しい。というか、愛とか以前に、目の前の夫を生かすことで精一杯なのだ。

ここから先は

1,405字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?