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CPA-6_修了考査の感想

おはようございます、パジャマです。
記事を書くのは1年ぶりになりますが、なんやかんや監査法人で楽しい監査人ライフを送っておりました。

さて、2023年12月16日、17日にありました令和5年度の修了考査に合格しましたので、所感を書いていきたいと思います。

忙しい方のためにざっくりいうと、「近年は合格率が低かったので、準備はちゃんとしたのだが税務は克服できず、結局は合格率が高い年度(合格者/出願者69.7%)になったので案外余裕で受かった」となります。


■ 結果

まずは成績表を開示します。

受験直後の印象としては「近年と比較してべらぼうに簡単になったな!」でした。しかし、簡単になったとはいえ合格者数は一定になるよう得点調整されるという都市伝説があるので、どんな採点基準でも確実に6割取れるくらいの手ごたえがあったかというと、その自信はありませんでした。それが蓋を開けてみると総合7割取れているというのは、個人的に補修所の考査に近いものがあります。何はともあれ、合格していてよかったです。働きながら受けることもあって、二度と受けたくない試験のナンバーワンです。
科目ごとの詳細な感想は後述します。

■ 答練結果

参考までに答練の結果をざっくり記載してみました。ただし、実際の成績からぼやかして記載していることはご了承ください。

答練の難易度は近年の高難度に寄せて作成されているようでした。
監査と経営はさほど勉強しなくてもよかったのですが、会計と税務は私ではとても合格点を取れるような内容ではありませんでした。私の論文式試験での研鑽が足りなかったのか(合格順位1,000番くらい)、あるいは普通は誰もできないのか。

イメージとして、修了考査の会計・税務は論文式試験で科目合格できるだけの座学力があって初めて人権が生じる難易度です。少なくとも論文式試験で計算の順位が悪かった方は、たとえ要領がいい方でも早めの対策をオススメします。私も要領はいい方ですが、論文式試験時代の不勉強を働きながらの2、3ヵ月で埋めるのは並大抵ではありません(私は埋まらんかった)。
いやあ、答練で点数が出ないってツラい。

■ スケジュールと感想

(ざっくりカレンダー)
5月下旬:CPA会計学院の修了考査対策講座に申込
8月中旬:教材開封
11月下旬:試験休暇(3週間)
12月中旬:試験当日

(ざっくり勉強時間)
8月中旬:6時間/日
8月下旬:1~2時間/日
9月  :1~2時間/日
10月  :0~1時間/日
試験休暇:8時間/日

本格的に対策を始めたのは8月中旬になります。近年、対出願者合格率がよくて6割と低調でしたので、自分の中では早めに対策を始めてみました。結果は合格率が高騰したので問題なく合格しましたが、これが令和元年度のように5割を切るような回であったらギリギリだったような気もするので、開始のタイミングとしてはよかったと思っています。

さてさて、8月は夏休み。ウキウキバカンスと行きたいところですが、税務が苦手な私にとって夏休みは鍛錬の時です。
昔話をすると、論文式試験の対策期間が3ヵ月しかなかった私は(いわゆるゴッパチ)、予備校の指示に従って所得税と消費税の学習範囲を大胆に絞り込んでおりました。日々の業務においても課税区分ができないので、1年に1回くらい恥をかきながら、どうせ修了考査で勉強するからと放置しておりました。しかし、今がそのとき。

1週間の夏休みでは、消費税と法人税(グループ税制除く)を対策しました。テキストの例題を1週通読したくらいですが、さすがに身に付いた感じはしませんでした。あくまで、長い道のりの第一歩です。
また、ITの講義も視聴していました。ITの方は、ちょうどIT監査ヒアリングに出席する予定があったこともあり、あまりテストで点数を取ることは意識せずに勉強していました。

夏休みが終わってからは、2週間に一回ある答練に合わせて勉強をしていた感じです。会計・監査・経営については、最初(9月3日)に受験した答練の順位がよかったので割と油断していて、税務に全振りすることになります。ただし、税務もそれほど気合を入れて対策していたわけではありません。
経営はその方針で十分でした。つまり、答練直前の休み時間でテキストを読んでいれば毎回 合格圏内の点数が取れました。監査に至っては、答練の答えあわせこそするものの、答練対策準備は行っていませんでした。
問題は会計であり、最初の一回が嘘のように、不合格ゾーンを彷徨っています。これがめちゃくちゃ辛くて、「ダメならダメって、はっきり言ってよ!」って感じでした。ダメって言われたら怒りますけど。
税務もまったく点数が出ていません。法人税の小問でたまに正解するくらいで、それ以外は全然分かりませんでした。全部埋めたのに50点って、逆にナニで埋めたんだよ。
原因としては問題の難易度が高く、みんなが取れる簡単な問題もやや力不足で落としていたためと理解しています。結局、勉強するしかない。

これらの結果を受けて10月下旬から焦りはじめます。
気持ちは焦るものの、働きながらの勉強はやはり気乗りしないので勉強時間はあまり増えません。合格体験記を読み漁って、自分に都合のよい情報を咀嚼して安心していました(それもかけがえのない大切な時間)。
この時期は、ひたすら税務を頑張っていました。会計もマズいのですが、他の科目は修了考査で初めましての論点(相続税、住民税…)を固めてからにしようと考えたのです。しかし、何も固まらず。

そんな状態で最後の砦、試験休暇です。まとまった勉強時間が取れるので、結局は試験休暇のつめこみが一番効くんです。
正直、試験休暇前のダラダラ勉強は覚えた途端に忘れてた感じで、だいぶん効率が悪かった気がします。ただ、試験休暇から始めていたら相当に焦っていたでしょうし、例年の難易度であれば間違いなく落ちていたと思います。それでも、今年の難易度だったら大丈夫だったかもしれない。

試験休暇中は基本的には会計と税務に時間を割きつつ、休憩がてら経営/倫理規則を勉強していました。しまいには監査論の予備校テキストや監基報原文に手を出し始めます。
具体的には税務テキスト、会計テキスト、税務答練、会計答練を順番に通読し続けていた感じです。読むだけでは頭に入らないので、分かっていないところはスプレッドシートにまとめながら読んでいました。

まとめシート

そんなこんなで迎えた前日の仕上がりとしては下記のとおりです。

会計:論文式試験時代の実力が戻っていてくれ、頼む!(ただし、近年の難易度では6割は絶対に取れない)
監査:日頃から監基報は読んでるし、いけるやろ。
税務:テキストと答練はしっかり覚えた。特に相続税と消費税は全滅しないように準備はした。応用は利かんけど、なんとかなってくれ(ただし、近年の難易度では6割は絶対に取れない)。
経営:計算はミスらんかったらいける。コーポレートガバナンスとか用語は出たとこ勝負。
倫理:何が出るかは分からんけど、他の人よりはテキストを読み込んでいるから足切りにはならんやろ。

重要なことは、試験前日になっても、近年の難易度だったら6割は取れなかっただろう仕上がりであったことです。それでも7割取って合格できたことは示唆深く、「試験が簡単になる」のか「みんなできなかったから得点調整が介入する」のか「最後のスパートが手応え以上に効果的だった」のか、合格発表のその日まで分からない試験だと思いました。とにかく受験することが大切だなあと感じます。

さて、本番試験は東京会場で受験する人が半数と思います。
私自身も所属は東京会なのですが、東京ではないところで受験してみました。

(メリット)
◇ 試験会場から徒歩10分のホテルを取れる。
 東京会場でも取れるんですかね。休み時間は、ホテルに戻ってくつろぐことができました。
◇ 知り合いに会うことがないので集中できる。
 ヨッ友に「税務どうだった?」とか聞かれるリスクがない。
◇ 東京より人が少ないので待ち時間が少ない。
 答案回収は10分弱、トイレはすぐに行けば並ばずに済む。
◇ 話のネタになる。
 なお、特にウケない。

(デメリット)
◇ 金がかかる。
 往復の移動費+2泊分のホテル代で5万円ほどかかりました。
◇ 机は独り占めできなかった
 個人的には期待していたのですが、残念ながら長机を2人で使うことになりました。
◇ 枕が変わると寝れなかった
 コイツいっつも寝てないな。
◇ 知らない土地だとなんとなく怖い
 例えば、地元の人間でないと採点が厳しくなるんじゃないかとか、急に不安になったりします。

正直なところ、自分の所属でも、修了考査の成果に寄与しませんでしたが、観光になったので後悔はしていません。落ちたらとても後悔していたと思いますので、オススメはしません。

最後に受験直後の印象を書いてみます。

◇会計
ぶったまげるくらい簡単でした。特に”固定資産の減損”の計算は例題レベルの難易度を、あまつさえ穴埋めで出題されました。逆に何かあるんじゃないかと思い何度も見直しましたが、なにもな”かった。自信のない箇所が数箇所ありましたが、筆記試験は得てして悲観的になるので、なんだかんだ9割はあるだろうと確信していました(ところがどっこいB判定)。記憶が正しければ途中退席する方もちらほらいて、私も40分ぐらい余らせて離席しました。

◇監査
問題文をざっと見つつ、確実に解答できる穴埋め問題を答えていきます。最初は手ごわく見えるものの、徐々に簡単みが染みてきました。実際、「やべぇノー勉だわやばいわ」的な方でも合格点をとっているので、監査的常識に沿って作文できればよく、知識を問われる問題ではなかったと思います。また、特徴的だったのはIT分野が厚く出題されたことです。「まさか経営ではITは問われないのでは!?」なんて直観が働きましたが、そんなことはありませんでした。そのほか、事例問題の取引関係がややこしく、理解するまでに10分くらい硬直していたと思います。
総じて、やや自信がない箇所はあったものの、それでもまったく的外れではないはずなので、合格点は確実にあるだろうと感じていました。

◇税務
唯一、足切りがあるとすれば税務だと考えていました。
問5-1の法人税だけは、過去問と同程度の難易度と感じました。正確には、過去問よりは複雑な計算を要しないのですが、知らない論点が散りばめられていて、得点には結びついていない気がします。
問5-2の消費税は、簡単でした。課税仕入れの判断でビミョーなものがあったので、それによりドミノ式に間違えたか、全問正解かのどちらかです。
問5-3の所得税も、簡単だったのですが、所得税がよくわかってないので自信はありません。
※どこかで解答を見られることがあれば、更新します。

◇経営
営業レバレッジが出題されたことを除けば、おおむね過去問に類似した形式であったと思います。
第七問は、計算ミスがないかいうことと、ひねり出した営業レバレッジに関する解答が合っているかということがカギでした。営業レバレッジは最後に回して、相当の時間をかけて解答しました。
第八問の所感は、監査論と変わりません。2時間しかない割には記述を求められるので、営業レバレッジを後回しにしていることもあって焦りました。
結果はA判定でしたので、おそらく計算ミスはなく、ITで点数を稼いだのでしょう。

◇倫理規則
最後の最後は、眠くて眠くて(コイツいつも眠たがってんな)、ここが最後の頑張りどころだと思いつつ、まあいいやと思って気楽に受験しました。それは記号で点数を稼がせてくれたので、足切りの恐怖がなかったということも多分にあります。

科目ごとの印象は以上です。
受験終了後から、合格発表までは修了考査に関する情報の一切を断っていたので、特に言うことはありません。

■ 科目ごとの対策

さて、科目ごとに実施した内容を書いていきます。

◇会計
主には、テキストを読んでの対策になりました。私の場合、論文式試験までの積み上げがあるわけではないので、最後まで自信満々になることはありませんでした。特に、近年(令和元年~令和3年)の難易度であったら、確実に6割は取れないくらいの仕上がりだったので、点数調整があるという都市伝説を信じてメンタルを保っていました。
8月中旬から、IFRS対策の講義を視聴していました。コントレもついていたのですが、持っていると使いたくなってしまうので、勉強を開始したときにすぐに処分しました。
9月上旬に受験した答練の順位がよかったので、しばらくはノータッチになります。
しかし、答練がドンドン悪くなります。理由は、難易度の高い答練であったため、受験生の点数が低い点数に集中していたため、1ミスで大きく順位が変動する構造にあったからと分析しています。特に、よく考えれば分かっただろう計算を間違えてしまっていることが大きかったと思います。
従って、10月からは答練のたびに計算テキストも通読し始めますが、元から計算が苦手なので、あまり点数は改善しませんでした。
試験休暇からは、ミスノートをつけながらテキストをひたすら周回しました。

◇監査
監査実務に従事している私からすると、勉強のしようがわかりませんでした。とりあえす試験直前2週間からは答練復習、テキスト、監基報の通読を通して対策をしてみました。全体を2週くらいしましたが、特に覚えられた用語もありませんでした。そのうえ、暗記していれば得点できた出題はさほどなかったため、結果的には意味はありませんでした。
ただ、当初IT監査について微妙にズレたニュアンスの理解をしていたので、受験勉強の中で修正され監査実務の高得点につながったと思います。

◇税務
テキストの例題を何も見ないで解けるようにすることと、答練を通じて総合問題に馴れることを最優先に行いました。むしろそれくらいしかやることがなく、過去問を見るとカンニングをしたとしても解けそうもない問題が散見されるため、私的には210点満点でした。
夏休みから最優先で勉強しました。講義は論文式試験になかった分野に限って視聴し、主にはテキストを回転し続けました。
試験休暇の詰め込みで短期記憶ができたため、最終的には基本的な問題は解けるようになりました。

◇経営
答練について特に対策しなくても、ずっと合格点が取れていたので、本来は勉強不要だったかもしれません。しかし、知らない財務指標が出題されたら大崩れする可能性があるので、少しは勉強するようにしていました。
具体的には試験休暇以降、他科目の勉強に疲れたら財務指標を暗記したり、ITテキストを通読したりしていました。

◇倫理
足切りが怖かったので、テキストを通読してちゃんと対策しました。問題集とかもないので、とにかく読むだけです。予備校のスケジュールどおりに対策し、試験休暇に入ってからは会計と税務の息抜きとして通読していました。

■ 終わりに

個人的には、人生で一番いやなペーパーテストでした。大学受験なり論文式試験なりは、私の置かれていた状況からダメで元々であって、周囲からのプレッシャーはありませんでした。しかし、修了考査の低いとも高いともいえない合格率から来るプレッシャーと、効果的な勉強法が確立されていないという事実は、私にとってかなりの精神的負担でした。

例えていうなら、車校の本免ペーパー試験について、短大卒の母親が「私で一発合格やったんやから、四年生大学出てるアンタは当然一発合格やんな」と言ってきたときの気持ちに近いなと思ったり。

修了考査は日頃の実務を座学で補強するいい機会ですので、自分のためになると思ってモチベーションを維持してほしいと思います。

それでは長くなりましたが、おやすみなさい!

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