わたしの吸ってきたたばこたち

たばこがまた値上がりしたらしい。

わたしはそこそこ吸う方で、すきで吸っているしやめる気もないんだけれど、(当時にしては)大失恋のあとに吸い出してからかれこれ15年くらい経つようで、それはなかなか恐ろしいなと思います。

長い付き合いになったたばこには結構色々思い入れがあったりして、たぶん喫煙者でそういう人は多いと思うんだけれど、今日はそれを書きたいなと。


1.Caster 1mg

最初に吸ったのはこれでした。たぶん友達が吸っていて、「バニラの匂いがするなんて女子っぽい…!」と思って吸っていたんだけれど、のちのち「それはオッサンの吸うたばこだ」と何度も言われました。そうだったのか。
でもあんまり吸ってる人もいなかったし(人とかぶるの嫌)、逆に女子大生がオッサンのたばこ吸ってるのなんか良いと思っていたし、お気に入りでした。
その時は290円でしたね。そう、安いところも良かった。

2.Caster 3mg

1,2年経った頃、1mgでは物足りなくなり、3mgにしました。そうしたら中途半端が故にもっと吸ってる人がいなくて良かった。あと、1mgはパッケージがボックスしかなかったんだけれど、3mgはソフトがあったのがとても良かった。
ソフトパッケージからたばこを出すのって、格好よくて今も好きです。とんとん叩いて出す感じ。かばんのなかでぐちゃぐちゃになっていたりするのも味があって良いなと思っていた。かばんのなかが葉っぱまみれになるのはいただけなかったけれど。
色も1mgの青より3mgの黄色のほうが良かった。本当は5mgの赤 × ソフトがベストな組み合わせだったけれど、5mgはまだ当時のわたしには重たかった。

これに変えたのは大学の冬休み中でした。休み明けに、学内でいつも仲間内が自然と集まってくる喫煙所があって(青春って感じがしてすごく良かった)、そこで吸っていたらいつもの仲間がやって来て。
そいつはわたしの影響でたばこを吸い出して、同じ銘柄を吸っていたんだけれど、わたしが「見て~3mgにしたんだよ~」って言ったら、そいつも同じタイミングで3mgに変えていて、なんだか縁を感じました。友人の少ないわたしが今もそいつとはぼんやり付き合いがあるので、その時感じた事はあながち間違っていなかったんだなと思っています。

3.ラッキーストライク ライト

Casterに別れを告げたのは、20代半ば頃。
当時、若さ故に色んな恋愛だとか、恋愛もどきのようなものをしていたんだけれど、なぜだか相手はやたらと喫煙者が多くて、しかもラッキーストライクのソフトを吸っている人が多かったんです。
やっぱり若さ故に同じものが吸いたかったけれど、ラッキーストライクは11mg。お、重たい…。仕方がないので(?)大好きなソフトパッケージを諦め、ボックスしかないライトの6mgで妥協しました。勝手にやってろって話ですが。

本当にやたらとこれ吸ってる人が多かったです。似ている人をすきになっていたのかしら。ただ、喫煙者が多かったのは、当時のバイト先の喫煙所でなんとなく話すようになった人が相手の事が多かったから、なのかも。タバコミュニケーションってやつ?なんかもう死語なのかもしれないけれど、恋愛関係なく今でも良いなって思います。あのバイト先の喫煙所、わたしにとって特別でした。好きな人と一緒にたばこ休憩に行ったり、行ったのを察してさりげなくあとから行ってみたり、先に行っていたら追いかけてきてくれたり。たばこを吸っていなかったら、この人たちとこうして関わり合う事がなかったんだな、と思うと不思議で仕方なかった。
その中の一人のおうちに初めて遊びに行けた時、次がなかったらと思うと怖くて、わざとライター忘れて帰ってみたりしました。若さ故に。100円ライター忘れたところで口実作りだってばればれすぎて恥ずかしいわ。

わたしの若気の至りの象徴みたいな銘柄になってしまったけれど、こいつとは長い付き合いでした。30になるくらいまでずっとこれでした。
やっぱりソフトが好きで調子が良いときに11mgのほうにしてみたり、後々謎に安いエキスパートカットとやらが出たのでそっちにしてみたりしてましたが。
「たばこ何吸ってるの?」って聞かれて、「ラッキーストライク」って言うと、「女の子なのにしぶいね~」と言われるのも良かった。これは女子大生の頃から変わってないみたいですね。いかにも女子っぽい細いメンソールのたばこは似合わないし、似合いたくないようで。

4.ヒーツ クリアシルバー

アイコスのジェネリックみたいなやつ。3年前くらいからこれです。
すきでたばこを吸い続けていたわたし、電子たばこなぞ邪道だと思っていました。変える気もありませんでした。やめる気はもっとないんですが。

ここで話を挟むけれど、一度だけ本気で禁煙しようと思った事があります。
珍しく喫煙者以外と付き合って、同棲しだした頃。やめてほしいと言われて、その時は彼がそう言うのならやめてもいいかな、くらいに思ったのだけれど、結局やめられなかった。もっと彼を大事に思って、本気で向き合おうと思っていたらやめられたのか。それに気づいて同じ状況だったらやめられるのか。答えは今も解らないけれど。

そんなわたしがアイコスに変えたのは生活環境の変化からでした。前回の記事に少し書いたけれど、九州のど田舎に行く前に変えました。
九州に行ったのは男を追いかけてだったんですが、その行き先で紙巻きたばこはちょっと遠慮してほしいという話だったので。
禁煙してほしいというお願いと少しハードルの高さは違ったのかもしれないけれど、この男のためなら、そして今なら、わたしは自分のポリシーみたいなものを曲げられるのか、とぼんやり思いました。まあ、そもそも全部捨てて九州に行くと決めた時点でそうだったんだろうけれど。なんだか不思議でした。

アイコスに慣れた今、紙巻きたばこに未練はないけれど、今でもたまに吸いたくはなる。ちょっと寂しい夜とか特に。すっかり懐かしくなったライターで火をつける感触を味わって、数口吸ったら満足しちゃうんだけど。というか正直「なんじゃこれまっず!!!」ってなってるけれど。それでもたぶんずっと、たまに吸いたくなるんだろうな。でも、紙巻きたばこを吸いたくなるような寂しい夜があんまりなければいいなと思います。


おしまい

たぶんもう一生やめないんだろうな。昔は子ども産む時が来たら自然とやめるだろうと思っていたけれど、そんな機会もなさそうだし。他にやめたいと思うようなきっかけもないだろうなと。
うちのひいばあちゃんは100歳までエコーを毎日ぱかぱか吸って、なんの重い病気にかかる事もなく亡くなっていったので、わたしも長生きしなきゃいけないとしたら、そんなばあちゃんになりたいです。おしまい。

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